考察

2010年代を代表したNBAチーム”トップ10”

2019年も残すところあとわずかとなり、年が変わればNBAも新たに2020年代を迎えることとなります。

というわけで、今年最後の記事は2010年代を代表したNBAチーム”トップ10”をご紹介しましょう。

10位 ロサンゼルス・クリッパーズ

  • 優勝回数:0回
  • プレイオフ進出回数:7回(2012~2017、2019)

2010年代のクリッパーズと言えば、クリス・ポール、ブレイク・グリフィン、ディアンドレ・ジョーダンのビッグ3を擁した”ロブシティ”の時代でしょう。

彼らに加えてJJ・レディックや、ジャマール・クロフォード、マット・バーンズらも平均二桁得点を挙げていただけに、特にオフェンス面の脅威はトップクラスでした。

しかし、これほど華やかな選手を揃えていてもプレイオフの結果は乏しく、最高成績はカンファレンス準決勝進出と不思議なものです。

ただ、”ロブシティ解体後”も首脳陣の手腕は見事なもので、トバイアス・ハリスやルー・ウィリアムズ、ダニーロ・ガリナリ、パトリック・ベバリー、モントレズ・ハレルの台頭を経て、2019年には再びプレイオフの舞台に返り咲き、3連覇を目指すゴールデンステイト・ウォリアーズから2勝を挙げるなど、大きく健闘しました。

今となっては、ウィリアムズやベバリー、ハレルに加えて、スーパースターのカワイ・レナードやポール・ジョージが加入したため、2020年代はさらに上位に食い込むチームとなるかもしれません。

9位 ボストン・セルティックス

  • 優勝回数:0回
  • プレイオフ進出回数:9回(2010~2013、2015~2019)

優勝こそは無かったものの、2010年代における9回のプレイオフ進出回数はオクラホマシティ・サンダーと並んでリーグ2位で、一貫した強さがあったことが分かります。

2010年に優勝まであと一歩に迫りながらロサンゼルス・レイカーズに敗れて以降も、3度(2012、2017、2018)に渡ってカンファレンス決勝まで進出しましたが、いずれの年もレブロン・ジェームズを擁するチームに敗れてしまいました。

2018年にレブロン・ジェームズがウェスタン・カンファレンスへ去ったのは大きな利点であったものの、近年はイースタン・カンファレンスのチームも強豪が増えてきただけに、2020年代も一筋縄ではいかない戦いが続くことになるでしょう。

8位 ヒューストン・ロケッツ

  • 優勝回数:0回
  • プレイオフ進出回数:7回(2013~2019)

ゴールデンステイト・ウォリアーズという強大な宿敵を打ち倒すことこそ叶いませんでしたが、それでも彼らを最も苦しめたチームの一つという意味では、十分にランクインに値するものです。

ジェームズ・ハーデンの台頭や、クリス・ポールの加入などによって力を伸ばしたロケッツは、2017-18シーズンに65勝17敗のリーグ最高勝率を記録し、2連覇を目指すウォリアーズを抑えて第1シードでプレイオフへ。

順当に勝ち進みカンファレンス決勝でウォリアーズと対戦し、一時は3勝2敗まで追い込んだものの、ポールのハムストリング負傷という手痛い離脱によって、最後はあえなく散ることとなりました。

ポールの怪我を批判するつもりはありませんが、彼の怪我が無ければ結果は変わっていたかもしれない…と考える人は少なくありません。

7位 ダラス・マーベリックス

  • 優勝回数:1回(2011)
  • プレイオフ進出回数:6回(2010~2012、2014~2016)

ここ数年の大幅な成績の低下によって上位には入らないものの、それでも2011年に見せた快進撃を忘れるわけではありません。

彼らはプレイオフを第3シードで迎え、1回戦の強豪ポートランド・トレイルブレイザーズを4勝2敗で下した後、カンファレンス準決勝では前年王者のロサンゼルス・レイカーズをスウィープで、さらに着実に力を伸ばしつつあったオクラホマシティ・サンダーも4勝1敗で破り、2006年以来のNBAファイナル進出を果たしました。

