今シーズンのマイアミ・ヒートは特別なシーズンを送っており、それは2019年の夏に移籍してきたジミー・バトラーにも同様のことが言えるでしょう。
彼は間違いなく、現時点でトップ10以内に入るMVP候補で、オールNBAチーム選出や、オールディフェンシブチーム選出の可能性があります。
全てを考慮すれば、おそらくバトラーにとって”ベスト”なシーズンになると主張できるでしょう。
しかし、ある意味ではバトラーにとって”ワースト”なシーズンであることも忘れてはなりません。
それはシューティングのことを指します。
今シーズン、バトラーの3ポイントシュート成功率は27.6%とかなり低く、わずか11本しか打たなかったルーキーイヤーを除けば、これはキャリアワーストの数字となっています。
また、フィールドゴール成功率でも1試合平均2本の試投数に満たなかったルーキーイヤーを除けば、キャリアで2番目に低い43.0%を記録しています。
『Cleaning the Glass』によれば、ロングレンジからの2ポイントシュート成功率も29%と、いずれにしても今シーズンのバトラーのシューティングが非常に悪いことは明らかでしょう。
しかし、それでも彼は平均20.8得点を記録しています。
それはなぜか――バトラーは1試合あたり平均9.8本ものフリースローを獲得することによって、それを補っているのです。
言うまでもなく、フリースロー試投数と成功数はキャリアハイとなっています。
特に直近3試合(インディアナ・ペイサーズ戦、フィラデルフィア・76ers戦、ワシントン・ウィザーズ戦)だけでも、計48本ものフリースローを放ち、うち40本を成功させました。
それでも『CBSSports』のブラッド・ボトキン氏によれば、ヒートのエリック・スポールストラ・ヘッドコーチは、バトラーのシューティングの成功率が低いことについて、何も心配していないと語っています。
「全ては効率性だ。フィールドゴール成功率は気にしていない。フリースローを計算に入れれば、彼はリーグで最も効率的でオフェンシブなバスケットボール選手の一人だ。分析する必要は無く、彼のプレイを見るだけで非常に安定しており、プレイオフに対応できるプレイだと分かる」
スポールストラHCが語ったように、バトラーはショットが決まらずとも、フリースローで確実に得点を補うことができるため、結果的には効率的な選手として見られています。
また、バトラー以外に優れたシューターが居て、チームの3ポイントシュート成功率はリーグ2位の39.1%であるため、バトラーが無闇にショットを増産する必要が無いというのも大きな利点でしょう。
とはいえ、特にプレイオフでフリースローの獲得に頼るのは危険な賭けでもあります。
ジェームズ・ハーデンに尋ねれば分かるでしょう――ファウルを吹いてもらえなければ、ジャンパーによって得点を積み重ねていかなければなりません。
現状でもバトラーは”ベスト”なシーズンを送っているのは確かですが、だからといって”ワースト”の部分をないがしろにしてはならないでしょう。
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