ニューオーリンズ・ペリカンズにドラフト全体1位で指名されたザイオン・ウィリアムソンは、言うまでもなく2019-20シーズンで最も注目集めるルーキーでしょう。
きっと多くのハイライトを残し、チケットやジャージーの売り上げも伸ばしてくれるはずです。
しかし、彼はルーキー・オブ・ザ・イヤーに手が届かないかもしれません。
その最大の理由は、ペリカンズのロスターにあります。
ペリカンズの2019-20シーズンのロスターで既に確定的なのは、ドリュー・ホリデー、JJ・レディック、ブランドン・イングラム、ロンゾ・ボール、ジョシュ・ハート、ジャリル・オカフォー、ジャクソン・ヘイズ、イートワン・モアですが、これらは二桁得点を叩き出すことが十分に可能な選手たちです。
ウィリアムソンを即座に絶対的なエースという位置付けにするとは考え難いため、おそらくウィリアムソンがボールを持てる機会がかなり多くなることはないでしょう。
少なくとも他のチームの上位指名選手である、メンフィス・グリズリーズのジャ・モラント、ニューヨーク・ニックスのRJ・バレット、クリーブランド・キャバリアーズのダリアス・ガーランド、シカゴ・ブルズのコービー・ホワイトらの方が、はるかにポゼッションの機会に恵まれるはずです。
直近10年間の新人王のうち、8人はその年のルーキーで最も得点を挙げている選手でした。
つまり、得点というスタッツは新人王を獲得するにあたって、極めて重要なものとなるのです。
では、得点以外でインパクトを残した2人の選手――2017年のマルコム・ブログドン(得点は5位)と、2018年のベン・シモンズ(得点は3位)のような活躍を、ウィリアムソンはできるのでしょうか?
ブログドンは、そもそも2巡目指名というハンデがあり、そこから3P成功率 40.4%という好成績を残しました。
シモンズはリバウンドとアシストでも1試合あたり平均8本以上を記録し、ルーキーながら12回のトリプルダブルも記録しました。
そして何よりの共通点は、どちらもチームのプレイオフ進出に貢献しているということです。
ウィリアムソンの得点が制限されるとなれば、彼は別の部分でインパクトを残しつつ、ペリカンズのプレイオフ進出に貢献しなければなりません。
ウィリアムソンはデューク大での1年間で、3P成功率 33.8%、2.1アシストを記録しています。
もちろんブログドンやシモンズのような選手になる必要がありませんが、ウィリアムソンの最大の武器である得点力が抑えられるのは致命的でもあるでしょう。
しかし一方で、そんな状況でも新人王を獲れば、ウィリアムソンが本物の怪物である証明にもなるはずです。
ウィリアムソンが新人王を目指そうとしているのであれば、ルーキーイヤーは試練の年となるでしょう。