今のところ、2019-20シーズンは7月30日に再開される予定で状況は進んでいますが、人種差別や社会的不正に対する抗議運動が全国で広まっていることによって、カイリー・アービングをはじめとした一部のNBAの選手たちはシーズンを再開させることに懸念を抱いています。
しかし、『ESPN』のティム・ボンテンプス記者によれば、あるウェスタン・カンファレンスのコーチの一人は、今シーズンが再開されなければ来シーズンに別の厄介な問題――ロックアウトが起こる可能性を懸念しています。
「現在の野球(MBL)のように、団体交渉協定の見直しが行われ、ロックアウトが起きると思う」
ロックアウトとは、雇用側(NBAではオーナー側)が従業員側(NBAでは選手)に対し仕事を停止することであり、団体交渉協定で双方の合意が得られない場合などに引き起こされ、NBAでは過去に1998-99シーズンと2011-12シーズンの2度に渡ってロックアウトが起きています。
そして最近では、MLB(メジャーリーグベースボール)においてオーナー側と選手側で金銭的な合意が得られず、2020年のシーズンを正常に開始できませんでした。
これはNBAにとっても、決して他人事ではありません。
新型コロナウイルスの影響でNBAは長期のシーズン中断を余儀なくされ、既に経済的損失は膨大なものとなっています。
それでもシーズン再開によって一部の収益を取り戻すことは期待されていますが、それさえも叶わなかった場合、『ESPN』のボビー・マークス記者はバスケットボール関連収入(BRI)が10~20億ドル減少するだろうと指摘しています。
BRIは来シーズンのサラリーキャップに影響を及ぼすため、2019-20シーズンが中止された場合の2020-21シーズンのサラリーキャップは、従来の予想より2,500~3,000万ドルも下回る可能性があります。
当然、そのような事態に陥れば選手(特に今年フリーエージェントになる選手)のサラリーは著しく低下するため、リーグと選手はサラリーキャップを見直すために団体交渉協定について再交渉を行わなければなりません。
全ての交渉が順調に進めば問題ないかもしれませんが、シーズンが中止された場合の経済的損失が大きすぎることから、金銭面で両者の意見が食い違ったとしても不思議ではないでしょう。
これは考えたくもないシナリオですが、2020-21シーズンの開幕が約2ヶ月も遅くなる中でロックアウトが引き起こされれば、前例の無いほど短縮されたシーズンになってしまう可能性もあります。