メンフィス・グリズリーズの新人であるジャ・モラントは、高校時代に無名の選手で、強豪大学からのオファーもありませんでした。
対してニューオーリンズ・ペリカンズの新人であるザイオン・ウィリアムソンは、高校時代からインターネット上でセンセーションを巻き起こし、デューク大に進学しました。
モラントはマレー州立大進学後に大ブレイクを見せたことで、2019年のドラフトでは全体2位指名を受けましたが、彼の上にはウィリアムソンが居ました。
そしてシーズン開幕前、ウィリアムソンのルーキーイヤーが輝かしいものとなり、モラントを含む他の新人選手はその輝きの影に隠れることになる…と考えていた人は少なくないでしょう。
しかし、それは間違っていました――今、ジャ・モラントが輝く時代が到来しています。
ウィリアムソンが膝の手術でNBAデビューが遅れていることによって、今シーズンの新人王の最有力候補はモラントとなっています。
しかし、『NBC Sports』のカート・ヘリン氏によれば、モラントは最近、新人王のことを気に留めていないと語りました。
「(今シーズンの新人王は)それほど興味が無い。大げさな評価も気にしていないんだ」
あえて、そう言っているわけではありません。
注目を浴びない高校時代を過ごしてきたからこそ、モラントは謙虚に、そしてハードに取り組む姿勢を備えたのです。
2020年のオールスターファン投票のガード部門で10位に入っていても、その考えは変わりません。
モラントはオールスターファン投票の第2回途中経過の結果を、家族が教えてくれたことで初めて知ったことを明かしました。
グリズリーズのタイラー・ジェンキンス・ヘッドコーチは、モラントを「とても魅力的な選手」と表現します。
「彼の最も印象的なところは、着実に良くなっているところだ。毎試合、毎月…アシストの合計や、ペイントでのフィニッシュだけでなく、良い3ポイントシュートも打ち始めている。3ポイントシューターとして、彼は自信を持ってシュートを打っていて、ディフェンスも取り戻しつつある。彼は毎日良くなっていく選手さ」
モラントは既に、ラッセル・ウェストブルックや他の優れたポイントガードの選手と、自分を比較しています。
試合後、モラントは他の選手からどのように声をかけられるか尋ねられると、次のように答えました。
「リーグのトップ選手のほとんどは、何か質問があるなら自分のところへ聞きに来るといいと言っていた。何人かの選手は、僕が謙虚であり続けるようにと言ってきたよ」
モラントは今シーズン平均17.8得点、6.9アシストを記録していますが、1試合あたりの出場時間は意図的に平均29.5分となっているため、もし彼をさらに長い時間コートに送り込めば、得点やアシストの数字はさらに伸びていくでしょう。
ただグリズリーズは、フランチャイズの礎とも呼べるモラントを長期的に健康を維持して育てていくため、早い段階から過度に起用することはありません。
ジェンキンスHCは、モラントの可能性について「始まりにすぎない」と語ります。
「彼は非常にハングリーで、競争力のある男になるだろうと思っていた。彼は、チームと勝利に影響を与える方法に、全ての関心を注いでいたんだ」
ロサンゼルス・クリッパーズのドック・リバースHCも最近、モラントについて次のように語っていました。
「最初の試合を観た時、彼がスピードをコントロールしていた。早いペースで味方を(プレイに)参加させたり、遅いペースで(自分が)引き受けたりね。新人にしては珍しいことだよ」
高い運動能力と広い視野を兼ね備え、3ポイントシュートも打てて、なおかつ利他的なルーキーが、グリズリーズのオフェンスをコントロールしています。
今こそが、ジャ・モラントの輝く時代であることは一目瞭然でしょう。
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