前回、マックス契約の仕組みや存在意義について解説しましたが、最後に例外となる”デリック・ローズ・ルール”や、”ケビン・デュラント・ルール”があると言いました。
ここでは、この2つのルールを明確にすることで、マックス契約に関する知識をある程度付けておきましょう!
-
「マックス契約」とは?【NBA用語解説】
続きを見る
特定選手(デシグネイテッド・プレイヤー)
その前に、忘れてはならない重要な用語があるので、覚えておきましょう。
それが”特定選手(デシグネイテッド・プレイヤー)”であり、特定選手との契約を、そのまま”特定選手契約”と呼びます。
字のごとく、これはチームが特定の選手を指定することができる制度であり、指定されていない選手は、後に解説する”デリック・ローズ・ルール”や”ケビン・デュラント・ルール”を適用することができません。
ただし特定選手は、1チームにつき1人しか指定できないという規則があります。(例外として、他チームから特定選手が移籍してくる場合は、チームに2人存在することが可能)
特定選手は、ルーキー契約を結んでいた選手の契約を引き継ぐ際に適用することができ、4年契約に替えて5年契約が結べるという特徴があります。
デリック・ローズ・ルール
簡単に説明すると”デリック・ローズ・ルール”とは、キャリア6年目以下の選手がマックス契約を結ぶ場合、新契約の1年目の金額を、リーグのサラリーキャップの30%にできるという規則です。(従来であれば25%)
ただし、この条件が適用されるのは特定選手であること以外に、以下の条件のうちどれか1つを満たさなければなりません。
- オールスターゲームの先発に2回選出
- オールNBAチームに2回以上選出(1st~3rdはどれでも良い)
- MVPに1回選出
非常にシビアな条件ですが、それを達成するほどの才能を持つ選手であれば、従来よりも大きな契約を与える価値があるということで策定されています。
豆知識①
公式の名称は”5th Year 30% Max Criteria(5年30%マックス基準)”。規則が策定されて以降、デリック・ローズが最初に条件を満たした選手であったため、この名で知られるようになりました。
ケビン・デュラント・ルール
仕組みは”デリック・ローズ・ルール”と同じですが、”ケビン・デュラント・ルール”の場合はキャリア年数が異なります。
こちらは、キャリア7~9年目の選手がマックス契約を結ぶ場合、新契約の1年目の金額を、リーグのサラリーキャップの35%にできるという規則です。(従来であれば30%)
もちろん、こちらも以下の条件のうち1つを満たす必要があります。
- 2シーズン連続でオールNBAチーム選出、もしくは直近3シーズンのうち2シーズンでオールNBAチーム選出(どちらも1st~3rdはどれでも良い)
- 2シーズン連続で最優秀守備選手賞に選出、もしくは直近3シーズンのうち2シーズンで最優秀守備選手賞に選出
- 直近3シーズンのうち、1シーズンでMVPに選出
これらの条件に加え、チームがドラフト指名でルーキー契約を結んだ選手か、ルーキー契約時にトレードで獲得した選手である必要があります。
要するに、ルーキーイヤーから同一チームでプレイし続け、リーグ屈指の才能を持った選手に成長することで、”ケビン・デュラント・ルール”が適用される…というわけです。
豆知識②
”ケビン・デュラント・ルール”が適用されたのは2017年のCBA(NBA団体交渉協約)で、2016年にオクラホマシティ・サンダーのスーパースターであったケビン・デュラントが、ゴールデンステイト・ウォリアーズへフリーエージェントとして移籍したことをきっかけに策定されました。
これにより名を付けられた”ケビン・デュラント・ルール”は、スーパースターがフリーエージェントとしてチームを去ってしまう事態を防ぐために存在しています。
豆知識③
公式の名称は”Designated Veteran Player Extension(DVPE)”。ちなみに、最も知られている呼び方だと、”スーパーマックス契約”となります。
まとめ
いかがでしたか?
まとめると、”デリック・ローズ・ルール”は、キャリア6年目以下の選手のマックス契約を25%から30%にできる規則、”ケビン・デュラント・ルール”はキャリア7~9年目の選手のマックス契約を30%から35%にできる規則です。
これらを適用するためには、1チーム1人までの”特定選手”かつ、それぞれの条件を満たす必要もあります。
言葉にすれば厄介かもしれませんが、仕組みは思っているより簡単なものです。
特に”ケビン・デュラント・ルール”は、”スーパーマックス契約”としてオフシーズンに取り沙汰されることも多いので、覚えておくといいでしょう。
それでは!