デイミアン・リラードとCJ・マッカラムを中心としたポートランド・トレイルブレイザーズは、ここ数年間のNBAにおいて優秀なチームの一つであると言えるでしょう。彼らはウェスタン・カンファレンス11位に終わった2012-13シーズン以降、全てのシーズンでプレイオフに進出しているためです。
しかし、これはよく言われることですが、「優秀なチーム」と「優勝を狙えるチーム」の認識は少し異なります。ブレイザーズの場合は前者であり、それが顕著に表れたのが2019年のプレイオフでした。彼らはデンバー・ナゲッツとのカンファレンス準決勝を第7戦の激闘の末に何とか勝利しましたが、ゴールデンステイト・ウォリアーズとのカンファレンス決勝で待ち受けていた結果は4連敗だったためです。
優勝を狙えるチームになるための最も手っ取り早い手段は、新たなスター選手をチームに加えることです。2020-21シーズンは既に開幕しているため、ブレイザーズが新たなスター選手を獲得する方法は当然ながらトレードしかありません。奇遇にも、最近の報道ではロケッツのスターであるジェームズ・ハーデンが、トレード先の希望の一つにブレイザーズを挙げています。ブレイザーズがハーデンを獲得するシナリオを考えないわけにはいかないでしょう。
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ジェームズ・ハーデンがトレード先の希望にセルティックス、ブレイザーズを追加か
リラードはブレイザーズにとって絶対的な存在であり、彼もフランチャイズへの忠誠心を示している以上、リラードとハーデンをトレードするのは愚策以外の何物でもありません。となれば、トレードの中心は間違いなくマッカラムとなります。ロケッツは2018年のシーズンMVP受賞者を手放すために多くのものを要求してくる可能性が高いですが、ブレイザーズは彼らの要求を叶える力を持っています。両チームが獲得する選手や資産がどうなるか見てみましょう。
- ブレイザーズの獲得:ジェームズ・ハーデン
- ロケッツの獲得:CJ・マッカラム、ロドニー・フッド、ザック・コリンズ、アンファニー・シモンズ、ナシール・リトル、3つの将来のドラフト1巡目指名権
ロケッツは大量の選手を獲得することになりますが、ロケッツのロスターに登録されている14人の選手のうち5人は非保証契約となっているため、これらの選手を解雇することでトレードを成立させることができます。
このトレードによってロケッツは確立されたスター級の選手と、多くの将来の資産を獲得することになります。マッカラムはハーデンとのトレードを成立させるための給与のマッチングだけでなく、優れた才能をロケッツにもたらすことができるでしょう。スターのジョン・ウォールと、新進気鋭の若手であるクリスチャン・ウッドにマッカラムを組み合わせることは決して悪い選択肢ではないように思えます。
マッカラムはオールスターの出場経験こそ無いものの、直近5シーズンで1試合あたり平均20得点台を安定して記録してきた選手です。彼はオフボールでも機能的になれるスコアラーであるため、ボールの占有率が高くなりがちなウォールとも上手くやっていけるでしょう。
マッカラムに限らず、ロドニー・フッドやザック・コリンズといった堅実なローテーションプレイヤーや、アンファニー・シモンズやナシール・リトルといった若い選手を獲得できるのも魅力的です。競争力を大きく損なわずに将来を見据えることができ、場合によってはさらにトレードを行って資産を増やすことも検討できます。
これらの選手に加えて3つの将来のドラフト1巡目指名権を獲得するのは多すぎるかもしれません。しかし、ミルウォーキー・バックスがドリュー・ホリデーを獲得するために3つのドラフト1巡目指名権を手放したことを思い出して下さい。ブレイザーズが目の前にある優勝争いを望むのであれば、過剰投資も辞さない覚悟は必要になってくるでしょう。
リラードとハーデンはたちまち注目すべき魅力的なデュオとなります。両者は超越的なスコアラーであると同時にプレイメイカーでもあるため、互いが互いを新たなレベルに引き上げる力になるかもしれません。ハーデンがリムに攻めてディフェンダーを引きつけ、アウトサイドに構えているリラードにキックアウトする瞬間を想像してみましょう。いくらディフェンスに優れたチームとて、彼らを完全に抑えることはほぼ不可能です。
多くの選手を手放した後でさえ、ブレイザーズのロスターは堅実なままです。リラード、ハーデン、ユスフ・ヌルキッチ、ロバート・コビントン、デリック・ジョーンズJr.、カーメロ・アンソニー――。これは明らかに「優勝を狙えるチーム」です。
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新たな指揮官の働きに満足するジェームズ・ハーデン「素晴らしい仕事をした」