今年のNBAドラフトで”ある意味”注目されている選手の一人として、やはりセントラルフロリダ大のタッコ・フォールは外せないでしょう。
ドラフトコンバインの身長測定では、シューズを履いた状態で7フィート7インチ(約231cm)という脅威的な数字を記録した選手です。
その身長がどれほどのものか、実際に今年のNCAAトーナメント1回戦のバージニア・コモンウェルス大との試合を見てみましょう。
さて、問題はフォールをドラフトで指名する価値があるのか…ということになります。
一見すれば、フォールの獲得は素晴らしい選択肢のように思えるかもしれません。
実際のところ、ドラフトコンバインでは以下の測定で、異次元な数字を残しています。
測定内容 | 測定結果 |
身長(シューズ無し) | 7フィート5+1/2インチ(約227cm) |
身長(シューズ有り) | 7フィート7(約231cm) |
スタンディングリーチ | 10フィート2+1/2インチ(約311cm) |
ウィングスパン | 8フィート2+1/4インチ(約249cm) |
今のNBAで最も身長が高い選手は、フィラデルフィア・76ersのボバン・マリヤノビッチの7フィート3インチ(約220cm)であるため、フォールはその10cmも上回る身長でNBAに入ることができます。
約311cmのスタンディングリーチは、跳ばずともリムの上に手が届くことを意味し、約249cmのウィングスパンは、ユタ・ジャズのルディ・ゴベアよりもわずかに長い記録です。
そして今年のNCAAトーナメント2回戦では、優勝候補の一角であるデューク大を相手にペイント内を制圧し、今年のドラフト1位指名確実と呼ばれるザイオン・ウィリアムソンにも簡単に得点を許さなかったことは、多くの人の目に留まったことでしょう。
しかし残念なことに、『Bleacher Report』によれば、複数のスカウトはフォールをGリーグに隠しておくべきだと語っており、彼のドラフトはあまり現実的ではないようです。
その理由はいくつかあり、まずコンバインで測定された3/4コートスプリントでは、参加者の中で最も遅い3.78秒を記録しました。
トランジションの早い現代のNBAにおいて、コートを素早く行き来できるかどうかで、チームにとっても起用の仕方は大きく異なるでしょう。
また、当然のことながら、スタンディングジャンプでも参加者の中で最低の22インチ(約55.8cm)を記録したほか、レーンアジリティでも最低のタイムを記録しました。
これらの身体能力面の問題に加え、フォールはキャリア通算フリースロー成功率は43.2%と、シュートタッチに難があることが強調されています。
通算115試合で記録したアシスト数はわずか50本であり、40分あたりのアシスト数は1.0本を下回りました。
マリヤノビッチでさえも、キャリア通算フリースロー成功率で77.3%を記録していることを考えると、フォールはNBAで通用する武器が明らかに少ないと評価されるのも無理はありません。
もちろん、30チームのうち1チームでもフォールを必要とすれば、ドラフトで指名されるかもしれません。
しかしおそらく、彼はNBAで通用する力を身につけるために、Gリーグでスピードやフットワーク、シュートタッチを向上させることが先決です。
先程は武器が明らかに少ないと言いましたが、一方でフォールには根本的に誰も通用しない”身長”という特異な武器があることも事実でしょう。
そこにいくつかの身体能力とスキルを加えられれば、将来的にはNBAのペイントさえも容易に制圧できる選手になれるはずです。