ザイオン・ウィリアムソンは素晴らしい選手であり、おそらくニューオーリンズ・ペリカンズで全体1位指名され、偉大な道を進むことを必要とされるでしょう。
その中で、ペリカンズはアンソニー・デイビスのトレードにより、ウィリアムソンにとって必要な選手を獲得できたのかもしれません。
それが、キャリア2年のポイントガードであるロンゾ・ボールです。
ボールはキャリア通算で、アシスト率は26.8%、リバウンド率は10.0%、スティール率は2.3%、ブロック率は1.6%を記録しており2000分未満の出場時間でこれら4つを上回る選手は、NBAの歴史上に一人も居ません。
出場時間を考慮しなくても、これらの4つのスタッツを記録している選手はボールの他に、マジック・ジョンソン、ジェイソン・キッド、ラッセル・ウェストブルックしか居ないのです。
2年目のシーズンでは、ボールのこれら4つのスタッツがいずれも減少傾向にありましたが、それはなぜでしょうか?
それは、レブロン・ジェームズがチームにやってきたことで、ボールが小さな役割を受け入れたからです。
つまり彼は、2017年に全体2位指名された後のルーキーイヤーのようにプレイメーカーになることも出来れば、今季のように小さな役割でチームを支えることも可能だと言えます。
『ESPN』のオーム・ヤングミスク氏によれば、レイカーズのレジェンドであるジェームズ・ウォージー氏は、ボールについてこう語りました。
「ロンゾ・ボールは、明らかにマジック(ジョンソン)が持っていた才能のいくつかを授かっている。それほど背が高いわけではないが、6フィート6インチ(約198cm)で、バスケットボールIQがあり、他の選手には無い視野を持っている」
ほとんどのガードの選手はドリブル主体のバスケットボールであるため、ボールのパス主体のバスケットボールはより印象的に見えます。
そしてウォージー氏は、いずれそれが称賛に変わるだろうと語りました。
「選手が彼のパスに慣れ、周囲に本当に優れたシューターを手に出来れば、人々は彼を高く評価すると思うよ。そして彼ら(ペリカンズ)は、獲得した非常に利他的な選手を、既に高く評価している」
もし、ウィリアムソンの実力が本物であるならば、ボールは彼のもとにパスを送るでしょう。
『ESPN』のラモーナ・シェルバーン氏は、こうツイートしています。
「ロンゾがザイオンにロブ(パス)を送るのは、NBAにとって必要なことだ!」
Lonzo throwing lobs to Zion is everything the NBA needs!
— Ramona Shelburne (@ramonashelburne) June 15, 2019
ウィリアムソンに限らず、ボールとドリュー・ホリデーのデュオも興味深いでしょう。
一見すればレブロンのようにスキルや役割が重複しているように思えがちですが、『The Athletic』のサム・ヴォーチェニー氏は次のように指摘しています。
「私がロンゾなら興奮するね。ザイオンと一緒に得点し、ドリュー・ホリデーと完璧なガードパートナーを組み、彼がトラジションでポイントガードを務めている間に、ハーフコートでプレイメイキングをすることが出来る。ディフェンス面では、ペリカンズはザイオンやドリュー、ロンゾと共に、ポテンシャルのある優秀なコアが揃っている。素晴らしいね」
If I was Lonzo Ball, I’d be ecstatic. Get to run with Zion, have a perfect guard partner with Jrue Holiday that can handle half-court playmaking while he gets to be the transition PG. Defensively, Pellies have a potentially elite core with Zion, Jrue and Lonzo. Love it
— Sam Vecenie (@Sam_Vecenie) June 15, 2019
互いが互いを助けることでオフェンスが良くなること以上に、ヴォーチェニー氏が指摘するように最大の脅威はディフェンス面かもしれません。
ボールとホリデーは、どちらも1番から3番のポジションを守ることが可能であり、ペリメーターにおいて、これらのポジションをスイッチするのは容易なことでしょう。
そしてどちらか一方が抜かれたとしても、その先にはウィリアムソンが待ち構えています。
さて、ここまで魅力的な話ばかりしてきましたが、これで終わればボールはパスとディフェンスに定評のあるスター選手です。
しかし、彼がスター選手になるために避けて通れない壁というものが、ご存知の通り”シュート能力”にあると言えるでしょう。
ボールがキャリア通算で試投したスリーポイントシュートと、ほぼ同じ数を試投した621人の選手のうち、ボールの成功数は529位にランクインしています。
また、EFG%(有効フィールドゴール成功率:スリーポイントシュートの価値を1.5倍としたフィールドゴール成功率)でも562位にランクインしました。
ボールのスリーポイントシュートが平均的な成功率まで改善できない限り、彼は常にアウトサイドに立ってもスペースを空けられ、それはチームメイトにパスを出すことを難しくします。
とはいえ、彼が改善できない理由というのもありません。
ボールは、カレッジ時代の通算スリーポイントシュート成功率で41.2%を記録しました。
ボールと同様に独特なシュートフォームで知られたケビン・マーティンでさえ、彼はキャリア通算スリーポイントシュート成功率で38.4%を記録しています。
ボールがまだ21歳であることを考えれば、彼のシュートタッチに関しては長い目で見る価値はあるのではないでしょうか。
ペリカンズは、デイビスのトレードのために数ヶ月という多くの時間を費やしてきましたが、今や多くの希望がそこにあります。
ボールとウィリアムソンのデュオというのは、それらを具体化した一種の希望なのかもしれません。