ロサンゼルス・レイカーズは10月11日(日本時間12日)に行われたマイアミ・ヒートとのNBAファイナル 第6戦を106-93で勝利し、2010年以来10年ぶりとなる球団史上17回目の優勝を飾りました。
17回目の優勝はボストン・セルティックスに並ぶNBAの史上最多優勝回数です。
また、ファイナルMVPはシリーズ平均29.8得点、11.8リバウンド、8.5アシスト、フィールドゴール成功率 59.1%、3ポイントシュート成功率 41.7%を記録したレブロン・ジェームズが選出されました。
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サポーティングキャストのステップアップ
レイカーズは球団史上17回目の優勝を目指すため、2018年のオフシーズンには史上最高の選手と名高いレブロン・ジェームズと契約を結び、2019年のオフシーズンにはリーグ屈指のビッグマンであるアンソニー・デイビスを、多くの若い選手やドラフト指名権と引き換えに獲得しました。
ジェームズとデイビスの脅威的なデュオはレイカーズのファンを興奮させましたが、それでも優勝については周囲から懐疑的な目があったことも事実です。
どのチームからもあまり必要とされなくなった選手たちの寄せ集めであったり、あるいは7月末のシーズン再開後の8試合のシーディングゲームズで3勝5敗を記録したりと、彼らが優勝を目指すのに不十分と考えられる理由はいくつもありました。
そのため、レイカーズにとって特に重要だったのは、ジェームズとデイビスのサポーティングキャストがステップアップすることでした。
シーズンやプレイオフ、ファイナルの舞台でステップアップした選手を、何人かピックアップしてみましょう。
ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ
当初、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープが与える影響力については、それほど期待されていませんでした。
しかし、シーズンを進めるにつれて、彼は少しずつ信頼できるサードオプションとしての役割を担えるような選手へと変わっていったのです。
第1戦では第1クォーターにヒートが25-12とリードを広げましたが、それに歯止めをかけたのがコールドウェル・ポープの2本連続3ポイントシュート成功でした。
結果的に第1戦を快勝で終えた後、デイビスはコールドウェル・ポープのシューティングについて「KCPがチームを救った」と称賛のコメントを残しました。
第4戦でも彼は重要な役割を担いました。
レイカーズが2点リードの終盤、コールドウェル・ポープが決めた3ポイントシュートとレイアップの連続5得点は、チームの勝利を大きく引き寄せる重要な働きだったと言えるでしょう。
Kentavious Clutch-Pope
— Los Angeles Lakers (@Lakers) October 7, 2020
(📺: ABC) pic.twitter.com/mcakZ6C2Pw
ドワイト・ハワード
昨年8月にレイカーズがドワイト・ハワードと非保証契約を結んだとき、彼はアキレス腱を断裂したデマーカス・カズンズに対する単純な穴埋めだと考えられていました。
しかし、かつてオールスター選出や最優秀守備選手賞を受賞したハワードの経験はレイカーズで活用され、レギュラーシーズンでは71試合中69試合に出場し、リーグ3位のディフェンシブ・レーティングを記録したチームの重要な役割を担っていました。
そして何よりも素晴らしかったのが、チームのために利己的な精神を捨て去ったことでしょう。
ハワードが過去の功績にすがることなくチームプレイに徹したことによって、レイカーズはジェームズとデイビスを中心としたチームスタイルを構築することを可能としました。
ラジョン・ロンド
シーズン再開前には右親指を骨折し、8試合のシーディングゲームズとプレイオフの1回戦を欠場したことで、役割を減らすべきという指摘もあったラジョン・ロンドですが、結局のところ、彼は優勝のために多くの仕事を任せられる選手でした。
ヒューストン・ロケッツとのカンファレンス準決勝ではディフェンス面で武器となり、デンバー・ナゲッツとのカンファレンス決勝、ヒートとのNBAファイナルではボールハンドリング、プレイメイキング、バスケットボールIQという点で、相手との違いを生み出しました。
加えて、彼はプレイオフ全体で3ポイントシュート成功率 40.0%を記録しました。
キャリアを通じてショットの精度を欠いていたロンドが、このタイミングで効率的なショットを打てることを誰が予想したでしょうか?
Rajon Rondo spin-cycle! 🌪️
— NBA (@NBA) October 12, 2020
13 PTS on 6-6 shooting for the @Lakers guard in Game 6 on ABC! #NBAFinals pic.twitter.com/pM9UCefhRI
アレックス・カルーソ
アレックス・カルーソを単なる”ネタ”的な選手であると見ていたのならば、それが思い違いであったことに気付いたはずです。
彼は厄介なディフェンダーであり、時にチームに流れを与えるようなインパクトのあるプレイを見せ、オフボールでも上手く動くことのできる選手であったため、レブロン・ジェームズからも信頼を得ていました。
25歳のカルーソは、今後も確実にチームで重要なローテーションの一角を担うことができるはずです。
フランク・ボーゲルHC(ヘッドコーチ)
フランク・ボーゲルはヘッドコーチですが、ジェームズやデイビスを支えているため、彼もまたサポーティングキャストの一人です。
ボーゲルHCは今季からレイカーズの指揮官に就任しましたが、当初は最有力候補に挙げられていなかった人物であり、かつてインディアナ・ペイサーズの指揮官を務めていた頃にはレブロン・ジェームズに敗れた経験も持っていました。
しかし、彼の手腕は優れていたようで、プレイオフの中でそれを見ることができました。
カンファレンス準決勝とカンファレンス決勝ではスモールラインナップとビッグラインナップを巧みに切り替えたり、ラジョン・ロンドの復帰後にはセカンドユニットを効果的に繋ぎ合わせたり、ジミー・バトラーに対してアンソニー・デイビスをマッチアップさせてみたりと、勝利のためにあらゆる方法を駆使したのです。
ジェームズとデイビスの力は確かに強大ですが、それを管理していたのがボーゲルHCであったことも忘れてはなりません。
全てを終えてみれば、これだけのサポーティングキャストを揃えたレイカーズが優勝できたことには納得がいきます。
ダニー・グリーンやカイル・クーズマの不振、エイブリー・ブラッドリーのシーズン再開辞退といった出来事もあったとはいえ、ジェームズとデイビス以外の多くの選手やコーチが、1年間で大きなステップアップを見せたのは称賛に値することでしょう。