NBAのトレードにおいて、”買い手”と”売り手”の関係は非常に重要です。
”買い手”とは、優勝争いやプレイオフ争いが期待されるチームのことで、ドラフト指名権を放出する代わりに即戦力となる選手を求めます。
”売り手”とは、プレイオフ進出の望みが薄かったり、再建を図ろうとするチームのことで、選手を放出する代わりにドラフト指名権を求めます。
2019-20シーズンにおけるNBAのトレード市場は、”買い手”が多く集まることになるでしょう。
その理由の一つは、2020年のフリーエージェントにそれほど話題性が無いため、今のうちに戦力となる選手を獲得しようという考えになる可能性があるからです。
また、多くのチームがプレイオフへの希望をまだ残している(特にウェスタン・カンファレンスでは、7位と12位は2.5ゲーム差)ということも、理由の一つとなるでしょう。
ラッセル・ウェストブルックとクリス・ポールを含んだ大型トレードが行われて以来、NBAのトレード市場は驚くほど静かですが、12月15日にフリーエージェントとして契約した選手のトレードが解禁されれば、リーグ全体の約90%がトレードの資格を持つ選手となります。
そして、2月6日のトレード期限まで残り2ヶ月を切っていることを考えれば、トレードはいつ起きてもおかしくありません。
多くのチームが勝利を目指せているということは、すなわちチームが上手くいっているということでもあるため、トレードに対する考えはかなり慎重になるでしょう。
それでも、上手くいっている”買い手”のチームは、どこかのチームが”売り手”となった場合に、どのような選手であれば獲得可能であるかを話し合っているはずです。
ここでは、”買い手”が提示できる魅力的な指名権と、”売り手”が提示できる魅力的な選手をそれぞれ見てみましょう。
目次
買い手
2020年のドラフトにおける後半の1巡目指名権や、序盤の2巡目指名権は、”売り手”にしてみれば魅力的な指名権であるため、非常に貴重な資産となるでしょう。
特に好成績を収めている”買い手”がこれらの指名権を提示した場合、彼らは優勝争いに近づく補強ができるかもしれません。
好成績を収めつつ、指名権を持つ主なチームは以下の通りです。
- ミルウォーキー・バックス:インディアナ・ペイサーズの1巡目指名権(現在は全体20位)
- トロント・ラプターズ:自チームの1巡目指名権(現在は全体22位)
- ヒューストン・ロケッツ:自チームの1巡目指名権(現在は全体23位)
- ロサンゼルス・クリッパーズ:自チームの1巡目指名権(現在は全体25位)
- ボストン・セルティックス:自チーム1巡目指名権(現在は全体28位)、バックスの1巡目指名権(現在は全体29位)
- フィラデルフィア・76ers:ニューヨーク・ニックスの2巡目指名権(現在は全体31位)、アトランタ・ホークスの2巡目指名権(現在は全体37位)
- ダラス・マーベリックス:ゴールデンステイト・ウォリアーズの2巡目指名権(現在は全体32位)
この中で興味深いのは、ダラス・マーベリックスが持つウォリアーズの2巡目指名権で、何ができるかということです。
マーベリックスはコートニー・リー(今シーズンで切れる1,280万ドルの契約)や、ティム・ハーダウェイJr.(2,000万ドルの契約と、1,900万ドルのプレイヤーオプション)も提示できるため、優勝争いの希望がある現時点でトレードに動くのは、最適かもしれません。
売り手
ダービス・ベルターンス(ワシントン・ウィザーズ)
27歳のベルターンスは、現時点で相手の脅威となれるシューターであり、今シーズンの3ポイントシュート成功率はキャリアハイの46.5%を記録しています。
また、契約も今シーズンの700万ドルだけであることを考えると、”買い手”にとっては非常に魅力的な選手だと言えるでしょう。
ただ、彼の思いの外の大成功に、ウィザーズはベルターンスを(今後も)残しておきたいと考えるかもしれません。
マービン・ウィリアムズ(シャーロット・ホーネッツ)
ホーネッツの成績は予想以上に良いものですが、リーグ関係者によれば、33歳かつ今シーズン限りで契約の切れるウィリアムズは、トレードされる可能性が高いようです。
『The Athletic』のシャムス・シャラニア氏は、いくつかのチームがウィリアムズの獲得に注目していると最初に報告しました。
JJ・レディック(ニューオリンズ・ペリカンズ)
レディックは今年の夏に2年2,650万ドルの契約を結び、若い選手の多いペリカンズの中で重要なベテランの役割を担っているため、トレードはそれほど期待できないかもしれません。
しかし複数のエグゼクティブは、貴重なオファーがあれば、ペリカンズからレディックを手放させることができると信じているようです。
アンドレ・イグダーラ(メンフィス・グリズリーズ)
レイカーズはイグダーラのバイアウトを望んでいるようですが、同時にそれが起こる可能性はほとんど無いという情報もあります。
グリズリーズが、どれだけイグダーラをバイアウトではなくトレードさせたいかは明白なようで、ある情報筋によれば、グリズリーズは長期契約を引き受けることも含め、どのような種類のトレードでも検討する考えを持っているようです。
マーカス・モリス(ニューヨーク・ニックス)
先週にデイビッド・フィズデイル・ヘッドコーチを解任し、さらにはオーナーのジェームス・ドーラン氏が、トロント・ラプターズの球団社長であるマサイ・ウジリ氏を来年の夏に雇うかもしれないと噂されて以降、首脳陣の次の焦点はモリスにあるかもしれません。
トレード期限までに、モリスが試合に与えるインパクトが”買い手”の関心を引くことが期待されています。
昨シーズンにトレードされたジミー・バトラーやトバイアス・ハリス、マーク・ガソルや、噂されていたアンソニー・デイビスと比べると見劣りしがちですが、サプライズは常に起こるものです。
2018年のトレード期限直前に、ブレイク・グリフィンがロサンゼルスからデトロイトに向かうことは、予想だにしないことでした。
そのため、ここにリストアップされた指名権や選手に限らず、サプライズにも期待しておくべきでしょう。