オクラホマシティ・サンダーで2年間プレイしたポール・ジョージが、一瞬にしてロサンゼルス・クリッパーズへとトレードされました。
そして今、サンダーはフランチャイズの顔であるラッセル・ウェストブルックにも対処しなければなりません。
『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー氏によれば、サンダーとウェストブルックは、トレードを含めた今後の見通しついて話し合っているようです。
しかし、ウェストブルックをトレードをするのは非常に難しいことでもあるでしょう。
その最大の理由は、ウェストブルックが今後最大4年間で1億7,110万ドル(4年目はプレイヤーオプション)という莫大な契約を持っているためであり、これほどの価値はプラスの要因とはなりません。
サンダーは彼をトレードすることで、可能な限りサラリーキャップを削減できれば十分です。
ただ、サンダーにはオフシーズンにトレードするか、2019-20シーズン開幕後にトレードするか、という2つの選択肢があります。
ここでは、それぞれの場合でウェストブルックがトレードされる可能性のあるチームを見ていくことにしましょう。
目次
オフシーズン
クリーブランド・キャバリアーズ
キャバリアーズは再建の初期段階にありながら、ケビン・ラブが居るということを忘れてはいけません。
これはつまり、キャバリアーズが再建のプロセスを出来る限り早く終わらせたいと考えているかもしれない、ということです。
もし、サンダーがウェストブルックと引き換えにJR・スミス、ブランドン・ナイト、ケビン・ポーターJr.のトレードを成立させられたとしましょう。
そしてスミスを手放せば、サンダーのサラリーキャップは1,700万ドル以上削減され、ラグジュアリー・タックス(贅沢税)を逃れることができるようになります。
ただし、このトレードは簡単に成立しません。
まず第一に、ウェストブルックを獲得することで、キャバリアーズがラグジュアリー・タックスを支払う必要性が出てくること…
そして、キャバリアーズにはダリアス・ガーランドや、コリン・セクストンといった若きガード選手がいるということが理由として挙げられます。
しかし、先述したようにキャバリアーズが即座に再建を終わらせ、いち早くイースタン・カンファレンスで争えることを望んでいるとするならば、このトレードはサンダーがサラリーキャップを大幅に削減できる希望となるはずです。
デトロイト・ピストンズ
今後最大3年間で1億2,020万ドルを稼ぐブレイク・グリフィンに、ウェストブルックを加えるのは非常にリスキーな選択です。
しかしピストンズには、今のポイントガードで戦えるのかという懸念もあるでしょう。
レジー・ジャクソンは、グリフィンやアンドレ・ドラモンドに次ぐ3番手とするには優秀ですが、浮き沈みの激しい選手で、ショットの安定性に欠ける選手です。
2年1,500万ドルで契約したデリック・ローズは、リザーブメンバーとして起用するには十分ですが、怪我をしやすいのは変わらずであり、2018-19シーズンは足首と肘の負傷により51試合の出場に留まりました。
もちろんウェストブルックが、グリフィンやドラモンドと完璧にフィットするとは思えません。
しかし、彼はジャクソンやローズと異なり、一人でも状況を打開することができるスーパースターです。
サンダーが経済的な救済以上のものを求めていなければ、ピストンズは十分なものを提示することができます。
ジャクソン、トニー・スネル、スビアトスラフ・マカイルーク、ソン・メイカー、そして将来の2巡目指名権があれば、サンダーの注目を引けるでしょう。
あるいは保護条件付きの1巡目指名権を提示すれば、いっそう魅力的なトレードだと感じるはずです。
マイアミ・ヒート
サンダーが今すぐにサラリーキャップの削減を望んでいるのではないとすれば、ヒートとのトレードも悪くない選択肢です。
ジミー・バトラーを獲得したヒートは、頼れるスター級のポイントガードに飢えています。
ヒートは、ライアン・アンダーソン(3年1,560万ドル)、ジェームス・ジョンソン(2年3,140万ドル)、ケリー・オリニク(2年2,570万ドル) or ディオン・ウェイターズ(2年2,480万ドル)を提示できるのが理想的でしょう。
しかし、もう少し何かが必要ですが、ヒートにはそれを持ち合わせていません。
バム・アデバヨやタイラー・ヘロを加えるのは良い考えのように思えますが、それではサンダーがラグジュアリー・タックスを回避するのを難しくするだけです。
かと言って、ヒートは2025年のドラフト1巡目指名権まで提示することは不可能です。
そういった意味では、このトレードはサンダーのサラリーキャップの削減というよりは、ヒートがスーパースターをどのように獲得するかに注目がかかるトレードだと言えるでしょう。
シーズン中
ニューヨーク・ニックス
ニックスは今夏にスーパースターの獲得が出来なかった代わりに、多くの優秀なロールプレイヤーを集めることができました。
レジー・ブロック、ウェイン・エリントン、タージ・ギブソン、ボビー・ポーティスらはいずれも2年契約であり、ジュリアス・ランドルも3年契約ではありますが3年目はチームオプションであるため、2年後の夏には融通が利きます。
12月15日に彼らのトレードが可能になった時、ニックスは一気にウェストブルックのトレード候補に名乗りを上げることができるようになるでしょう。
問題は、ニックスにその意志があるかどうかです。
『The Ringer』のケビン・オコナー氏は、ニックスがヒューストン・ロケッツのクリス・ポールのトレードを拒んだと伝えています。
しかし、それは結果的にチームの状況を悪化させるだけでした。
ウェストブルックのトレードは、ニックスにとってやり直す機会でもあるでしょう。
オーランド・マジック
今夏にテレンス・ロスやニコラ・ヴュチェビッチと4年契約を結び、アル・ファルーク・アミヌとも契約を結べたマジックは、既にオフシーズンの勝者のような位置付けにあります。
しかし、彼らはウェストブルックを獲得するという特別な動きをすることも可能です。
もし、シーズンの中でマーケル・フルツの将来に期待できないと判断した場合、ウェストブルックを加えるのは素晴らしい考えだと言えるでしょう。
マジックはウェストブルックのトレードのために、サラリーをマッチさせることが十分に可能です。
最もトレード対象になり得るのはフルツとエバン・フォーニエですが、アーロン・ゴードンであればサラリーの削減とトレードの中心的な魅力として、サンダーを引きつけることができるかもしれません。
フェニックス・サンズ
現状では、リッキー・ルビオがサンズと契約するため、ウェストブルックがサンズにトレードされることは考えられません。
しかし、サンズがそれで機能しないと感じた場合、12月以降にサンズはトレードで組み直すことができます。
サンズはルビオ、タイラー・ジョンソン、フランク・カミンスキー、ケリー・ウーブレイJr.(再契約した場合)、アーロン・ベインズといった選手らを提示することができるでしょう。
ただ、やはりサンダーにとって魅力的なものがありません。
2020年の1巡目指名権はボストン・セルティックスに譲渡してしまいましたし、だからといってミカル・ブリッジズ(2018年全体10位)や、キャメロン・ジョンソン(2019年全体11位)も加えるのはやり過ぎです。
とはいえ、サンズはそれも考慮している可能性があります。
ウェストブルックとデビン・ブッカーのデュオは、若き才能を放出してでも試してみたい”ハイリスク・ハイリターン”な賭けであるからです。