デトロイト・ピストンズはアンドレ・ドラモンドをトレードしたことで、確かに再建モードに移行したように感じます。
がしかし、彼らがトレード期限前に動かしたのはドラモンドだけであり、放出されると考えられていた他の選手――特に31歳のデリック・ローズは、チームに残ることとなりました。
複数のチームがプレイメイキング能力のある選手を必要としていたことを考えると、ピストンズがローズは動かさなかったのは驚くべきことだと言えるでしょう。
確かにローズは鼠径部を負傷しており、最近のメンフィス・グリズリーズ戦や、フェニックス・サンズ戦を欠場しています。
そのため、オールスターウィークエンドで参加するはずだったスキルズチャレンジにも、参加しない意向を示しました。
とはいえ、長期的な怪我でなければ、他のチームが彼を必要としなかったとは考えにくいでしょう。
長時間に渡ってコートで影響力を出せる選手ではなくなったにしても、36分換算のスタッツ――得点、アシスト、シュート成功率のいずれも、MVPを受賞した2010-11シーズンを上回っています。
では、なぜピストンズはローズをトレードしなかったのか――おそらく理由は至って単純で、適切なオファーが無かったからではないでしょうか?
『The Athletic』のジェームス・エドワーズ氏によれば、ピストンズの首脳陣の一人であるエド・サテファンスキー氏は次のように語りました。
「デリックのためには良いオファーを用意しなければならなかった。彼は信じられないようなシーズンを送っている。私たちは、若者のリーダーとなっている彼を気に入っている。彼ら(若い選手たち)は、彼を心の底から敬っているだろう。デリック・ローズよりも優れたベテランを選べるかどうか分からないね」
もちろん、トレード市場で何が行われていたのか、全てを知ることはできません。
フィラデルフィア・76ersはアレック・バークスを獲得したことで、ローズを必要としなくなったのかもしれません。
ロサンゼルス・レイカーズはトレード可能な1巡目指名権を持っておらず、2023年以前では2巡目指名権さえ無く、一方でダレン・コリソンと契約することに自信を持っているため、ローズのために資産を失う必要は無いと判断したのかもしれません。
ミルウォーキー・バックスは、ローズのアイソレーションやピック&ロールが、チームの本来のケミストリーを崩すほど必要なものとは思わなかったのかもしれません。
そもそも、それがローズに関する市場の現実だったのかもしれません。
ただ、何にせよローズは来シーズンも770万ドルの契約が残っており、彼が健康を維持できれば、この契約はかなりお得なものであり続けるでしょう。
もし、ピストンズが納得のいくオファーを見つけられなかったのだとしても、ローズはまだチームに残り続けるため、夏に再びオファーを見極めるチャンスは訪れます。
ピストンズがローズをトレードしなかったことは、失敗ではありません。
ただし、ローズ以外のベテランをトレードできなかったことは、一つの失敗だと言えるでしょう。
ラングストン・ギャロウェイは今シーズンで切れる730万ドルの契約を結んでおり、マーキーフ・モリスは2年目がプレイヤーオプションですが、320万ドルと340万ドルのチームにとって優しい契約です。
これにアンドレ・ドラモンドの見返りの少なさも相まった結果、ピストンズは今年のトレードの負け組として評価されてしまいました。
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