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キングスの”負の歴史”を忘れさせ、将来の希望となる新人のタイリース・ハリバートン

サクラメント・キングスは長年に渡ってNBAドラフトで失敗を犯してきたチームの一つです。彼らは14年連続でプレイオフ進出を逃しており、それは言い換えれば14年連続でドラフトのロッタリー(14位以内)に入っているということです。しかし、彼らは今の今まで下位に沈み続けてきました。

その”負の歴史”がどれだけ屈辱的なものであるか、別の言い方をすれば、サンアントニオ・スパーズは昨季まで22年連続でプレイオフに進出していました。しかし、彼らはその中でもマヌ・ジノビリやトニー・パーカー、カワイ・レナード、デジャンテ・マレーといった有望な選手を輩出しています。

ドラフトでキングスに見逃された将来のスターは何人もいます。クレイ・トンプソン、デビン・ブッカー、ヤニス・アデトクンボ、デイミアン・リラード、ケンバ・ウォーカー――。

2016年のドラフトでは、キングスは指名順を全体8位から全体13位にトレードダウンし、ドマンタス・サボニス(全体11位)を見逃しました。キングスは新たな全体13位指名権でヨルゴス・パパヤニスを指名しています。それだけではありません。全体22位指名権でマラカイ・リチャードソンを指名し、パスカル・シアカム(全体27位指名)を見逃しました。全体28位指名権でスカル・ラビシエを指名し、デジャンテ・マレー(全体29位指名)を見逃しました。そのドラフトから4年間が経過した今、キングスに1巡目指名された3人の選手はチームのロスターどころか、リーグのどこにもいません。

2年前も同様です。キングスは全体2位指名権でマービン・バグレー三世を指名しました。バグレーが空振りであると言っているわけではありません。しかし、彼らの後に指名されたルカ・ドンチッチ(全体3位指名)やトレイ・ヤング(全体5位指名)らは、早くもリーグのスターの一人として台頭しています。より耳を覆いたくなる事実があるとすれば、それはキングスのブラデ・ディバッツGM(ゼネラルマネージャー)は当時からドンチッチの情報を多く持ち、彼の才能を広く知っていたということです。ディバッツ”元”GMとなった理由はここにあります。

しかし、キングスの”負の歴史”に終止符が打たれる時はやってきたのかもしれません。彼らは2020年のドラフトでアイオワ大のガード、タイリース・ハリバートンを全体12位で指名しました。彼は成功を収められなかった今までの選手とは異なることを、キャリアの早い段階から証明しています。

ハリバートンは最初の5試合で平均10.6得点、2.0リバウンド、4.6アシストを記録しました。あっという間にルーク・ウォルトンHC(ヘッドコーチ)の信頼を勝ち取ったハリバートンは、既に主力のディアロン・フォックス、バディ・ヒールドと並んでバックコート陣のローテーションの一角を担っています。

さらに重要なのは、ハリバートンが自分の役割に自信を持っているということです。『NBA.com』のショーン・パウエル記者によれば、ハリバートンは次のようにコメントしました。

「傲慢に聞こえるかもしれないけど、僕はローテーションの一角を担うために取り組んできたのだから、今の役割に驚くことはないよ」

シーズンが始まったばかりとはいえ、ハリバートンのシューティングとボールハンドリングのスキルには感銘を受けるものがあります。彼はここまでフィールドゴール成功率 52.9%(18‐34)、3ポイントシュート成功率 50.0%(10‐20)を記録しました。彼は計134分間の出場で、ターンオーバーはわずか4本しか記録していません。AST/TO(ターンオーバー1本あたりのアシスト数)は5.5本で、これは今季のルーキーの中で1位の記録となっています。

ハリバートンの堅実なパフォーマンスにはチームメイトも信頼を寄せており、フォックスは彼が以前からNBAを経験していた選手に見えると語りました。

「彼は年齢を感じさせないプレイをしていて、僕らはボールを持っている彼に最大の信頼を寄せている。機会さえあれば、彼はステップアップしていく選手。彼は試合をよく理解している。…彼が既にNBAで何年間かプレイした選手だと思った人もいるんじゃないかな」

ただ、ハリバートンは1月1日(日本時間2日)のヒューストン・ロケッツ戦で左手首の骨挫傷を負いました。チームの発表によると、ハリバートンは少なくとも1週間の離脱を余儀なくされるようです。堅実なスタートを切りたいと考えているキングスにとって、ハリバートンの離脱は痛手となるでしょう。彼はただのルーキーではなく、既にチームの主要な戦力の一人です。

シーズンの序盤から指揮官やチームメイトの信頼を勝ち取るルーキーはほとんどいません。そういった意味でも、ハリバートンはキングスの将来の希望として大きな期待を背負っています。期待に応えられるか、押しつぶされるかは、その選手の器量次第です。しかし、彼は期待を受け止める覚悟を持っていることを明かしました。なぜなら、それが彼の夢でもあるからです。

「子供の頃から世界最高の選手になりたいと思っていたんだ」

キングスに”負の歴史”があったという事実を変えることはできませんが、それを忘れることはできます。ハリバートンがキングスの将来をより良い方向に導いてくれるのか注目しましょう。

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  • 翻訳:東山 真

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