考察

パスカル・シアカムとの契約延長はどうなる?

毎年、チームは過去の1巡目指名選手(特に3年目を終えた選手)と、ルーキー・スケール・エクステンションと呼ばれる契約延長を結ぶかどうか、10月21日までに決めなければなりません。

昨年の夏は、カール・アンソニー・タウンズやデビン・ブッカー、マイルズ・ターナー、ジャスティス・ウィンズロウ、ラリー・ナンスJr.の5選手が契約延長を結びました。

もちろん契約延長の幅は広く、タウンズのように5年1億9,000万ドルのマックス契約を結んだ選手も居れば、ウィンズロウのように3年3,900万ドルといった大がかりではないものもあります。

そして今年の夏は、ベン・シモンズ(5年1億7,000万ドル)、ジャマール・マレー(5年1億7,000万ドル)、キャリス・ルバート(3年5,250万ドル)の3選手が、既にルーキー・スケール・エクステンションを結んでいます。

しかし、まだ契約延長を待っている選手も居るのではないでしょうか?

そう、2018-19シーズンの最優秀躍進選手賞を受賞し、優勝に欠かせない主力となった、トロント・ラプターズのパスカル・シアカムです。



キャリア4年目を迎える25歳のシアカムは、昨季19.0得点、7.1リバウンド、2.8アシストとキャリア最高のシーズンを過ごしました。

彼の生産性と、勝利への影響力は、間違いなく大きなものがあると言えるでしょう。

リーグのエグゼクティブたちは、シアカムの契約延長についてどう考えているのでしょうか?

元イースタン・カンファレンスのゼネラルマネージャーの一人は『HoopsHype』に対し、シアカムがこのオフシーズン中に、マックス契約ほどの契約延長を得られる力があると信じていると語りました。

「シアカムはマックス契約を受け取る正当な例だ。他の選手に、マックス契約で延長するだろうか?絶対にあり得ない。選手が勝利に影響を与えられるかどうか、彼が文化に適しているかどうか、成長の余地があるかどうか、優勝する力を持ったチームで最高の選手になれるかどうか、私はそういった要因を考えている」

あるウェスタン・カンファレンスのコーチも、同様の意見を持っています。

「トロントがカワイ・レナードやダニー・グリーンを失ったため、パスカル・シアカムは彼らにとって安全な賭けかもしれない。彼が非常に効率的で、チームのために多くのことをし、とても実用的な選手へ成長したことに、私は感銘を受けているよ。外から見ていると、彼はまだ成長できるように思う。彼はとてもやる気があるし、自分が置かれている状況に感謝していて、何も当たり前とは思っていない」

一方で、契約延長はあったとしても、シアカムがマックス契約に値するほどではない、と考えるエグゼクティブも居るようです。

現在のイースタン・カンファレンスのゼネラルマネージャーの一人は、次のように語りました。

「私はトロントと話をしたわけではないが、彼は明らかに大きな選手であり、優勝の助けとなった。若く、運動能力があり、シュートも打てる。彼ら(ラプターズ)は、彼と契約延長をしようとするだろう。ただ、彼はマックス契約に値する選手だと思うかい?ノーだ。彼は良い選手だと思うかい?確かにそうだ。だから、彼が価値があると思うところで収まるだろう」

別のウェスタン・カンファレンスのエグゼクティブも、シアカムがマックス契約に値する選手ではない、という意見に同意しています。

「パスカル・シアカム、ジェイレン・ブラウン、ブランドン・イングラム、バディ・ヒールド(といった残りのルーキー・スケール・エクステンションの候補者たち)のいずれも、マックス契約を結んだり、マックス契約に値するとは思わない。もし私が各チームを運営していたら、彼らにそうさせるよ。状況によっては、キャップを保持しておいたほうが遥かに有益だ。市場価値以下の取引か、ほとんど考えなくていい簡単な契約延長である時のみ、契約延長をする必要がある。」

シアカムが契約延長に値するものの、マックス契約には値しないというのは、非常に興味深い問題でしょう。

シアカムは比較的若いかもしれませんが、彼の年齢は25歳で、3年目を終えた選手としては、やや年上です。

今年の夏にルーキー・スケール・エクステンションを結んだ選手のうち、マックス契約を結んだシモンズとマレーは23歳以下ですが、25歳のルバートはマックス契約を得られませんでした。

ラプターズを含む複数のチームは、シアカムの年齢が、マックス契約を与えられない要因だと考えているのでしょうか?

シアカムがさらに成長した時、どのような選手になるのかも、注目すべきです。

彼が2018-19シーズンに飛躍できた理由の一つとして、スリーポイントシュートが大幅に改善されたことが挙げられます。

2年目は、スリーポイントシュートの試投数が1試合あたり平均1.6本だったのに対し、3年目は平均2.7本へ増加し(多くはないものの、堅実な試投数)、成功率は36.9%を記録しました。

シアカムが外からのショットを増やし、成功率を維持できるならば、彼は今後のシーズンで平均20得点を記録できる選手になるでしょう。

しかし、ポジション的にも、役割的にも、シアカムがスリーポイントシュートをどんどん打つような選手になることは無いため、彼が爆発的なスコアラーになることは期待出来ません。

その代わり、彼は他の面で(特にディフェンス面で)相手の脅威となることも出来ます。

そういった観点から、おそらくシアカムはオールNBA級の選手へ成長するというよりも、どのコーチにとっても起用しやすい万能的な選手として成長するでしょう。



万が一、ラプターズがシアカムに契約延長を提示しなかった場合、彼は来年の夏に制限付きフリーエージェントとなり、市場価値を試されることとなります。

もちろん、その可能性はあまり考えられませんが、まだ何が起こるかは分かりません。

少なくとも、今の段階で私たちがシアカムの契約延長で持つ疑問は、彼が契約延長を結ぶかどうかよりも、彼がマックス契約に値するかどうかのようです。

決断次第で、ラプターズの未来は大きく変わることになるでしょう。

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パスカル・シアカムはマックス契約に値する?
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