NBAにおいて最も重要な用語の一つでありながら、その内容は複雑すぎて手に負えないものといえば、”サラリーキャップ”があるでしょう。
もちろん全てを網羅する必要はありませんが、やはり少しだけでも知識は持っておきたいものです。
ここでは、そんな”サラリーキャップ”に関する基礎知識を解説していくことにしましょう。
”サラリーキャップ”とは?
そもそも、サラリーキャップとはどういう意味でしょうか?
サラリー(年俸)キャップ(上限)=つまり「各チームが選手との契約に使える金額の上限」ということです。
ちなみに、サラリーキャップが無いとどうなるでしょうか?
選手にお金を払うのはチームですが、全てのチームが均等に資金を持っているわけではありません。
つまり、資金力が豊富なチームが多くの選手と高額な契約が結べて、資金力が乏しいチームは契約が制限されてしまいます。
サラリーによるチーム間の戦力格差を無くすため、サラリーキャップは定められてるのです。
NBAが採用する”ソフトキャップ制”
実はサラリーキャップは2つの種類に分けられます。
それが”ハードキャップ制”と”ソフトキャップ制”であり、NBAはソフトキャップ制を採用しています。
それぞれの違いは、以下の通りです。
- ハードキャップ制…サラリーキャップを超えて選手と契約することを、一切認めない制度。これにより、チーム同士の戦力の均衡化を徹底できます。(NFLやNHLが採用)
- ソフトキャップ制…一部の例外を適用することで、サラリーキャップを超えて選手と契約できる制度。これにより、主にフランチャイズプレイヤー(いわゆるチームの看板選手)のサラリーが高騰してもチームに残留させやすくなるため、チームの戦力や人気が落ちにくくなります。
チームの生え抜きの選手がスーパースターになったとしても、サラリーキャップに収まらないから…という理由で選手を放出していては、チームの長期の成功は見込めないでしょう。
ソフトキャップ制は、そういった選手を残留させようとするチームの働きかけを手助けしているのです。
”ラグジュアリー・タックス”とは?
サラリーキャップを知る上で、もう一つ忘れてはならないのが”ラグジュアリー・タックス(贅沢税)”です。
いくらソフトキャップ制で例外も認めていたとしても、今ではありとあらゆる例外条項が存在するため、結局はサラリーによってチーム間の戦力格差が生じてしまいます。
そこで、サラリーキャップを超えすぎたチームには、”ラグジュアリー・タックス”というペナルティを課すことで、なるべく戦力の均衡化を図ろうとするのです。
”ラグジュアリー・タックス・ライン”と呼ばれる境界を超えたチームは、超過分に応じてリーグに対してラグジュアリー・タックスを支払わなければなりません。
要するに、高額な選手のサラリーに加え、リーグにもお金を出さなければいけないわけですから、チームとしては非常に多くの支出をすることになってしまいます。
図としては、以下のような感じになります。
- ①キャップ・ヒット…チームが選手と自由に契約できる範囲。
- ②エクセプション…例外条項を適用することで、チームが選手とサラリーキャップを超えても契約できる範囲。
- ③ラグジュアリー・タックス…ラグジュアリー・タックス・ラインを超え、その超過分に応じてリーグにペナルティを支払う義務がある範囲。
ちなみに、ラグジュアリー・タックスの徴収分は、リーグや資金力が十分でないチームに分配される仕組みとなっています。
まとめ
いかがでしたか?
サラリーキャップの基礎知識をまとめると、以下の3つになります。
まとめ
- ”サラリーキャップ”は各チームが選手との契約に使える金額の上限
- フランチャイズプレイヤーを出来る限りチームに留まらせるため、例外であればサラリーキャップを超えて契約できる”ソフトキャップ制”を導入
- その代わりにサラリーキャップを超えすぎれば、ペナルティとしてリーグにお金を支払う”ラグジュアリー・タックス”がある
細かいところまで調べようとすれば、その数は膨大ですが、ひとまずこれさえ覚えておけば十分でしょう。
今後は、契約や例外条項などにも触れてみたいと思います。
次回もお楽しみに!