考察

ザック・ラビーンはマイケル・ジョーダン以来最も優れたブルズのシューティングガード

シカゴ・ブルズのシューティングガード、ザック・ラビーンにオールスターの出場経験が無いのは少し驚くべきことです。彼は昨季に多くの批判を浴びたジム・ボイレンHC(ヘッドコーチ)の指揮下でも、常にチームのオフェンスを牽引してきました。2017年2月の左膝前十字靭帯断裂の怪我を克服し、復帰後は一貫性のあるパフォーマンスで相手チームに警戒される選手となっています。

しかし、ラビーンが2017年のオフシーズンにミネソタ・ティンバーウルブズからブルズにトレードされて以降、彼らは今に至るまでの3シーズン全てでプレイオフを逃してきました。今のNBAは選手の評価にチームの成績も含まれる時代。それこそが、ラビーンがオールスター出場を果たせない最大の理由の一つでもあります。

そのため、しばしばラビーンの才能は見逃されることがあり、彼がトレード市場に名前を挙げられることも少なくありません。とはいえ、ブルズはラビーンをトレードすべきではないでしょう。なぜなら、彼はマイケル・ジョーダン以来最も優れたブルズのシューティングガードであるためです。

完璧なスコアラー

ラビーンはリーグで最も優れたスコアラーの一人です。彼のスコアリングには欠点がありません。2度のダンクコンテスト王者の実績が示すようにインサイドから素晴らしいフィニッシュ力を披露することもあれば、1試合の3ポイントシュート成功数でNBA歴代2位タイの13本を記録していることからも分かるように、深い位置からショットを沈めることも可能です。

今季のラビーンはここまでの11試合で平均27.7得点を記録しています。もしラビーンが成績の良いチームに所属していれば、彼をMVP争いに加わる可能性がある選手として注目することができたかもしれません。残念ながら、ブルズは4勝7敗でイースタン・カンファレンス12位と悪いスタートを切っています。とはいえ、もちろんブルズに所属したままでも、得点王であれば将来的にリーグの1・2位を座を争うことは期待できるでしょう。

ラビーンが得点を伸ばすことができる秘訣の一つは、多くのショットを打ちながら安定性を欠かないということです。今季のラビーンは1試合あたり平均8.8本の3ポイントシュートを打ちながら、成功率で37.1%を記録しています。この生産性の高さはクレイ・トンプソンやジェームズ・ハーデンを連想させます。

トンプソンが最後に健康だった2018-19シーズン、彼は1試合あたり平均7.7本の3ポイントシュートを放ち、成功率で40.2%を記録しました。昨季のハーデンは1試合あたり平均9.4本の3ポイントシュートを放ち、成功率で36.4%を記録しています。

ラビーンが彼らと大きく異なる点は、ウルブズ、ブルズ時代を通じてプレイオフの出場経験が一度も無いということです。そのため、ラビーンの1試合あたりの平均得点が大怪我から復帰した2017-18シーズンを除いて年々伸びていることは、あまり知られていません。

▼ザック・ラビーンの1試合あたりの平均得点

シーズン平均得点
2014-1510.1
2015-1614.0
2016-1718.9
2017-1816.7
2018-1923.7
2019-2025.5
2020-2127.7

『Fubo Sports』によれば、元NBAスター選手のギルバート・アリーナスは、ラビーンの成長について次のように表現しました。

「気が付かなかったが、実際にダメージを与えていた」

ラビーンが2015年と2016年のダンクコンテストで優勝した時のインパクトは絶大であったため、彼が今でも単なる優れたダンカーとして見られることは珍しくありません。この機会に彼がどのような選手であるか知っておくべきでしょう。ザック・ラビーンはオールラウンドなスコアラーです。

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プレイオフ進出の希望は残っている

NBAに自身の素晴らしさを知らしめるためにも、ラビーンはブルズをプレイオフに導かなくてはなりません。オールスターやオールNBAチームの選出対象は、基本的に多くの勝利を挙げているチームの選手の方が有利な傾向にあります。

ブルズは4勝7敗というスタートを切っていますが、必ずしもプレイオフ進出への希望が無いというわけでもないでしょう。最近の良い兆候は1月10日(日本時間11日)のロサンゼルス・クリッパーズ戦です。彼らは優勝候補の一角として期待されているクリッパーズに、わずか1ポゼッション差で敗れました。

この試合でラビーンは45得点という得点力だけでなく、7アシストというプレイメイキング力も発揮しました。問題はそれを今後も続けていけるかどうかということです。2015年からゴールデンステイト・ウォリアーズを5年連続のNBAファイナルに導いたステフィン・カリーや、昨年のロサンゼルス・レイカーズを優勝に導いたレブロン・ジェームズは、自分の得点だけでなくチームメイトを最大限にアシストすることが可能な選手です。

ラビーンがプレイメイキング力を高めることができれば、ブルズのオフェンスは流動性が増し、より多くの選手がオフェンスに参加できるようになるでしょう。彼がスコアリング以外の面で成長することができれば、それだけチームの成功に繋がる可能性も高くなります。

ザック・ラビーンは将来のスーパースター

選手個人の能力で言えば、もはやラビーンはスーパースターの域に足を踏み入れようとしているといっても過言ではないのかもしれません。プレイメイキング力も伸ばすことができれば、ラビーンはジェームズ・ハーデンのようなスーパースターに匹敵する選手となっても不思議ではないでしょう。何度も言うように、ラビーンとハーデンの大きな違いはチームをプレイオフに導けるかどうかです。ハーデンは毎シーズンでプレイオフを経験しているのに対し、ラビーンはキャリア初のプレイオフを目指しています。

とはいえ、いくつかの試合を単独で勝利に導けたとしても、プレイオフで争うためにはラビーンだけでは限界があります。マイケル・ジョーダンでさえスコッティ・ピッペンが必要であり、その逆もまた同様でした。

これに関しては、チームメイトや首脳陣の努力も必要になってきます。もしブルズがラビーンを過小評価し、彼の周囲を固めずに勝利できる環境を構築しなければ、いつか彼はチームに愛想を尽かすかもしれません。それはあまりに勿体ないことです。もしラビーンを中心にブルズがプレイオフに進出することができれば、彼は誰もが認めるスーパースターとしての地位を確立することができるでしょう。25歳のラビーンが既にそのレベルに到達しているということを、肝に銘じておく必要があります。

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