ルーク・バー・ア・ムーテが過去にヒューストン・ロケッツに在籍したのは2017-18シーズンのわずか1年間だけでしたが、その1年間は印象深いものでした。
トレバー・アリーザ、PJ・タッカー、そしてバー・ア・ムーテが織りなすディフェンス力は、リーグ最高レベルのものだったと言っても過言ではないでしょう。
当時のロケッツがプレイオフのカンファレンス決勝でゴールデンステイト・ウォリアーズに敗れたのは、クリス・ポールがハムストリングを痛めたためと考える人もいますが、バー・ア・ムーテが同シリーズでローテーションを失ったことも大きかったかもしれません。
あれから約2年、ロケッツは再びバー・ア・ムーテと契約を結ぶことを『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者が伝えています。
バー・ア・ムーテは、シーズン再開を辞退したタボ・セフォローシャの代替選手としてロケッツと再開を果たすようです。
彼は昨シーズンにロサンゼルス・クリッパーズでわずか4試合に出場した後、膝の怪我で離脱し、最終的に手術を必要としたため、直近15ヶ月間はコートに立っていません。
それはロケッツにとってハイリスクな補強となりますが、一方で2017-18シーズンの面影が少しでも見られた場合、ハイリターンとなる可能性が期待できます。
もちろん、状況は2017-18シーズンとは異なります。
しかし、ロケッツはリムプロテクターのクリント・カペラを放出してまで、ペリメーターディフェンダーのロバート・コビントンを獲得したことから、当時のペリメーターディフェンスを優先して取り戻そうとしているのは明らかです。
クリス・ポールから大学時代のチームメイトであったラッセル・ウェストブルックに代わったことも、バー・ア・ムーテがよりプレイしやすくなる要因となるかもしれません。
今シーズンのロケッツのディフェンシブ・レーティング(100ポゼッションあたりの失点数)はリーグ16位の109.9ポイントと平均的ですが、タッカーとコビントンがコートに立っている時のディフェンシブ・レーティングは107.4ポイントと格段に良くなります。
これは6位のフィラデルフィア・76ers(107.6ポイント)よりもわずかに良い数字です。
タッカーとコビントンが一貫してプレイする中で、健康を維持したバー・ア・ムーテがバックアップとして支えることができれば、2017-18シーズンのようなディフェンス力を取り戻すことはできるかもしれません。
とりわけ、2017-18シーズンのタッカーとバー・ア・ムーテの相性は抜群で、両者がコートに立っていた際のディフェンシブ・レーティングは103.4ポイントでした。
これは当時ディフェンシブ・レーティングでリーグ1位だったボストン・セルティックスと同じ数字です。
そして何より興味深いのは、当時からタッカーとバー・ア・ムーテがコートに立っていた際はセンターが居なかったということです。
つまり、タッカーとバー・ア・ムーテのディフェンスは、カペラが去った今でも十分に機能する可能性があると言えるでしょう。
何度も言いますが、約2年間ほとんどコートに立っていなかったバー・ア・ムーテを過信するのは禁物です。
しかし、2017-18シーズンのディフェンス力に近づけるためにバー・ア・ムーテを獲得することはロケッツにとって良い判断であり、うまくいけばロサンゼルス・レイカーズやクリッパーズとも十分に渡り合うことができ、1994-95シーズン以来のファイナル進出、優勝も見えてくるかもしれません。