ロサンゼルス・クリッパーズにとっての悲惨な過去といえば、クリス・ポール、ブレイク・グリフィン、デアンドレ・ジョーダンのビッグ3を中心とした”ロブシティ”時代が挙げられるでしょう。
2011年から6シーズン連続で勝率6割以上を記録し、プレイオフ出場を決めたにも関わらず、ファーストラウンドを突破したのはわずか2度のみでした。
時にはタフな対戦を強いられ、時には怪我に悩まされたのも原因ですが、それ以外にも理由はあるかもしれません。
2013年からクリッパーズのヘッドコーチを務めているドック・リバースHCは、チームが成功しなかった原因をもう一つ挙げています。
『ESPN』のラモナ・シェルバーン氏によれば、リバースHCはそれが”危機感の欠如”だと言いました。
「私はそのグループ(ロブシティ時代のグループ)に、彼らの時代であることを認識させられなかったように感じた。その危機感もだ。(2013-14シーズンのプレイオフで)ゴールデンステイト(ウォリアーズ)を破った時、来年はゴールデンステイトの時代になると確信したね。我々は確信していたとは思えない。我々は勝ちたいだけだった。でも、それでは不十分なんだ」
リバースHCは、選手は勝ちたいと常々言っているものの、実際に勝つために必要な犠牲を払っている選手は少ないと語ります。
「誰もが勝ちたいと言っている。くだらないね。ほとんどの人は自分のやりたいことをやって、出来る限り勝ちたいと思っている。全てが完璧でなければいけないんだ。しかし、勝つためには犠牲を払わなければいけないんだよ」
2008年、リバースHCがボストン・セルティックスでケビン・ガーネットやレイ・アレン、ポール・ピアースを率いて優勝した時、彼らはそれを理解していたようです。
「そのグループ(セルティックス)は理解していた。レイ、ポール、ケビンは個々で成功を収めていたから、勝つべき時が来たんだ」
リバースHCは、勝つために必要なことも、チームに欠けているものもよく理解していました。
”ロブシティ”に危機感が無かったのも、おそらく事実なのでしょう。
しかし幸いにも、”ロブシティ”の解散は思わぬ形で成功に導かれました。
ポールを放出したことで獲得したパトリック・ベバリー、モントレズ・ハレル、ルー・ウィリアムズは、今も主力としてチームを支えています。
グリフィンや、トバイアス・ハリス、ボバン・マリヤノビッチを放出したことで獲得した1巡目指名権は、ランドリー・シャメットやシャイ・ギルシャス・アレキサンダーの指名に利用し、最終的にポール・ジョージの獲得に繋げました。
”ロブシティ”の解体から2年――クリッパーズはカワイ・レナードとジョージのペアリングで、新たな時代を迎えようとしています。
”ロブシティ”は望み通りの結果を残すことはできませんでしたが、優れた選手や教訓など、最高の遺産を残してくれたのかもしれません。