通常であれば、ドラフト抽選はその年のプレイオフ進出を逃した14チームが対象となります。
現行のルールでは、この14チーム全てが全体4位以内の指名権を獲得するチャンスがあり、もちろん成績が低いチームほどその当選率は高くなります。
しかし、今年のドラフト抽選は新型コロナウイルスの影響で変化が起きました。
これにより、特にワシントン・ウィザーズは今年のドラフト抽選で”損”をすることになるかもしれません。
リーグはオーランドでの2019-20シーズン再開に含まれない8チームを、ドラフト抽選で全体4位以内の当選率が高い8チームに強制的に設定しました。
これが今年のドラフト抽選に起きた変化であり、この8チームの当選率が変更されることはありません。
▼指名権の当選率が決定した8チームと、全体4位以内の指名権の当選率
チーム(成績下位順) | 全体1位指名権の当選率 | 全体2位指名権の当選率 | 全体3位指名権の当選率 | 全体4位指名権の当選率 |
ウォリアーズ(1) | 14.0% | 13.4% | 12.7% | 12.0% |
キャバリアーズ(2) | 14.0% | 13.4% | 12.7% | 12.0% |
ティンバーウルブズ(3) | 14.0% | 13.4% | 12.7% | 12.0% |
ホークス(4) | 12.5% | 12.2% | 11.9% | 11.5% |
ピストンズ(5) | 10.5% | 10.5% | 10.6% | 10.5% |
ニックス(6) | 9.0% | 9.2% | 9.4% | 9.6% |
ブルズ(7) | 7.5% | 7.8% | 8.1% | 8.4% |
ホーネッツ(8) | 6% | 6.3% | 6.7% | 7.2% |
ここで鍵になってくるのが、現在リーグで9番目に低い成績を残しているウィザーズと、シーズン中断前にリーグで8番目に低い成績を残していたシャーロット・ホーネッツの各成績です。
現在(現地8月3日終了時点)、ウィザーズは24勝43敗で勝率が35.8%であるのに対し、ホーネッツは23勝42敗で勝率が35.4%となっています。
ホーネッツは既に今シーズンを終了させているため、ウィザーズが最終的にホーネッツの成績を下回るかどうかは、ウィザーズの残りのシーディングゲームの結果によって左右されます。
しかし先述したように、ホーネッツの当選率が変化することは無いため、事実上はウィザーズがリーグで8番目に低い成績を残したとしても、ドラフト抽選では9番目に低い成績を残したチームとして扱われるのです。
もちろん、ウィザーズがホーネッツの勝率を下回ると決まったわけではありませんが、ブラッドリー・ビールやダービス・ベルターンスといった主要なスコアラーが不在の中でウィザーズが成績を改善させる期待は薄く、実際に3連敗と苦しいスタートを切っています(加えて、再開前の練習試合でも3連敗)。
ドラフト抽選で全体4位以内の当選率が8番目に高いチームと、9番目に高いチームは、本来であればそれほど気にしない違いかもしれませんが、その考えは昨年のドラフト抽選によって打ち崩されました。
昨年のドラフト抽選では、7番目に成績が低かったニューオーリンズ・ペリカンズが全体1位指名権を、8番目に成績が低かったメンフィス・グリズリーズが全体2位指名権を手にしたためです。
若い選手が増え、ジョン・ウォールとビールがチームのサラリーの多くを占めているウィザーズにとっては、安価なルーキー契約で有望なローテーションプレイヤーを獲得できるドラフトは重要な機会です。
ウィザーズがリーグで9番目に低い成績を残した(あるいは9番目に低い成績として扱われた)場合、彼らの全体4位以内の指名権の当選率は合計で20.2%となります。
それも決して悪い数字ではありませんが、今年もリーグで7番目や8番目に低い成績を残したチームの指名権がステップアップすれば、首脳陣はウィザーズがシーズン再開に含まれたことを残念に思うかもしれません。