フリーエージェント――それは選手が自分の未来を決められるものの一つであり、チームにとっては保証の出来ない脅威だと言えるでしょう。
フリーエージェントが求める利益によっては、どれだけ最高のチームを築いていたとしても、一瞬にして容易に崩れ去ります。
そして、2人のスター選手を手放すことになるであろうボストン・セルティックスは、その”フリーエージェントの利益”に敗れたチームなのです。
シーズン開始前、カイリー・アービングは本拠地で開かれたシーズンチケット購入者との集まりで、「みんなの後押しがあれば、俺は戻ってくるだろう」と語り、セルティックスへの残留の意思を示しました。
しかしそれから数ヶ月、今やアービングは自身の利益を追い求め、チームから離れるのは時間の問題となっています。
悪い流れは簡単に止められないもので、アル・ホーフォードまでもがフリーエージェントになるようです。
来季3,010万ドルのプレイヤーオプションを持つホーフォードが、プレイヤーオプションを破棄してフリーエージェントとなるのは全くの予想外だったことでしょう。
仮にプレイヤーオプションを破棄したとしても、噂に挙がったのはセルティックスとの3年間の契約延長でした。
しかし『Boston Herald』のスティーブ・ブルペット氏によれば、ホーフォードは他チームと4年間の契約に向けて動き出しています。
両者が居なくなれば、セルティックスにとってどれだけ致命的であるかは明白です。
結局のところ、セルティックスを最も支えてきたのはアービングとホーフォードであり、彼らはポゼッションが思い通りに行かなかった時でも、それを立て直す才能を持っていました。
その責任は近いうち、ジェイソン・テイタムやジェイレン・ブラウンに移るでしょう。
セルティックスの長所は、テイタムやブラウンに早いうちから責任を負わせなくていいことでしたが、次のセルティックスを引っ張るのは彼らしか居ません。
アービングとホーフォードが去れば、セルティックスは3,000万ドル以上のキャップスペースを得られますが、果たして満足のいく夏を過ごせるでしょうか?
現状、今年のトップクラスのフリーエージェントが、セルティックスへの移籍を熱望しているようには見えません。
マーカス・モリスとテリー・ロジアーも今夏にフリーエージェントとなるため、セルティックスの戦力は下降線をたどってもおかしくないでしょう。
特に、アービングとプレイすることの魅力は、セルティックスでプレイすることの魅力よりも大きかったようです。
アービングの残留なしに、アンソニー・デイビスのトレードは考えられませんでした。
アービングが居なければ、チームはスーパースターを招こうとせず、フリーエージェントさえも関心が無いのです。
1人のNBA選手は、他のどのスポーツよりも多大な影響を与える可能性があります。
アービングが残留を希望していた場合、ホーフォードも残留を希望したでしょうか?
しかし、今のセルティックスに打てる手は、3つのドラフト1巡目指名権を賢く使うだけです。
リーグ全体を見ても、”フリーエージェントの利益”に悩まされているチームは多いでしょう。
特に興味深いのは、イースタン・カンファレンスです。
NBAの頂点に立ったトロント・ラプターズは、チームのエースであるカワイ・レナードに対処する必要があります。
レギュラーシーズンを最高勝率で終えたミルウォーキー・バックスは、クリス・ミドルトン、マルコム・ブログドン、ブルック・ロペス、ニコラ・ミロティッチといった主力選手に対処しなければなりません。
フィラデルフィア・76ersもまた、ジミー・バトラー、トバイアス・ハリス、JJ・レディックがフリーエージェントとなります。
そして今、ゴールデンステイト・ウォリアーズのケビン・デュラントとクレイ・トンプソンは来季に響く怪我をしたため、明らかにウェストで圧倒的なチームも無いでしょう。
もしかすると、”フリーエージェントの利益”に選ばれたチームが、来季にリーグで成功を収められるチームへと変貌を遂げるのかもしれません。