そして、NBAファイナルではレブロン・ジェームズやドウェイン・ウェイド擁するマイアミ・ヒートを4勝2敗で下し、球団史上初のNBAチャンピオンに輝いたのです。

ファイナルで輝きを放ったのは誰もが知るダーク・ノビツキーで、彼は平均26得点、10リバウンドを記録したほか、当時のマーベリックスはタイソン・チャンドラー、ショーン・マリオン、ジェイソン・テリー、ジェイソン・キッドといった、ベテランのロールプレイヤーが完璧な融合を果たしたチームでした。



6位 オクラホマシティ・サンダー

  • 優勝回数:0回
  • プレイオフ進出回数:9回(2010~2014、2016~2019)

2010年代にケビン・デュラント、ラッセル・ウェストブルック、ジェームズ・ハーデンが同じチームに在籍していたなんて、今となっては理解できないようなことです。

後に彼ら3人はそれぞれシーズンMVPを受賞しましたが、なぜ彼らが揃った状態で一度しかNBAファイナルに進出できなかったのか…と人々は振り返るでしょう。

真っ先にチームを離れたのはハーデンでしたが、その後もサンダーの強さが衰えることはなく、10年間で9回のプレイオフ進出を果たし、彼らもまたゴールデンステイト・ウォリアーズを最も苦しめたチームの一つとなりました。

デュラントやウェストブルックに加え、スティーブン・アダムスや、サージ・イバカを擁していた2015-16シーズンは特に圧巻で、カンファレンス決勝では歴代最高勝率を記録していたウォリアーズに3勝2敗と王手をかけていました。

もし、第6戦でウォリアーズのクレイ・トンプソンが覚醒していなければ、このNBAは大きく異なる時代を迎えていたかもしれません。

この年を最後にケビン・デュラントはサンダーに別れを告げ、ウォリアーズ移籍という誰もが青ざめるような決断を下しました。

5位 トロント・ラプターズ

  • 優勝回数:1回(2019)
  • プレイオフ進出回数:6回(2014~2019)

2009年から5年連続でプレイオフを逃していたラプターズでしたが、デマー・デローザンやカイル・ラウリー、ヨナス・バランチュナスを中心としたロスターが噛み合い、2013-14シーズンからはプレイオフの常連として着実に力を伸ばしていきました。

しかし一方で、2016年以降は3年連続でレブロン・ジェームズ擁するクリーブランド・キャバリアーズに敗れるという屈辱を味わったことで、2018年の最優秀ヘッドコーチ賞を受賞したドウェイン・ケイシー・ヘッドコーチを解任し、さらにはエースのデマー・デローザンもトレードし、カワイ・レナードやダニー・グリーンを獲得するという大勝負を仕掛たのです。

第2シードで臨んだ2019年のプレイオフでは、カンファレンス準決勝で第7戦の歴史に残るレナードのブザービーター、カンファレンス決勝で第1シードのミルウォーキー・バックスに快勝した後、3連覇を目指すウォリアーズとNBAファイナルで激突し、4勝2敗で球団史上初のNBAチャンピオンに輝きました。

ウォリアーズの悲惨な負傷があったとしても、レナードの一貫したパフォーマンスや、パスカル・シアカムの成長、カイル・ラウリーのタイムリーな活躍、成長したリザーブメンバーの貢献などは、もちろん優勝に値するものだったと言えるでしょう。

4位 マイアミ・ヒート

  • 優勝回数:2回(2012、2013)
  • プレイオフ進出回数:7回(2010~2014、2016、2018)

2010年代前半を代表するチームの一つは、やはりレブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュの”スリーキングス”を擁したヒートでしょう。

特に2連覇をかけて臨んだ2012-13シーズンは、レギュラーシーズンで歴代2位の27連勝や、NBAファイナルでのサンアントニオ・スパーズとの死闘を繰り広げたことは、今でも忘れるはずのない出来事です。

2014年にジェームズが去ったことでヒートは優勝争いから遠のくこととなりましたが、それでも大幅に成績を落とすことなく毎年のようにプレイオフ争いを繰り広げています。

