考察

2020-21シーズンを迎えるにあたって、これまで以上に懸念すべき選手の怪我

NBAの2020-21シーズンは、前例の無いほど短縮されたオフシーズンと、72試合の過密なレギュラーシーズンを中心に構成されています。

したがって『ESPN』のバクスター・ホームズ記者によれば、リーグの医療関係者は、これらの要因が選手の身体的健康に影響を及ぼさないか懸念しているようです。

2020-21シーズンが予定通り12月22日(日本時間23日)に開幕すると、2020年のNBAのオフシーズンはわずか71日間になります。

北米4大プロスポーツリーグ(NBA、NHL、MBL、NFL)の歴史を見ても、これまでのオフシーズンの最短日数はNHLの99日間であったことを考えると、今回のNBAのオフシーズンの短さが異例であることは容易に分かるでしょう。

このオフシーズンの短さの影響を最も受けるのは、2019-20シーズンを終盤まで戦い抜いたチームです。

NBAファイナルまで進出したロサンゼルス・レイカーズやマイアミ・ヒートはもちろんのこと、カンファレンス決勝まで進出したデンバー・ナゲッツやボストン・セルティックスにも、十分な休息の時間が与えられるとは言えません。

従来のオフシーズンは約4ヶ月ほどありますが、彼らの場合は、オフシーズンが約2ヶ月しか無いためです。

ただ、選手の怪我が懸念されるのは、彼らだけではありません。

7月下旬の2019-20シーズン再開に含まれなかった8チーム――シャーロット・ホーネッツ、シカゴ・ブルズ、ニューヨーク・ニックス、デトロイト・ピストンズ、アトランタ・ホークス、ミネソタ・ティンバーウルブズ、クリーブランド・キャバリアーズ、ゴールデンステイト・ウォリアーズは、今年3月からNBAの試合を行っていないため、これもまた怪我の懸念に繋がります。

また、従来のオフシーズンでは、選手は約1ヶ月に渡るトレーニングキャンプの数週間前から、チームの施設で少しずつ練習することで体を慣らしていくものです。

リーグは今年も非公式の練習であれば施設の利用を許可していましたが、当然ながら短縮されたオフシーズンでは、その練習を十分に行うこともできないでしょう。

72試合の過密なレギュラーシーズンは12月下旬から翌年5月中旬まで行われ、チームごとに計14回の連戦を組み込まれることが予想されています。

ここでの最大の懸念は、過密日程に加えて、今回は移動が伴うということです。

過密日程という意味では、2019-20シーズン再開後も選手はほぼ1日おきに試合を行っていましたが、選手全員はオーランドのバブル(隔離環境)から移動する必要が無かったため、自身の身体面の回復に時間を費やすことが可能でした。

オーランド・マジックのジョナサン・アイザックはバブルで左ひざ前十字靭帯断裂の大怪我を負ったものの、彼は以前にもひざの重傷を負っており、それが懸念されていた中での怪我であったため、必ずしも過密日程が彼の大怪我の根本原因であったとは言い切れません。

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アイザックを除けば、バブルで回復に数ヶ月を必要とするような大怪我を負った選手は、ほかに居ませんでした。

しかし、2020-21シーズンはバブルでの試合が予定されておらず、従来のようにホームとロードの概念が存在する――すなわち移動の必要性があるため、過酷さは2019-20シーズンを上回る可能性があります。

リーグは移動の負担を25%ほどカットするなど工夫に努めていますが、それでも怪我の懸念は今まで以上に大きいでしょう。

「スポーツに怪我はつきもの」とは言いますが、環境やコンディション次第では、怪我の確率は高くも低くもなります。

2020-21シーズンは怪我をしやすい環境にあると考えられるため、リーグと選手は怪我に対して細心の注意を払っていかなければなりません。

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