考察

2020-21シーズンのトレード期限までに動かされるか注目すべき10人の選手

従来のシーズンであれば今の時期はちょうどトレード期限の前後ですが、今季は変則的な日程によってトレード期限が3月25日に設定されているため、市場にはまだまだ議論の余地が残っています。

ということで、これまでに起きた報道や噂をもとに、ここでは今季のトレード期限までに動かされるか注目すべき10人の選手を見ていくことにしましょう。

ブラッドリー・ビール(ワシントン・ウィザーズ)

ジェームズ・ハーデンが今年1月中旬にトレードされた今、市場で最も注目集めているのはブラッドリー・ビールです。

ウィザーズは現時点で5勝16敗とイースタン・カンファレンスの最下位争いを繰り広げており、昨年のオフシーズンに加入したスターのラッセル・ウェストブルックは全盛期が終わったかのような印象であるため、早くも彼らは今季のプレイオフ進出の希望が失われつつあります。ビールはリーグトップの平均34.8得点とベストを尽くしていますが、努力が報われない以上はチームに不満を抱くのも当然でしょう。

今のところビールはトレードを要求しておらず、ウィザーズも彼をトレードする意思を表明していませんが、このままでは両者が別々の道を進むのは時間の問題です。ビールは勝利を信じて2018年10月にウィザーズと延長契約を結びましたが、彼が望むものは最も遠い位置にあります。一方でウィザーズは彼をトレードすることによって、膨大な見返りとともに再建を進められるようになります。

ビールのトレードは両者にとって”win-win”な決断となっています。それはトレードが起きる十分な理由です。

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アーロン・ゴードン(オーランド・マジック)

アーロン・ゴードンはリーグ屈指の運動能力を持った選手の一人ですが、マジックが彼の才能を最大限に活かすことは今後も難しいでしょう。なぜならチームには彼と同様に運動能力に長け、ショットを課題とする主力選手――マーケル・フルツとジョナサン・アイザックがいるためです。

2016年のドラフト1位指名選手であるフルツは先月、左膝前十字靭帯の断裂によって今季の全休が決定しましたが、それまではキャリア最多の平均12.9得点を記録していました。アイザックも膝の手術によって今季を全休することが決まっていますが、彼は負傷以前にリーグ屈指のディフェンダーとしての才能を開花させていました。

一方、ゴードンは健康を維持しているというメリットこそあるものの、平均得点は3年連続で減少傾向にあり、フィールドゴール成功率もキャリア最低の42.7%となっています。過去数年間、トレード市場に常に名前を挙げられてきたゴードンを、マジックは動かすべきなのかもしれません。

アンドレ・ドラモンド(クリーブランド・キャバリアーズ)

今季のドラモンドはキャリア最多の平均18.2得点と、リーグトップの平均14.6リバウンドを記録していますが、同時に彼は今季終了後に無制限フリーエージェントを迎えます。つまり、今季がキャバリアーズとドラモンドの最後のシーズンになってもおかしくないということです。

しかしキャバリアーズにとってドラモンドを失うことは、決して最悪のことではありません。なぜなら1月中旬のジェームズ・ハーデンのトレードの一環で、彼らは22歳の有望なセンターであるジャレット・アレンを獲得したためです。

ドラモンドがチームを去れば、キャバリアーズはアレンの育成により力を注ぐことができるようになるでしょう。もちろんドラモンドと再契約を結ぶのも良いシナリオですが、現時点でその確信を得ることはできません。今のキャバリアーズの目の前にある選択肢は、フリーエージェントによってドラモンドをタダで失うリスクを背負うか、トレードによって多くの見返りを得るかということです。

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デリック・ローズ(デトロイト・ピストンズ)

昨季、デリック・ローズは平均18.1得点、5.6リバウンドを記録し、ピストンズは彼を高値でトレードすることができましたが、そうすることはしませんでした。今季、彼は平均14.2得点、4.2アシストと数字を減少させています。昨季はドラフト1巡目指名権を獲得できたかもしれませんが、今季は複数のドラフト2巡目指名権を回収することが限界でしょう。

しかしピストンズにためらっている時間はほとんどありません。なぜならローズは今季終了後に無制限フリーエージェントを迎えるためです。ピストンズはワシントン・ウィザーズと同様にイーストの最下位争いを繰り広げていることから、ローズが残留する可能性には期待できません。

幸いにも、ローズの獲得に関心を示しているチームはいくつかあります。状況はピストンズが引き金を引くかどうかという場所まで迫っています。

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マービン・バグリー三世(サクラメント・キングス)

マービン・バグリー三世は2017年のドラフトで全体2位指名を受けましたが、キングスが彼の将来を諦めかけているのは誰もが薄々と勘付き始めています。キャリア3年目を迎えるバグリーの出場時間はほとんど変わっておらず、ショットの成功率は上がったものの、平均得点は過去2年間を下回っています。

1ヶ月前には、バグリーの父親がツイッター上で息子をトレードするように訴え、チームメイトのディアロン・フォックスの父親もそれに賛同しました。

バグリーはまだ21歳と非常に若いため、新天地であれば彼のキャリアは光を取り戻すかもしれません。

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JJ・レディック(ニューオーリンズ・ペリカンズ)

