考察

ブレイザーズ対グリズリーズのプレイイン・ゲームで見えた”5つの注目ポイント”

8月15日(日本時間16日)のメンフィス・グリズリーズ対ポートランド・トレイルブレイザーズの一戦は、NBA史上初となるプレイオフ出場を懸けた試合形式(プレイイン・ゲーム)で行われました。

そして、結果的にウェスタン・カンファレンス8位のブレイザーズが同9位のグリズリーズに126-122で勝利したことによって、ブレイザーズが第8シードでプレイオフに進出することが決定しました。

ここでは、そんなプレイイン・ゲームで見えた”5つの注目ポイント”を振り返ってみましょう。

プレイイン・ゲームの必要性

『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者によれば、リーグはシーズンが中断する前から、プレイオフ進出枠を懸けたプレイイン・ゲームを検討していたとされています。

結果として、プレイイン・ゲームはシーズン再開後に組み込まれることとなりましたが、それは決してリーグが意図していた計画ではなかったでしょう。

むしろ、シーズンを再開させるにあたって、16チーム以上になるべく公平なプレイオフの機会を与えるための苦渋の選択だったはずです。

しかし、このプレイイン・ゲームが設定されたことによって、特にウェストでは6チームによる白熱した争いを見ることができました。

ブレイザーズとグリズリーズのプレイイン・ゲームも素晴らしかったのは言うまでもなく、プレイオフで第1ラウンド敗退の可能性が高い第8シードのために、全力を尽くす2チームにスポットライトが当てられるのは、非常に魅力的な何かがそこにあります。

毎シーズン同じようなドラマや興奮が生み出されるとは限りませんが、プレイイン・ゲームはそうした機会を間違いなく増やしてくれるシステムであり、プレイイン・ゲームの必要性は今回の出来事を通じて高まったと言えるのではないでしょうか。

やはりジャ・モラントは凄かった

グリズリーズのジャ・モラントの前半は、まるで神経質なルーキーのようでした。

優柔不断な選択、ためらいがちなドライブ、無理やりなパスからのターンオーバー、そして不安定なジャンパーにより、モラントは前半をフィールドゴール11本中4本成功、3ポイントシュートは全て失敗の11得点、プラスマイナスではチームで2番目に低い-17ポイントを記録しました。

しかし後半に入ると、モラントは自身のパフォーマンスを改善し、彼が新人王の最有力候補である理由を再び見せつけました。

リムに果敢に攻め、アウトサイドに立っている味方に鋭いパスを送り、時には自ら3ポイントシュートを沈め、後半だけでフィールドゴール17本中9本成功、3ポイントシュートも3本全て成功させる24得点、7アシストを記録しました。

そして何より驚くべきことは、モラントが試合後に明かしたことですが、彼は親指を骨折したまま素晴らしいパフォーマンスを見せていたのです。

間違いなく、モラントは長期的に特別な選手となるでしょう。

ユスフ・ヌルキッチの貢献度

試合が始まる直前、ブレイザーズのユスフ・ヌルキッチは祖母が新型コロナウイルスによって亡くなったことをインスタグラムで発表しました。

試合後、ヌルキッチは当初はプレイしたくなかったものの、「彼女は僕をプレイさせてたと思う」と記者団に語り、自身のエネルギーをチームの勝利のために使いました。

重要なのは、ヌルキッチが足の骨折により約16ヶ月間離脱して以来、この日が復帰して9試合目の公式戦であったことです。

彼のバックアップであるハッサン・ホワイトサイドが十分なパフォーマンスができなかったため、ヌルキッチは41分間も出場する必要がありました。

当然、ヌルキッチは疲弊し、モラントの果敢なオフェンスによって、何度もディフェンスに苦戦する場面は見受けられましたが、アクティブに手を伸ばすことによってディフレクションやターンオーバーを生み出しました。

最終的に、彼は22得点、21リバウンド、6アシスト、2スティール、2ブロック、そしてプラスマイナスではチーム最多の+18ポイントを記録しました。

デイミアン・リラードやCJ・マッカラムに注目は行きがちですが、この日の勝利は彼の活躍なくしては得られなかったでしょう。



CJ・タイム

メンフィス・グリズリーズのディロン・ブルックスは執拗な素晴らしいディフェンスによって、ファンの誰もがリラードに期待していた「デイム・タイム」の発動を妨げました。

そして、腰の怪我を抱えながらプレイしていたマッカラムが輝きを放つことは、夢のまた夢のようにも思えました。

しかし、モラントとマッチアップしていた時、マッカラムはこれ以上ない勝負強さをリラードから引き継ぎ、「CJ・タイム」を生み出して見せたのです。

マッカラムはフローター、プルアップ、ステップバックスリーなどを駆使して第4クォーターだけで14得点を挙げたことによって、グリズリーズは彼にブルックスを当てるしかありませんでした。

その結果、リラードはドライブによって切り込むことができるようになり、グリズリーズのディフェンダーは彼に反応したことによって、決勝点を沈めることになるカーメロ・アンソニーがフリーになりました。

リラードとマッカラムの相性は長年に渡って議論が続いていますが、この試合の勝利によって、同じチームに2人のクリエイターが居ることの素晴らしさを思い出すことができたのではないでしょうか。

静かに支配的だったデイミアン・リラード

シーディングゲームズMVPに輝いたようなリラードを想像していたのであれば、この試合のリラードのインパクトが薄かったように見えても不思議ではないでしょう。

彼は最終的に31得点を記録しましたが、15本打ったフィールドゴールのうち14本は3ポイントシュートで、その成功数も5本でした。

得点の大半は14本全て成功となったフリースローが占めています。

それよりも注目したいのは、リラードのファシリテーターとしての能力でしょう。

このようなタフな試合の中で、リラードは10アシストを記録しながらターンオーバーをわずか1本に抑えたのです。

リラードの重要性をもっと知るのであれば、彼は45分間の出場でプラスマイナスは+17ポイントを記録した点に着目しましょう。

彼がベンチに下がったわずか3分間の間に、ブレイザーズのプラスマイナスは-13ポイントを記録しています。

リラードは静かなように見えて、実際は試合を通じて支配的だったのです。

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