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NBAの歴史上でも注目すべき成長を見せるパスカル・シアカム

トロント・ラプターズのパスカル・シアカムがNBA入りを果たしてから今に至るまで、その軌跡を簡潔に振り返ってみましょう。

2016年――彼はドラフトで、トロント・ラプターズに全体27位指名を受けました。

2018年――この時、彼はまだロールプレイヤーでした。

2019年――彼はトロントに初優勝をもたらした主要な選手となり、最優秀躍進選手賞(MIP)を受賞し、その数ヶ月後には4年1億2,990万ドルの大型契約にサインしました。

そして今――彼はキャリア初のオールスターに選ばれ、それもスターターとして出場することになります。

シアカムの”成長”は、NBAの歴史上を見ても類まれなものだと言えるのではないでしょうか。



USA TODAY』のジェフ・ジルジット氏によれば、全体27位指名を受けた選手がスターになることはないという世間の認識に対し、シアカムは「(オールスターは)可能だと思っていた」と語りました。

「ベストになろうとしていないのであれば、どうしてここに居るんだろうか?どこでドラフトされるかなんて関係ない。僕は常に、今の自分が過去の自分より優れていると信じていた。バスケットボールを始めるのが遅かっただけでなく、自分が本来(目指すべきはず)の自分だと感じていなかったから、他の人より頑張らないといけないと思っていたんだ」

キャリア2年目を迎えた2017-18シーズンには81試合に出場しましたが、当時のスタッツは平均7.3得点、4.5リバウンド、2.0アシスト、フィールドゴール成功率50.8%、3ポイントシュート成功率22.0%を記録し、プレイオフを競うチームの堅実なリザーブとして過ごしていました。

その時、シアカムが2018-19シーズンに飛躍し、チームの優勝に欠かせない選手になり、オールスターに出場することになるとは、大半の人々が予想できなかったでしょう。

しかし、彼の成長を常に信じていた人物もいました。

シアカムの代理人であるトッド・ラマサール氏は、次のように語ります。

「(シアカムが)ジムで初めてのトレーニングを終えた時から、(育成のスペシャリストである)リコ(ハインズ氏)は私のところに来て、”トッドはどう思う?”と聞いてきた。私は、”最高の選手となり、オールスターになるポテンシャルを秘めている”と答えたよ」

シアカムのチームメイトで、オールスターでは対戦相手となるカイル・ラウリーも、そのうちの一人です。

「彼がルーキーの時から、僕は彼を信じていたよ。彼がどれだけ(スターになることを)望んでいるのか分かったんだ」

シアカムが短期間で大きな成長を見せた理由の一つは、彼の意欲的な労働倫理にあります。

そしてシアカムの労働倫理を築き上げたのは、ほかでもない彼の両親でした。

シアカムは両親の存在について、こう語ります。

「父は非常に勤勉で、目標を成し遂げ、家族がまっすぐ進めるように働いた人で、僕は常に憧れていた。母も一生懸命に働いていた。僕の周りには、勤勉な親が2人居たんだ」

しかし2014年、シアカムがニューメキシコ州に居た頃、父が交通事故で他界しました。

シアカムは、父の死が自身のバスケットボール人生に大きな影響を与えたと言います。

「父を失い、その痛みを感じ、彼の夢を理解した後、バスケットボールのキャリアを成し遂げたいことに捧げた。勝敗や、誰が優れているかは関係なかった。彼に敬意を示し、彼のレガシーを遺し続け、僕が彼を誇りに思うためだった」

「それが僕のバスケットボール人生の全体的な考え方を変えた。今までに経験したことのない活力を与えてくれた。何もしたくなかったり、やる気が出ない時、いつも彼のことを思い出すと、それが僕を後押ししてくれるんだ」

それから、シアカムの原動力はもう一つありました。

それは、アフリカ出身の選手はハッスル、ディフェンス、ダンクだけが取り柄という認識を変えたかったということです。

カメルーン出身のシアカムは、アフリカ出身の選手に持たれる認識について「不名誉だった」と語りました。

「ガードの選手ができることは、僕にもできると思っていた。アフリカの選手たちにもっと頑張って欲しいとは言わないけど、もっと自分たちができるということを示したい。ドリブルができる、高いIQを発揮できる、パスが出せる、ショットが打てる。認識を変えたかったんだ」

その認識が完全に変わったとは言い切れないかもしれませんが、シアカムが変えるために大きな役割を果たしていることは間違いないでしょう。



さて、間近に迫ったオールスター出場を、シアカムの父はどう思っているでしょうか?

シアカムは「毎日考えている」と語ります。

「何か大きなことを達成するたび、常に自分に最初に問いかけるんだ。”彼は何と言うだろう?”ってね。彼はきっと僕を誇りに思ってくれているだろう。僕にできることは、彼が幸せで、大喜びしてくれているだろうと想像することだけ。なぜなら、彼が望んでいたのはそういったことだからさ」

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