ケビン・デュラントを失い、クレイ・トンプソンが怪我で長期離脱となったことで、ゴールデンステイト・ウォリアーズがこれまでと異なるチームになるのは分かっていました。
しかし、最初の2試合に敗れるだけならまだしも、彼らは96分間で一度もリードを奪うことができず、ロサンゼルス・クリッパーズには19点差で、オクラホマシティ・サンダーには28点差で敗れています。
さすがにこれほどの転落は、予想できるものではありません。
なぜこんなにも酷いのか、ウォリアーズが過去数年間の姿を取り戻すにはどうすれば良いのか、ステフィン・カリーとドレイモンド・グリーンは大した選手ではなかったのか、彼らの優勝に傷が付いているのか、これが王朝の終わりというものなのか――。
もう少し詳しく見ていくことにしましょう。
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実際のウォリアーズは、ここまで酷いチーム?
ウォリアーズは、NBAで2番目や3番目に悪いチームなのでしょうか?
いいえ、当然そんなはずはありません。
しかし、ウォリアーズは体とボールの動きだけでいつものようにプレイしようとしても、それを成功させるための十分なスキルが揃っていないのです。
パサーはほとんどカリーとグリーンだけに限られ、一方でシューターはショットが決まらないため、完全な混乱を引き起こしています。
ディフェンスに関してはさらに悪化が著しく、基本的に先発で安定してプレイが可能なビッグマンが居ないほか、ディアンジェロ・ラッセルもトンプソンのディフェンスと比較すれば、明らかなグレードダウンになっていると言えるでしょう。
ウォリアーズは、全世界で5本の指に入るトッププレイヤーのカリー、一流のディフェンス力を持つグリーン、一流のコーチングを魅せるスティーブ・カー・ヘッドコーチが健康な限り、リーグで最悪のチームに転落するのは防ぐことができるはずです。
ただしこの2試合では、彼らもまた新たなチームメイトに困惑しているように見えます。
デュラントとトンプソンが居ないだけで、すぐに転落してしまうもの?
デュラントがブルックリン・ネッツへ去る時、ウォリアーズには2つの選択肢がありました。
そしてウォリアーズは、デュラントを放出する代わりにラッセルをサイン&トレードで獲得することを選択しました。
ネッツにはカイリー・アービングが加入することもあったため、この取引だけでは両者がWin-Winだと言えるでしょう。
しかし、ウォリアーズはアンドレ・イグダーラをメンフィス・グリズリーズへ(それも1巡目指名権を付けて)トレードせざるを得ませんでした。
トンプソンの再契約や、ラッセルの新たな契約で、ウォリアーズはサラリーキャップを空けなければならなかったからです。
さらに、ショーン・リビングストンを解雇することで保証された契約を削り、ジョーダン・ベルやクイン・クックとの契約も見送り、ケボン・ルーニーは再契約を結びましたが、彼は怪我に苦しんでいます。
いくつかの小さな傷と、ほんの少しの大きな切れ目が入ることで、王朝を築いたロスターはこうも簡単に崩れてしまうのでしょう。
ラッセルがまだ上手くいかないのはなぜ?
まだ2試合、焦るには早すぎます。
確かにラッセルはネッツで成功を収めていましたが、彼はボールをかなり支配していました。(2018-19シーズンのラッセルのUSG%は31.9%)
バックコートのペアがスペンサー・ディンウィディーからカリーに変われば、もちろんラッセルがすぐに適応できるとは言い難いでしょう。
カリーはデュラントと共存していましたが、そもそもデュラントは効率の良い選手であって、ボールを支配するタイプの選手ではありません。
そのため、それぞれの影響力は全く別物とも言えます。
少なくとも、ラッセルはカリーとのプレイを学ぶための本格的な調整期間があるはずです。
あるいはラッセルの2018-19シーズンが、ただの偶然だったのか――何にせよ、それを確かめるには労力と時間を費やすほかありません。
現状のロスターからして、カリーはジェームズ・ハーデンのようなプレイを心がけるべき?
きっと、それは観ていて楽しいものになるでしょう。
ただ、カリーにそのようなプレイできるとは限らず、彼はNBAに入ってからというもの利他的な選手としてプレイしてきました。
カリーの才能は、ハーデンのプレイスタイルと合うものではないように思えます。
しかし、ウォリアーズの首脳陣の中には、そのようなパフォーマンスを考えている人も何人か居るかもしれません。
ウォリアーズはプレイオフを逃すことになる?
正直、その可能性は考えられます。
昨シーズンにプレイオフへ進出したウェスタン・カンファレンスのチームのうち、ウォリアーズとサンダー以外の6チームは大きな戦力低下が見られないため、今シーズンもプレイオフ進出が期待されています。
ここにロサンゼルス・レイカーズが加わるため、7チームとなるでしょう。
ダラス・マーベリックスとミネソタ・ティンバーウルブズは、プレイオフを争えそうなチームです。
最初の2試合の後、ウォリアーズがどのチームよりも、ましてサンダーよりも良いチームだと、断言することはできません。
ウォリアーズがプレイオフを逃した場合、カリーやカーHCのレガシーは傷付くことになる?
もちろん、そのようなことはありません。
昨シーズンにレブロン・ジェームズがプレイオフを逃したことで、彼の実績に傷が付いたと考えた人は居たでしょうか?
ウォリアーズの転落は喜ぶべき?
NBAチームのファンであれば、過去5年間で間違いなくウォリアーズに苦しめられた経験があるでしょう。
そういった意味では、ウォリアーズが力を失うことは喜ばしいことなのかもしれません――ただし、今のところは。
トンプソンはいずれ戻ってきて、ウォリアーズが再びオッズを取り戻す可能性は、十分に考えられます。
今からでも遅くないうちに、ジョークは言っておいたほうが良いかもしれません。