アンソニー・デイビスの影響力
デイビスが優勝を成し遂げたレイカーズのファーストオプションとして評価できるかは、まだ分かりかねることです。
特に第3戦でファウルトラブルに陥ったり、ターンオーバーを量産してしまったことを考えると、デイビスは過剰なディフェンスへの対応を完全にマスターしたとは言い切れないでしょう。
しかし、それは重要なことではありません。
デイビスはニューオーリンズ・ペリカンズ時代から既にスーパースターの地位を確立しており、今では少なくともチームのNo.2として、プレイオフとフランチャイズに自身の名前を刻みました。
彼の機動力とサイズによるマッチアップの柔軟性は、シーズンを通じてレイカーズのディフェンスを助けてきました。
それはNBAファイナルの舞台でも変化することなく、ヒートはジミー・バトラーでも、バム・アデバヨでも、デイビスの壁を崩すことが難しいことを思い知らされたはずです。
また、レギュラーシーズンと同様に、デイビスはプレイオフでもチームのトップスコアラーでした。
彼は今年のプレイオフを通じて21試合で平均27.7得点を記録し、プレイオフにおけるキャリア通算平均得点では、30試合以上に出場している914人の選手のうち3位にランクインしています。
第3戦を除けば、デイビスはファイナルでできる限り全ての仕事をやり遂げました。
他のシーズンで、他のスーパースターと一緒にプレイしていた場合、デイビスは満場一致でファイナルMVPに選出されていたかもしれません。
しかし、彼はファイナルMVPを受賞することはできませんでした。
それはただのスーパースターではなく、リーグ最高の選手――レブロン・ジェームズとコートを共有していたためであり、それはデイビスであろうともNo.2になってしまうことを意味するためです。
とはいえ、我々はデイビスがファイナルで見せた貢献を忘れることはないでしょう。
彼が居なければレイカーズが優勝を成し遂げられなかったこともまた、事実なのです。
4回目の優勝、4回目のファイナルMVPとなった”キング”レブロン
レブロン・ジェームズは常識の限界に挑み続けている男です。
17年間で59,000分に出場した35歳の男が、自身の4回目の優勝のためにチームを牽引し、自身4回目のファイナルMVPを受賞した功績には、呆然とするしかありません。
昨季、ジェームズが鼠径部の怪我に苦しめられた時、彼がこれまで通り支配的な選手で居られるかどうかは疑問でした。
そこにはカワイ・レナードの優勝や、ヤニス・アデトクンボのMVPといった、新たな選手の台頭もあったためです。
結局のところ、総合的に見ればジェームズはまだ最高の選手であり、”キング”の称号を誰かに奪われるには早かったようです。
シーズンMVPこそアデトクンボに譲ったものの、レギュラーシーズンでは平均25.3得点、7.8リバウンド、10.2アシストを記録しました。
そしてファイナルの舞台ではそれを上回る平均29.8得点、11.8リバウンド、8.5アシストを記録し、そこでMVPを獲得して見せました。
キャリア4回目のファイナルMVPは、マイケル・ジョーダン(6回)、コービー・ブライアント(4回)、マジック・ジョンソン(4回)、スコッティ・ピッペン(4回)に次いで史上5人目ですが、異なる3チーム(ヒート、キャバリアーズ、レイカーズ)でファイナルMVPを受賞したのはジェームズが史上初めてです。
ジェームズは周囲の声をエネルギーに変えることによって、こうした功績を達成していることを明かしました。
「怪我をしてからの1年半の間で、何かを証明できると思うことが自分を奮い立たせている。これまでのキャリアで何を成し遂げていようと、周囲から疑問の声が上がったり、歴史と比較されて”彼はやったのか?”と言われる。だから、”なぜ、まだ証明するものを持っていないんだ?”と自分に言い聞かせているんだ。それが自分の力になった」
ESPN
フランク・ボーゲルHCは、ジェームズについて「バスケットボール界で最も偉大な選手」と語りました。
「彼の精神力を見てきた。彼の調整力を見てきた。彼の牽引力を見てきた。…彼をコーチングできたのは素晴らしい経験だったよ」
House of Highlights
ジェームズの功績を否定する者は、少なからずまだ存在するでしょう。
しかし、彼の4回目の優勝、4回目のファイナルMVPは、間違いなく周囲の懐疑論者を静めるために役立つはずです。
そして何よりも恐ろしいのは、ジェームズのキャリアがまだ続いていくということです。