ベン・シモンズが今シーズンの残りの試合を欠場することが確実な今、フィラデルフィア・76ersがプレイオフの第1ラウンドでボストン・セルティックスを下せると予想する人は、それほど多くないでしょう。
理論上は互いに優れたロスターを持ったチーム同士の対戦であり、第1ラウンドにしては豪華な顔ぶれだと言えますが、今シーズンの76ersはセルティックスとは異なり、優勝候補としての期待に応えることができずに第6シードに甘んじています。
一方、セルティックスはシーズンを通じて一貫性があり、プレイオフに最高のパフォーマンスができるように準備を整えています。
しかし、ホームコートアドバンテージがなく、前例のないバブルの環境は、常に想定外の何かが起こる可能性を含んでいると言えるでしょう。
したがって、ここには第1ラウンドで76ersがセルティックスを下すことができるかもしれない”3つの理由”が存在します。
中心選手の確立
ジョエル・エンビードとシモンズの相性は、以前から懸念されていたことでした。
シモンズがペリメーターからショットを打てなかったことで、エンビードが必要とする十分なスペースを作り出すことができず、同時にエンビードがショットを打たなければならない状況になっていたためです。
当然、シモンズの離脱によって76ersがそれ以上良くなるとは思えませんが、それでも彼らにとっての利点はあります。
76ersはエンビードとシモンズを中心としたオフェンスから、エンビードのみを中心としたオフェンスに切り替えることができるのです。
シモンズが不在の今、エンビードの周囲をシューターで固めることができれば、エンビードはより大きなスペースの中でプレイできるかもしれません。
同時に、エンビードが単体でどれだけ支配的になれるかという点も、チームは見極めることができます。
エンビードかシモンズのどちらかをトレードする噂が流れている76ersにとって、エンビードの将来性を確認できる絶好の機会とも言えるでしょう。
ジョエル・エンビードのストッパー
エンビードを誰が抑えるのかという点は、セルティックスの大きな課題の一つです。
これまではアル・ホーフォードが完全にエンビードを封じ込めていましたが、彼は昨年の夏に76ersと契約を結びました。
ホーフォードが76ersで十分な活躍を残しているとは言い難いものの、第1ラウンドでセルティックスと対戦することを考えると、結果的に彼の獲得はプラスだったのかもしれません。
そして、セルティックスには7フィート(約213cm)のエンビードを守れる、別のビッグマンが居るかどうか分かりません。
ダニエル・タイスは過小評価されている選手ではありますが、エンビードを抑えるにはサイズが足りないでしょう。
エネス・カンターはそもそもディフェンスに問題があるとされており、キャリア2年目のロバート・ウィリアムズは経験面で劣っています。
おそらく、セルティックスはエンビードを徹底的に抑えるため、場合位によってはダブルチームなどを仕掛けるかもしれません。
しかし、エンビードはポストに立っていても優れたプレイメイカーであり、今シーズンのポストからのアシストは1試合あたり平均3.0本を記録しています。
エンビードがオープンになったシューターを容易に見つけた場合、76ersのオフェンスを止めようのない状況にセルティックスは陥る可能性もあります。
アル・ホーフォードの存在
先述したように、ホーフォードは76ersに移籍してから苦労していますが、それはペリメーターからショットを打てないシモンズの影響もありました。
これにより、ホーフォードは本質的にフロアスペーサーの役割を担う必要があり、結果的としてそれは彼に向いた役割ではなかったということです。
シモンズの離脱により、ホーフォードは別の役割が与えられる可能性があるでしょう。
また、ホーフォードは34歳でありながら、依然としてインサイド、アウトサイドを守ることができる堅実なディフェンダーです。
彼の柔軟なディフェンス力は、リーグ屈指のディフェンダーであるシモンズの穴を多少なりとも埋めるのに役立つはずです。
そして何より、ホーフォードはセルティックスのブラッド・スティーブンスHC(ヘッドコーチ)の下で3年間プレイしました。
ホーフォードはセルティックスに対抗するために何をすべきか、貴重な情報や洞察を与えてくれるはずです。