昨季のイースタン・カンファレンス王者であるマイアミ・ヒートが、今季は思わぬ苦戦を強いられています。1月28日(日本時間29日)のロサンゼルス・クリッパーズ戦に109‐105で敗れたことによって5連敗。ここまで6勝12敗でイースト13位と、開幕当初の優勝争いの期待は大きく失われています。
そんななか、元オールスターのポール・ピアースが彼らの現状に警鐘を鳴らしています。『Heat Nation』のロバート・マルビ記者によれば、ヒートが27日(同28日)のデンバー・ナゲッツ戦に109‐82で敗れた後、ピアースはヒートが今年にプレイオフに「出場できない」と指摘しました。
「試合の早い段階で、(ナゲッツのニコラ)ヨキッチがボールをコートの端から端まで投げるプレイを見た。それは昨年に見たマイアミ・ヒートとは違う。あのチームはハードワークとタフネスの上に成り立っていたが、今年はそれが見られない。だからプレイオフには進出できないと思う」
ピアースはボストン・セルティックスに所属していた現役時代、プレイオフでヒートと激闘を繰り広げた経験があります。そしてセルティックスがNBAファイナルに進出した2010年を除けば、レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュの”ビッグ3”が結成された2011年、2012年はヒートに敗れてきました。しかし、それらの経験から来る偏見を抜きにしても、ヒートの現状を見ればピアースが厳しい指摘をするのも無理はないでしょう。
とはいえ、巻き返すチャンスはまだまだ残っています。第一に、現在イースト8位のニューヨーク・ニックスとはわずか2.0ゲーム差(日本時間1月30日時点)であり、昨年のイースト王者からしてみればなんて事の無い差に過ぎません。また、スターのジミー・バトラーは怪我の影響で今季6試合にしか出場しておらず、新進気鋭の若手であるタイラー・ヒーローも既に何試合か欠場しています。彼らが健康を取り戻せば、ヒートの成績向上は十分に期待できるでしょう。
シーズンの途中から一転して調子を上げるチームが現れるのは、いつのシーズンでもあることです。そして上位でプレイオフに進出してからといって、必ずしも優勝ができるとは限りません。特にヒートは昨季のレギュラーシーズンをイースト5位で終えながらも、首位のミルウォーキー・バックスや3位のボストン・セルティックスを打ち破ってNBAファイナルに進出しました。もちろんレギュラーシーズンを上位で終えることはプレイオフの大きなアドバンテージとなりますが、今の彼らに最も必要なのは、ピアースの言葉を借りれば「ハードワーク」や「タフネス」を取り戻すことなのかもしれません。