ニューオーリンズ・ペリカンズのJJ・レディックはキャリア通算3ポイントシュート成功率 41.4%を記録しているリーグ屈指のシューターですが、どういうわけか今季は3ポイントシュート成功率 30.3%と、彼のアイデンティティを完全に失っています。スタン・ヴァン・ガンディHC(ヘッドコーチ)はレディックをベンチ陣に降格させ、出場時間も大幅に減らしたため、彼はリズムを取り戻すことも困難な状況に置かれています。

その結果、最近ではペリカンズがレディックのトレードを聞き入れているという報道もありました。今季のペリカンズは8勝12敗でウェスタン・カンファレンス14位と苦戦を強いられており、レディックも今季終了後に無制限フリーエージェントを迎えるため、36歳のベテランが放出されるのは時間の問題かもしれません。

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ロンゾ・ボール(ニューオーリンズ・ペリカンズ)

レディックと同様、ペリカンズはロンゾ・ボールのトレードも聞き入れていることが報じられています。

2017年のドラフトでレイカーズに全体2位で指名されたボールは、最初の2年間こそ期待外れに終わりましたが、ペリカンズにトレードされた昨季は平均11.8得点、6.1リバウンド、7.0アシスト、3ポイントシュート成功率 37.5%と汚名返上したように見えました。しかし、今季は特にアシスト(平均4.6アシスト)と3ポイントシュート成功率(33.9%)の数字が大きく低下しており、レイカーズ時代の悪しきパフォーマンスに戻りつつあります。

ボールは23歳とまだ若いため、上手くいけばペリカンズは興味深い見返りを得られるかもしれません。

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ラマーカス・オルドリッジ(サンアントニオ・スパーズ)

キャリア通算7回のオールスター出場経験を持つラマーカス・オルドリッジですが、15年目を迎えている彼は明らかに下降線を辿っています。平均得点はルーキーイヤーの2006-07シーズン以来最低であり、平均リバウンド数はキャリア最低の数字となっています。

また、それ以上に深刻なのはオルドリッジが出場している時と、ベンチに下がっている時のチームの差です。オルドリッジが出場している間のスパーズのネット・レーティング(100ポゼッションあたりの得失点差)は-6.9ポイントであるのに対し、彼がベンチに下がっている間のネット・レーティングは4.1ポイントまで増加します。

それでもなお、グレッグ・ポポビッチHCは35歳のオルドリッジに平均26.7分間の出場時間を与えています。彼を手放すことによって、12勝10敗と健闘しているスパーズはさらにいくつかの勝利を増やすことができるかもしれません。上手くいけば、オルドリッジの経験を必要とするチームから良い見返りが手に入る可能性もあります。

PJ・タッカー(ヒューストン・ロケッツ)

PJ・タッカーはジェームズ・ハーデンを中心としたロケッツが成功を収めるために必要なピースでした。ハーデンが去り、タッカーは今季終了後にフリーエージェントを迎えるため、彼もトレード期限前に放出されるだろうという噂は広まっています。

タッカーのタフなディフェンス、厄介なコーナーからの3ポイントシュート、どこでもプレイできる才能は、どのチームにとっても重宝するものです。ロケッツはハーデンのトレード以降に6連勝を記録するなど巻き返しを見せていますが、同時にタッカーのトレードによって将来をより楽しみなものにすることができるでしょう。

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ビクター・オラディポ(ヒューストン・ロケッツ)

ジェームズ・ハーデンのトレードの一環として、インディアナ・ペイサーズからロケッツにトレードされて以降、オラディポはこれまでの8試合で平均20.8得点、4.5リバウンド、5.1アシストと堅実なパフォーマンスを見せています。しかし、ロケッツがオラディポを将来の計画に含んでいるかどうかは疑問です。

オラディポは今季の2,100万ドルの契約を終えると無制限フリーエージェントを迎えます。2016年に4年8,400万ドルの契約を結んだオラディポは、その後ペイサーズで2度のオールスター選出を果たしたものの、2019年1月に右足大腿四頭筋の断裂という大怪我を負いました。約1年間のリハビリを経て復帰を果たしましたが、以前のような生産性の高いスターではなくなっています。

市場価値が大きく下がったオラディポは、どこまで減給を受け入れることができるでしょうか?これはオファーを提示するチームにとっても対処が困難な問題です。

もしロケッツがオラディポとの将来を考えていないのであれば、今の彼の堅実なパフォーマンスと、今季終了後にフリーエージェントを迎えるというメリットは、即戦力を必要とするチームに対して再びトレードを仕掛けることに役立ちます。もちろんロケッツはより深い再建の道を進むことになるかもしれませんが、彼らの時代はハーデンをトレードした時点で一旦終止符が打たれていることを考えると、オラディポの放出は決して悪いことではありません。

ただしオラディポがトレード可能になるのは3月4日からです。それまでは彼の獲得に関心を持つチームの、あらゆる噂に注目しておく必要があります。

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