一部の元NBA選手は、昔のリーグの競争力を自慢気に語ります。しかしNBAレジェンドの一人であるケビン・ガーネットは、今のリーグのレベルが昔よりも格段に上がっていると感じているようです。
『The New York Times Magazine』のデイビッド・マーチェス記者によれば、ガーネットは「20年前の選手が今のリーグでプレイできるとは思えない」と語りました。
「20年前、(ディフェンスの)選手たちは手を使って相手を抑えていた。今では手を使うことができない。だから相手を守るなんてほぼ不可能だ。マイケル・ジョーダンを手を使わずに止めるなんて想像できるかい?できないよね。接触ができないということは、オフェンシブな選手に大きな柔軟性を与えるということ。…創造性と野心があれば、リーグで素晴らしいオフェンシブプレイヤーになれるんだ」
「フェイダウェイや片足でのランナー、片足でのバランスショット――それらはダーク・ノビツキーがリーグに持ち込んだものだ。そして今のニコラ・ヨキッチを見てみると、それらのプレイと自分の才能を融合させているような感じがする。ステフィン・カリーは遠く離れた場所から一貫性を持ってシュートが決められることで、リーグに革命をもたらした。クレイ・トンプソンやデイミアン・リラードのようなガードの選手たちが試合を変えた。20~30年前のガードの選手でさえ、今のリーグで通用するかどうか分からない。今のリーグはクリエイティブで、競争力があり、刺激的で、ショットが決まる。今のリーグは素晴らしい場所にあるよ」
ガーネットが現役だった頃のリーグはハンドチェックに対するルールがあまり厳しくありませんでした。ディフェンダーが相手を守るために接触しても、必ずしもファウルを取られるわけではなかったのです。
しかし時代は変わり、リーグはハンドチェックによるファウルを徹底するようになりました。今ではリムにアタックしてくるレブロン・ジェームズやヤニス・アデトクンボ、巧みなボールハンドリングでディフェンダーを翻弄するカイリー・アービングやジェームズ・ハーデンなどを、接触を避けながら守ることは至難の業です。
オフェンスが優位になるにつれて、選手のプレイスタイルやスキルは進化を遂げていきました。
ステフィン・カリーは史上最多となる1シーズンで402本の3ポイントシュートを成功させ、彼が所属するゴールデンステイト・ウォリアーズはそのシーズンに歴代最多勝記録を更新しました。成功を収めた戦い方がリーグに浸透するのはあっという間でした。
クレイ・トンプソンはキャッチ&シュートの価値を再定義しました。デイミアン・リラードはロゴのある位置から容易く3ポイントシュートを沈めます。
アウトサイドからのオフェンスが主流となり、試合のペースが早くなったことで、従来のビッグマンたちの地位は一気に失われました。そのためビッグマンが今のリーグで成功を収めるには、ペイント内を支配する能力以外も求められるようになりました。ニコラ・ヨキッチは繊細なパスを出すことができ、アンソニー・デイビスはドリブルによってディフェンダーを抜き去ることができ、カール・アンソニー・タウンズは高い精度で3ポイントシュートを沈めることができます。
2000年代あるいは2010年代前半では、そのようなNBAの戦い方は考えられませんでした。しかし、それが今では当然のようになっています。
もちろんガーネットは現役時代に闘志溢れる素晴らしいスーパースターでした。ミネソタ・ティンバーウルブズに所属していた2003年にシーズンMVPを受賞し、ボストン・セルティックスに所属していた2008年には優勝に貢献しました。さらにキャリアを通じて15回のオールスター出場を果たし、オールNBAチーム選出は8回、オールディフェンシブチーム選出は12回という実績も持っています。
しかし、そんな偉大な選手でさえ、今のリーグのレベルについていくのは困難だと言わずにはいられません。NBAの進化は、時に興味深くあり、時に恐ろしくもあります。
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