デンバー・ナゲッツはこれまで14勝8敗で、ウェスタン・カンファレンス5位――ウェスト2位に終わった昨シーズンと比較すれば落ちていますが、かなり苦戦しているというわけでもありません。
ただ、チームの大黒柱であるニコラ・ヨキッチは、苦戦を強いられているという見方をすることもできます。
全米中継された12月6日(日本時間7日)のボストン・セルティックス戦では、30得点、10リバウンド、4アシストとインパクトのある数字を残しましたが、彼は昨シーズンほど頻繁にそのような数字を残しているわけではありません。
『ESPN』のティム・ボンテンプス氏によれば、ナゲッツのマイク・マローン・ヘッドコーチは、ヨキッチが昨シーズンほどインパクトが強くないことについて、”タフな時期”だと語りました。
「彼はタフな時期を経験していると思う。本当にそうだ。そして、私は彼がそれを経験するのを初めて見た。時々、(相手が)彼を過剰にディフェンスすることがあると思う。なぜなら、大半の選手は平均(16得点)、10(リバウンド)、6(アシスト)を記録できないからだ。そして、誰もがこう言うん。”ニコラはどこが悪いんだ?”ってね。」
この疑問はヨキッチ自身にも尋ねられ、彼は肩をすくめてこう言いました。
「僕には分からない。平均16得点、10リバウンド、6アシストを記録しているんだ。正直、それはかなり良いと思っている」
しかし、それと同時に、ヨキッチはこうも言いました。
「特にプレイオフでは、完全により高いレベルでプレイできることを見せた。でも、僕は(レギュラーシーズンから)そのレベルに戻る必要があると思う」
昨シーズン、ヨキッチはキャリア初のプレイオフだったにも関わらず、14試合で平均25.1得点、13.0リバウンド、8.4アシストという数字に加え、攻守でその他にも素晴らしいスタッツを記録しました。
そのため、今シーズンのヨキッチはさらに期待され、一部の人々は彼がMVP候補になると信じ、ナゲッツがNBAファイナルに進出するチームだとも予想しました。
ただ、今のところはMVP候補にも、NBAファイナル進出にも十分とは言い難いでしょう。
何が原因なのでしょうか?
例えば、7フィート(213cm)の身長に、284ポンド(約128kg)という体重が原因なのか(7フィートの選手の中では、ヨキッチが最重量の選手)――。
あるいは、FIBAワールドカップにセルビア代表として出場したために、コートを離れられる時間が少なかったためか――。
マローンHCは、「(原因)全体のうちの少しの部分だと思う」と言っています。
理由が何であれ、一つはっきりしていることは、ヨキッチが昨シーズンよりもアクティブさに欠けているということです。
ヨキッチの出場時間は昨シーズンとさほど変わっていないものの、彼のスタッツは全体的に低下しており、3ポイントシュートの試投数のみ向上しているとはいえ、肝心の3ポイントシュート成功率はキャリア最低の23.0%となっています。
これについて、あるスカウトの一人は「何かが明らかに間違っている」と言いましたが、マローンHCはその意見に反対しました。
「どこも悪いところは無いと思う。彼は自信を取り戻し、ボールをネットに通すことになるよ」
勘違いしてはならないのは、ヨキッチのパフォーマンスが2018-19シーズンほどでなくとも、決して悪くはないということです。
ヨキッチは依然として素晴らしいプレイメイカーであり、しばしばNBA史上最高の”パス・ビッグマン”とも言われ、何より彼がコートに出ている間のネット・レーティング(100ポゼッションあたりの得失点差)は、昨シーズンよりも上がっています(昨シーズンが+5.8ポイントだったのに対し、今シーズンは+6.9ポイント)。
現時点でも、ナゲッツは52試合に勝利するペースで(昨シーズンは54勝だったものの、1試合あたりの得失点差は今シーズンの方が高い)、NBAで2番目に高いディフェンシブ・レーティング(100ポゼッションあたりの失点数)を誇っています。
ナゲッツに改善すべき点があるとすれば、それはオフェンスになるでしょう。
昨シーズンはリーグ7位だったオフェンシブ・レーティング(100ポゼッションあたりの得点数)は、今シーズンにリーグ23位まで落ち込んでおり、ヨキッチの数字の低下が影響していることは偶然ではありません。
それでも、ナゲッツのジャマール・マレーはチームのオフェンスを厳しく評価した後、希望の兆しがあるとも言いました。
「全然上手くいっていない。僕たちのプレイは酷いよ。でも、僕たちが良いプレイをやり始めることを想像したらどうかな?」
ヨキッチにしても、ナゲッツにしても、昨シーズンに持っていた形を再び見つけ出すには、まだ多くの時間が残されています。
ヨキッチはその場所に戻ることを望んでおり、「僕たちは素晴らしいチームになりたい」と語りました。
「(期待が高いことは)良いことだと思う。それが僕たちをより厳しくしてくれるからね。僕たちは良いショットができていない。もう少し良いショットが打てれば、必要なステップを踏み出せると思うよ」
昨シーズンのプレイオフのようなヨキッチのパフォーマンスが戻ってくるかどうか――。
それはおそらく、ナゲッツ全体が彼の”タフな時期”を手助けできるかどうかにも懸かっているでしょう。
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