『Yahoo Sports』のライアン・ヤング氏によれば、元NBA選手であるロイス・ホワイト氏は先日、カーメロ・アンソニーがNBAから「排除されている」と指摘しました。
「なぜNBAにメロ(カーメロ・アンソニー)が居ないんだ?」
カーメロは10度のオールスターであり、3度のオリンピック金メダリスト、1度の得点王も経験しており、殿堂入りを果たすには疑いようのない選手です。
カーメロが引退のために最後のシーズンを送るとなれば、多くの人々が彼の軌跡を讃えるでしょう。
しかし、それが実現するような雰囲気はありません。
なぜ、カーメロの居場所がNBAに無くなってしまったのでしょうか?
カーメロの強みが衰えていることは明らかです。
かつて、彼は1on1で最高のスコアラーでもあり、誰が相手でも自由にショットを決めてきました。
今ではそれが見られなくなったわけですが、そもそもカーメロは既に35歳――マイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントで無い限り、その才能を30代中盤まで維持するのは非常に難しいことです。
もし、戦力としてのカーメロを期待しているならば、最大の壁はディフェンスとなるでしょう。
彼は元々強力なディフェンダーでは無かったものが、今では年齢による衰えまでも見えたディフェンダーとなりました。
昨季10試合を過ごしたヒューストン・ロケッツでは、カーメロがディフェンスに付いた選手のショット成功率は平均4.8%向上しており、リム付近では平均12.5%も向上しています。
もっと分かりやすく例えるなら、カーメロがディフェンスに付くことで、相手のオフェンシブプレイヤーが、ジェフ・グリーンからケビン・デュラントに変わるようなものです。
体格も特別大きいというわけでは無かったため、パワーフォワードで起用されてもリバウンドは期待できませんでした。
オクラホマシティ・サンダーでの失敗を取り返そうと臨んだ2018-19シーズンでしたが、わずか10試合であっても、カーメロは戦力として機能しないという評価を決められるには、十分すぎる結果を残してしまったと言えるでしょう。
しかし、本当の問題はおそらくそこではありません。
いくらキャリアの晩年が酷くても、カーメロはNBAを代表した選手であり、彼が残した功績は讃えられるべきです。
通常、殿堂入りをするような選手は、かつてのホームへ帰ることができるでしょう。
ドウェイン・ウェイドは最後のシーズンをマイアミ・ヒートで過ごし、スコッティ・ピッペンは2003年にシカゴ・ブルズへ戻り、ブラデ・ディバッツも36歳の最後のシーズンをロサンゼルス・レイカーズで過ごしました。
もちろん、これらのチームはプレイオフへ進出することができず、勝利のための良い戦略ではありませんが、ファンや組織にとっては非常に良いことです。
しかし、カーメロには本当に帰る場所が無いのです。
彼が最高のキャリアを過ごしたとも言えるデンバー・ナゲッツのロスターはあまりにも良く、来季も優勝争いに焦点を当てるため、感傷的になってカーメロを加える余裕はありません。
ニューヨーク・ニックスでは悪い流れのままチームを去ることになり、ニックスは既に5人のパワーフォワードとも契約を結んでいるため、カーメロとの契約は望みが薄いでしょう。
サンダーはシューターを必要としていますが、ここもカーメロが上手くいかなかった場所であり、既にチームにはロケッツで共に成功できなかったクリス・ポールも居ます。
もし、カーメロの居場所があるとすれば、おそらくそれはチームUSAだったはずです。
彼は国際試合で最も輝きを放ち、1試合で10本のスリーポイントシュートを決める試合さえありました。
今や、アメリカ代表のワールドカップのロスターは、多くの才能のある選手が辞退を申し出ています。
アメリカ代表のロスターにカーメロが加われば、きっと多くの人々は興奮していたでしょう。
ですが、アメリカ代表はそれを望んでいませんでした。
華やかに見えるキャリアを歩んできたカーメロですが、その幕切れは意外にも残酷なのかもしれません。
とはいえ、まだオフシーズン――カーメロが称賛される舞台があることを、私たちはただ祈るばかりです。