ワシントン・ウィザーズのラッセル・ウェストブルックは、12年間のキャリアで輝かしい個人的な成功を収めてきました。オールスター出場は9回、得点王は2回、さらに史上初めてシーズン平均トリプルダブルを2回達成した選手であり、2017年にはシーズンMVPも受賞しました。そのため昨年12月にウィザーズにトレードされた当初は、ブラッドリー・ビールとの新たなデュオとして状況を好転させることが期待されていました。
しかし2020-21シーズン開幕から約1ヶ月半が経過しようとしている今、ウィザーズは望んでいた場所とは正反対の位置に立っています。ここまでの19試合で5勝14敗、イースタン・カンファレンス14位で早くもプレイオフ進出の希望は消え去ろうとしています。そして失望感が高まっていくにつれて、周囲からはウェストブルックをトレードするように訴える声が大きくなっています。
今季、ウェストブルックは平均20.0得点、9.1リバウンド、9.0アシストとトリプルダブル級のスタッツを残しており、長年指摘されてきた3ポイントシュートもキャリア最高の35.7%を記録しています。にもかかわらず、なぜ彼はトレードされるように言われるのでしょうか?答えは簡単で、彼がそれ以上にチームに悪影響を及ぼしていたり、チームにフィットしていない可能性があるためです。
具体的に数字で示すと、以下のような興味深い結果が得られます。
- 1試合あたりのターンオーバー数はリーグ1位の平均4.8本。
- ウェストブルックが出場していなかった試合のウィザーズは3勝3敗。出場した試合は2勝11敗。
- 2ポイントシュート成功率はルーキーイヤー以来最低の41.2%。
- ゴールから3フィート(約90cm)以内で放ったシュートの割合は、ウェストブルックのシュート全体のわずか15.2%。昨季は41.5%。
- ウェストブルックが出場している時のネット・レーティング(100ポゼッションあたりの得失点差)は-9.0ポイント。出場していない時のネット・レーティングは-3.1ポイント。
特に注目したいのが、2ポイントシュート成功率と、3フィート以内から放ったシュートの割合です。ウェストブルックが昨季に所属していたヒューストン・ロケッツはスペースを重視するチームであったため、ウェストブルックは自慢の身体能力とフィニッシュ力を活かしてリムに攻めることができました。そのため昨季の2ポイントシュート成功率はキャリア最多の51.4%を記録していました。
しかし今季は明らかにリムに攻め込む頻度が減っているため、ウィザーズではウェストブルックの長所を完全に活かすことができないと考えるのが自然です。3ポイントシュートの改善は確かに良いことですが、1試合あたり1~2本の成功がチームの大きな改善に繋がるとは思えません。
3月25日のトレード期限まで時間はありますが、もしウィザーズがウェストブルックのトレードを検討する場合はなるべく早いうちに取り掛かった方がいいでしょう。彼の契約は今季を含めて3シーズンで約1億3,270万ドルが残っており、ウィザーズにトレードされる以前から彼の契約は腫れ物のように扱われてきました。
ウェストブルックを手放すことができれば、ウィザーズは現状や将来を好転させることができるかもしれません。もちろん実績あるスターを手放すことは簡単な決断ではありませんが、このままではウィザーズに改善の兆しが見られないことも事実です。
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ラッセル・ウェストブルックは過大評価されたスーパースター?