サンアントニオ・スパーズのヘッドコーチを務めるグレッグ・ポポヴィッチHCは、歴代最高のヘッドコーチの一人として評される名将で、今年のFIBAワールドカップのヘッドコーチも務めることになりました。
スパーズのシステムはピックアンドロールやディフェンスを根底に置くというより、もはや精神的なものであり、それは20年以上に渡ってNBAが羨望するものでしょう。
どんな状況においてもテキサスの小さな市場で常勝できるチームを作り上げるのは、特にNBAという世界最高峰の舞台で成し遂げるのは、本質的に不可能なことです。
そう言った意味では、ポポヴィッチHCの新たな仕事は、今まで成し遂げて来たことよりも多少は簡単なものかもしれません。
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ただ、チームUSA最大のスターがポポヴィッチHCであるかもしれないということは、少し厳しい現実を表している可能性があります。
2002年の世界選手権でアメリカ代表が6位に終わるという歴史的な屈辱を味わった後、レブロン・ジェームズやクリス・ポール、カーメロ・アンソニー、コービー・ブライアントらを中心にオリンピックで2つの金メダルを獲得しました。
2014年のワールドカップでは、ステフィン・カリー、ジェームズ・ハーデン、アンソニー・デイビス、カイリー・アービング、クレイ・トンプソンといった若いスター選手を構成し、その大会を無敗で締めくくっています。
しかし、選手にオリンピック以外で代表戦を促すのは困難になり、今年のポポヴィッチHCが率いるロスターには、スター選手といった魅力がほとんどありません。
唯一、ボストン・セルティックスのケンバ・ウォーカーだけが昨季のオールNBA(3rd)チームに選出されているだけなのです。
トップスター選手に限らずとも、チームの中核として活躍するブラッドリー・ビール、デイミアン・リラード、CJ・マッカラム、ケビン・ラブ、デマー・デローザン、トバイアス・ハリス、エリック・ゴードンらでさえ、代表として戦うことに対し「ありがたいけど、遠慮しておくよ」という答えが返ってきました。
このような事態になっている理由の一つとして考えられるのは、NBAが”負荷管理”を重視する時代となっているということです。
ワールドカップで戦えば、シーズンの開幕までにコンディションを整える時間はより短くなります。
国で優勝することよりも、NBAで優勝することの方が重要だと考えている選手も居るかもしれません。(当然どちらが正しいということもありません)
オフシーズンでも戦うことのリスクは、既に明確になっています。
2014年のエキシビションゲームでポール・ジョージは右足を骨折し、シーズン大半の離脱を余儀なくされました。
だからこそ、ポポヴィッチHCはチームUSA最大のスターとして、最大の結果を求められることになるでしょう。
とはいえ、トップスターが居なくとも、チームの中核の選手が少なくとも、決して無力なわけではありません。
ドノバン・ミッチェル、ジェイソン・テイタム、カイル・クーズマは将来のスター候補です。
そしてポポヴィッチHCが率いるスパーズは、もっと少ないタレントで、もっと長い間勝利を収めてきました。
全てにおいて簡単に物事が進むとは限りませんが、結局はポポヴィッチHCが居るという事実があることにより、チームUSAが優勝候補である理由の一つとなるのでしょう。