そして2019年には、長らくチームに居なかったプレイオフへ導くスターの存在――ジミー・バトラーの加入もあっただけに、2020年代のヒートの快進撃に期待したいところです。

3位 サンアントニオ・スパーズ

  • 優勝回数:1回(2014)
  • プレイオフ進出回数:10回(2010~2019)

言うまでもなく、スパーズは2010年代も全ての年でプレイオフに進出し、全てのNBAチームが羨むような一貫性のあるチームとして君臨し続けました。

そして充実した10年間の中でも特に濃かったのは2014年で、スパーズは前年のNBAファイナルで敗れたマイアミ・ヒートを、4勝1敗で見事に打ち破りました。

メディアは高齢化するスパーズのビッグ3(ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリ)に注目していたため、結果は同じようになると思われていたのです。

しかし、ファイナルMVPに輝いたのは誰でしょうか?

この時、カワイ・レナードという存在が初めてリーグに知れ渡った瞬間でもありました。

そして、2010年代後半こそ徐々に優勝争いから遠ざかっていったものの、2015-16シーズンにはゴールデンステイト・ウォリアーズに引けを取らないシーズン67勝を記録し、以降も競争力あるチームを維持し続けたグレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチには、畏敬の念を抱くしかありません。



2位 クリーブランド・キャバリアーズ

  • 優勝回数:1回
  • プレイオフ進出回数:5回(2010、2015~2018)

2010年代のイースタン・カンファレンスを代表するチームを挙げるならば、もちろんクリーブランド・キャバリアーズとなるでしょう。

レブロン・ジェームズが去った2010年以降は4年間に渡って不振が続いたものの、その影響もあってキャバリアーズは2011年のドラフトでカイリー・アービングを全体1位指名で獲得しました。

徐々に成績を伸ばしていく中、大きな転機は2014年――レブロン・ジェームズがキャバリアーズに凱旋し、さらにケビン・ラブをもトレードで獲得し、アービングと合わせてビッグ3を結成したのです。

その後、ゴールデンステイト・ウォリアーズと前代未聞の4年連続同一カードのNBAファイナルを戦う中でも、最高の瞬間は2016年――。

当時のウォリアーズは73勝9敗で歴代最高勝率を記録していた、いわば”最強のチーム”でしたが、キャバリアーズは第7戦までもつれる激闘の末に、ジェームズのチェイスダウンブロックや、アービングの決勝3ポイントシュートによって、ウォリアーズを下しました。

彼らがウォリアーズを上回ったのは2016年だけでしたが、その時にウォリアーズが成し遂げていたことを考えると、キャバリアーズの勝利がどれだけ価値のあるものであったかは想像に難くないでしょう。

1位 ゴールデンステイト・ウォリアーズ

  • 優勝回数:3回
  • プレイオフ進出回数:7回(2013~2019)

特に2010年代後半でウォリアーズが成し遂げたこと、確立したことを表現するのは、簡単なようであまりにも難しいことです。

2015年の優勝から始まり、2015-16シーズンの歴代最長となる開幕24連勝、歴代最高勝率となる73勝9敗、他のチームにとって悪夢のようなケビン・デュラントの加入、2016年プレイオフの歴代最高勝率(16勝1敗)、2017年の2連覇、5年連続NBAファイナル進出――。

あるいはバスケットボールに与えた影響としては、現代のNBAが3ポイントシュート主流となった理由はウォリアーズにあります。

あまりの強さゆえに多くの敵を作ったチームでしたが、ウォリアーズも勝てない時代を乗り越え、2016年にはクリーブランド・キャバリアーズに屈辱的な敗北を味わい、最後は相次ぐ負傷と共に3連覇の夢を逃したチームでもあります。

今のNBAがあるのは彼らのおかげでもあり、5年間に渡ってNBAをリードしてきたことも、称賛されるべきことだと言えるでしょう。

『ステフィン・カリー 努力、努力、努力 自分を証明できるのは、自分だけ』

  • 原著:Marcus Thompson,2
  • 著:マーカス トンプソン,2
  • 翻訳:東山 真

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