ケビン・デュラントとカイリー・アービングがブルックリン・ネッツへ移籍すると想定できたのは、一体いつからでしょうか?
オールスターブレイクで彼らが一緒に行動していることを報道されて以降、常に移籍先の話題はニューヨーク・ニックスだったはずです。
しかしフリーエージェントが解禁されて数時間後、ニックスファンから上がったのは失望の声でした。
ただ、デュラントとアービングが、ニックスよりもネッツを選ぶ理由というのは、とても明白のような気もします。
2013年6月、ネッツは一つの大きな過ちを犯しました。
優勝争いを望んだ彼らは、ボストン・セルティックスからケビン・ガーネットやポール・ピアースをトレードで獲得する代わりに、多くの将来の1巡目指名権を手放したのです。
結果的にネッツの戦力は衰えていき、3年前にはリーグで最も低い成績を記録しました。
それでも、彼らはタンク行為(故意的に敗戦数を増やすことで、上位の指名権を得ること)をしなかった…いえ、出来なかったのです。
それは、ネッツが強制的に上を見て戦わなければいけないことを意味したでしょう。
そして、実際にネッツは目覚ましい成長を遂げ、2018-19シーズンにはプレイオフを目指せる力を取り戻しました。
要するに今のネッツは、プレイオフ争いができる地盤を築き上げていたのです。
一方で、ニックスはどうでしょうか?
彼らは地盤を築き上げるどころか、勝つことを諦め、上位指名権に期待し、スーパースターに頼るためにキャップスペースを空けていました。
固まっていない地盤の上で、デュラントやアービングがプレイしたとしても、彼らに成功があるとは思えません。
(余談ですが、ニックスはデュラントの怪我を懸念してマックス契約を提示しなかったと伝えられています。これもまた、移籍先の決定打となったことでしょう。)
もちろん、デュラントはアキレス腱の回復に時間を費やす必要があるため、2019-20シーズンはアービングを中心にプレイする必要があります。
しかし先述したように、彼らは地盤を築き上げているため、プレイオフを争うことは十分に可能なはずです。
と、それだけ魅力的であってもなお、リーグの話題は常にニックスへの移籍に焦点が当てられていました。
ネッツにとっては、脅威だったことでしょう。
それでも、一夜のニュースで全ての不安は払拭されました。
ニックスの球団社長であるスティーブ・ミルズ氏は、こう語っています。
「一部のニックスファンが今夜のニュースに失望する可能性があることは分かっている。しかし、ドラフトを通じてフリーエージェントをターゲットにし、若い選手たちの主力を築き上げることで、今後もニックスを再建し、優勝を争うという計画に自信を持って、積極的に取り組んでいる」
ニックスは、代わりにジュリアス・ランドル、タージ・ギブソン、ボビー・ポーティスらと契約合意に至りましたが、もちろんネッツに及ぶものではありません。
ネッツは選ばれるのに相応しく、そして大きな勝利を掴んだのです。