2度のオールスター出場経験を持つビクター・オラディポは、今やトレード市場で最も注目されている選手の一人となっています。
『The Athletic』のジャレッド・ワイス記者は先日、オラディポがこのオフシーズンにチームから移籍することを望んでいると報じました。
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2度のオールスター経験を持つビクター・オラディポが移籍を希望か
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今季、ルカ・ドンチッチとクリスタプス・ポルジンギスの若いデュオを中心に飛躍したダラス・マーベリックスは、このタイミングで動き出すべきかもしれません。
なぜなら、マーベリックスがビクター・オラディポを獲得すべき5つの理由がここにあるためです。
サードオプションの獲得
マーベリックスは2019-20シーズンのサプライズチームの一つとして周囲を驚かせ、プレイオフ1回戦でも優勝候補として挙げられていたロサンゼルス・クリッパーズと第6戦まで接戦を繰り広げました。
当然、来季の彼らは今季以上の結果が期待されるでしょう。
しかし、先を目指せば目指すほど、マーベリックスに足りないもの――ドンチッチ、ポルジンギスに次ぐ3人目のスコアラーの必要性が浮き彫りになってくる可能性があります。
オラディポは2017-18シーズンに平均23.1得点を記録するとともに最優秀躍進選手賞(MIP)を受賞し、2度のオールスターも経験した実績のあるスコアラーです。
右ひざ大腿四頭筋の断裂という大怪我の影響があるため、同様のパフォーマンスこそ期待できないにしても、サードオプションという役割を与えるにはこれ以上ない素晴らしい戦力となるはずです。
低下したオラディポの市場価値
先述したように、オラディポは昨年1月に右ひざ大腿四頭筋の断裂という大怪我を負いました。
1年間の回復期間を経て今年1月に復帰を果たしたものの、レギュラーシーズンでは平均14.5得点とパフォーマンスを取り戻すことに苦労し、これまで担っていたファーストオプションという役割からも外されました。
これがオラディポが移籍を希望する理由であり、彼の市場価値が下がった理由でもあります。
選手としての価値が下がることは、これまで以上に安価な駒でトレードを成立させられることを意味し、今のマーベリックスはドンチッチとポルジンギス以外であれば全ての選手がトレード可能となっています。
今年のドラフト全体18位指名権と全体31位指名権も、ペイサーズをさらに魅了できる駒となり得るでしょう。
マーベリックスがオラディポを獲得するのは、それほど難しいことではないはずです。
優れたディフェンダー
今季のマーベリックスのオフェンスは非常に強力で、レギュラーシーズンのオフェンシブ・レーティング(100ポゼッションあたりの平均得点)はリーグ1位の115.9ポイントでした。
この数字は2位のロサンゼルス・クリッパーズの113.3ポイントを大幅に上回っています。
では、オフェンスの成績が良いチームが成功しやすい傾向にある現代のNBAにおいて、なぜマーベリックスはプレイオフ1回戦で姿を消すことになったのでしょうか?
もちろん、答えはディフェンスとなります。
今季、プレイオフに進出した16チームのうち、マーベリックスのディフェンシブ・レーティング(100ポゼッションあたりの平均失点)は15位の111.2ポイントでした(リーグ全体では18位)。
成功するチームの多くはオフェンス面もさることながら、ディフェンス面も堅実な数字を残しています。
したがって、2018年にオールディフェンシブ1stチームに選出された実績もあるオラディポが加入すれば、マーベリックスは多少なりともディフェンス面の改善を望むことができ、それだけ成功に繋がる可能性も高くなるということです。
トレードによる成功の歴史
最近ではニューヨーク・ニックスがフリーエージェントに恵まれないことが注目されていますが、マーベリックスは長年に渡って大物フリーエージェントに出くわせていないことをご存知でしょうか。
昨年引退したマーベリックスのフランチャイズプレイヤーであるダーク・ノビツキーが過ごした21年間のキャリアの中で、チームが獲得した最も有名なフリーエージェントといえば2016年のハリソン・バーンズでした。
しかし、バーンズは2年半の中でマーベリックスをプレイオフに導くことは一度もできず、2019年2月にサクラメント・キングスへ放出されました。
一方で、マーベリックスはトレードによって成功を収めています。
2011年に優勝を果たしたときの主力選手――ジェイソン・キッド、ジェイソン・テリー、ショーン・マリオン、タイソン・チャンドラーらは、いずれもトレードによって獲得した選手でした。
昨年獲得したポルジンギスも同様です。
そうであるならば、マーベリックスは最も得意としてきた方法で、目の前にある魅力的な補強を進めていくことが最善手であると考えることができます。
チームのサラリー状況
ここまで、あたかもオラディポはマーベリックスにフィットするかのように話してきましたが、それが絶対とは限りません。
オラディポが本来のパフォーマンスを取り戻せる日はまだ遠く、来季のうちに彼の復活劇を見られない可能性もあるでしょう。
ここでマーベリックスにとって大きな助けとなるのが、オラディポの契約が来季で終了するということです。
つまり、マーベリックスがオラディポを加えても将来的に成功できないと感じた場合、2021年のオフシーズンには彼を放出することでキャップスペースを確保できるようになるのです。
複数のロールプレイヤーと、ロッタリー外のドラフト指名権を使ってオラディポを獲得するリスクは、試してみる価値があるはずです。
上手くいけばドンチッチ、ポルジンギス、オラディポのビッグ3が誕生し、優勝は今よりもはるかに手の届く目標となるでしょう。
上手くいかなかったとしても、ドンチッチとポルジンギスのデュオは継続され、大物フリーエージェントが豊富とされる2021年のオフシーズンに備えることができます。
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