昨年のNBAドラフトでメンフィス・グリズリーズに全体2位で指名されたガードのジャ・モラントは、昨季の新人王を受賞することによってキャリアを最高の形でスタートさせることができました。しかし2年目を迎える今、モラントの話題を見かける機会はそれほどありません。リーグは少なくとも、ディフェンディングチャンピオンのロサンゼルス・レイカーズや、ブルックリン・ネッツのケビン・デュラントの復帰、あるいは昨年のドラフト1位指名であるニューオーリンズ・ペリカンズのザイオン・ウィリアムソンのフルシーズンに注目しているようです。
昨季のグリズリーズはモラントを中心にプレイオフ進出の目前まで迫りました。しかし、モラントは自身やチームがまだリーグに認めてもらえていないと感じていることを、『AP』とのインタビューで語っています。そのため、彼は2020‐21シーズンに自身の才能やチームの実力を証明することを目標としています。
「シーズン中に周囲の考えが間違っていることを証明するのが、僕の最大の目標だ」
モラントが2年目を過ごすにあたって何が必要であるか、彼自身とグリズリーズのタイラー・ジェンキンスHC(ヘッドコーチ)の考えは一致しています。彼らは共に「全て」が必要であり、それは「単純なこと」であると言いました。
モラントの印象的な1年目のパフォーマンスによって、グリズリーズへの期待は過去数年間で最も高いと言えるでしょう。昨季、モラントは67試合(平均31.0分)の出場で平均17.8得点、3.9リバウンド、7.3アシストを記録しました。新人王の投票では、一人を除いて全ての投票者から1位票を獲得しました。
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1票足りず満票での新人王を逃したジャ・モラント、判明した投票者に「なぜか知りたい」
しかし、彼には昨季に悔しさを残しています。それは7月下旬にオーランドのバブル(隔離環境)で2019‐20シーズンが再開された後の8試合のシーディングゲームズです。グリズリーズはシーズン再開時点でウェスタン・カンファレンス8位でしたが、シーディングゲームズを2勝6敗で終え、同9位に降格しました。そしてプレイオフ進出を懸けて同8位のポートランド・トレイルブレイザーズとプレイイントーナメントで対戦しましたが、最終的に2017年以来となるプレイオフ進出を果たすことは叶いませんでした。
モラントは当時の自身のパフォーマンスについて、次のように振り返っています。
「多くの場面で、自分はもっと良いプレイができていたかもしれないと感じた。明らかに自分の仕事ができていなかった。それは自分にとって重要なことだ」
ジェンキンスHCは、モラントがそうした悔しさをモチベーションに変え、改善に向けて意欲的になっていると語りました。
「どうすればより優れた意思決定者、シューター、オフェンスのリーダーになれるのか。どうすればディフェンスのリーダーになれるのか。オフェンスの第一線で活躍する彼が、どうすればピック&ロールに上手く対処できるディフェンダーになったり、活躍したり、速攻の起点となるリバウンダーになれるのか。彼は全体的な挑戦を受け入れていると思う。彼はそうやって築かれてきた選手なんだ」
ジェンキンスHCはまた、食事や栄養バランスによって体を鍛える必要性についても、モラントと話し合ったことを明かしました。190cmの身長と78㎏の体重でプレイしていたモラントは、このオフシーズンに体重をさらに約2.3㎏増加させたようです。
モラントはシューティングにも取り組んでいます。昨季のフィールドゴール成功率 47.7%はルーキーながら素晴らしい数字であった一方、3ポイントシュート成功率は33.5%と課題が残る結果に終わりました。
既にインサイドで優れたスコアリング能力を発揮しているため、アウトサイドでも一貫した精度を身につけることができれば、モラントはよりオフェンス面の脅威として相手チームにプレッシャーを与えることができるでしょう。特にジェンキンスHCは、3ポイントシュートを打つべきか、リムに攻めるべきかの選択に直面した時、モラントがより素早い意思決定をすることを望んでいます。
「彼は優れたフローターの技術を持っている。我々はそれに秀でた素晴らしいフィニッシャーなってほしいと思っている。彼は第六感によって状況を事前に読むことができるから、それを活用してほしい」
今年8月に21歳を迎えたモラントは、コートの外でも意思決定の課題に取り組んでいます。彼は先月、メンフィスのナイトクラブでマスクを着用せずにパーティーに出席していたことが発覚しました。彼はリーグが選手に求めている安全衛生のプロトコルを学んでいる最中であると語り、パーティーに出席する際はマスクを着用するべきだったと反省しました。
モラントはグリズリーズの看板を背負っています。つまり、モラントがコートの内外で優れた選手に成長することは、グリズリーズの将来をより明るくすることを意味するでしょう。
それはモラントほどの若い選手にとっては計り知れないほど大きな重荷かもしれません。しかし、彼はその役目を引き受ける覚悟を持っています。グリズリーズを見落とすことは間違っているという彼の主張が最大の証拠です。
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グリズリーズのジャ・モラント、フィニッシャーの理想像はカイリー・アービング