考察

なぜアメリカのNBAスターはFIBAワールドカップを辞退するのか

今年の夏に中国で開催されるFIBAワールドカップで、チームUSAはどのようなロスターで戦うことになるでしょうか?

レブロン・ジェームズ、ケビン・デュラント、ステフィン・カリー、カワイ・レナード、ラッセル・ウェストブルック、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン、デマーカス・カズンズ、ブレイク・グリフィン、ポール・ジョージ、カイリー・アービングといった過去のワールドカップ優勝経験者も、既に様々な理由で出場を辞退しています。

そして、アンソニー・デイビスやジェームズ・ハーデン、エリック・ゴードン、CJ・マッカラム、さらにはブラッドリー・ビールまでもが出場を辞退した今、状況はより深刻かもしれません。

実際、2018-19シーズンにオールNBAチームに選出されたアメリカ人選手のうち、ワールドカップ出場の可能性を残しているのは、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)とケンバ・ウォーカー(ボストン・セルティックス)だけです。

リラードは言うまでもなくリーグトップクラスの選手であり、おそらく彼がチームのリーダーとなりますが、5年前のワールドカップではチームUSAにスター級の選手が揃っており、リラードはそのロスターから外されていました。(代わりに入っていたのはデリック・ローズでした)

リラードにとって、チームUSAにとって、どのような変化が訪れているのでしょうか?



なぜアメリカのNBAスターがワールドカップ出場を辞退するのか――その明確な答えは分かりません。

ヘッドコーチは史上最高とも言えるグレッグ・ポポビッチ氏(サンアントニオ・スパーズHC)であり、アシスタントコーチはスティーブ・カー氏(ゴールデンステイト・ウォリアーズHC)とロイド・ピアース氏(アトランタ・ホークスHC)が務めます。

アメリカ国内外で彼らと一緒にバスケットボールが出来るのは、夢のようにも思えるでしょう。

重要性を語るならば、今回のワールドカップで西半球のチームのうちのトップ2に入ることで、2020年に開催される東京オリンピックの出場を確定させることもできます。

西半球のチームはアメリカの他に、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、プエルトリコ、ベネズエラ、ドミニカ共和国の全7チームであるため、アメリカがトップ2に入るのは決して難しいことではありません。

仮にアメリカが敗れたとしても、来年のオリンピックの前に再び予選があるため、そこでスター選手が集えばオリンピック出場は確実でしょう。

実際のところ、アメリカがロスターの質を落としていたとしても、ワールドカップの優勝候補であることは事実です。

3位に終わった2006年のワールドカップ以来、アメリカは全てにおいて優勝し続けてきました。

当時敗れたのはギリシャであり、今年はヤニス・アデトクンボがギリシャ代表としてプレイしますが、同様のことが起きるとも限りません。

結局、チームUSAはスター選手が居なくても、大本命となることは十分に可能です。

しかし、だからといってスター選手がワールドカップを辞退する理由にはなり得ないでしょう。



2004年のアテネオリンピック(テロの脅威)や、2016年のリオデジャネイロオリンピック(ジカウイルス)のように、スター選手の安全性や健康を害するものはありません。

開催国は中国ですが、ここはNBAの海外市場の中心地です。

では、他に断る理由があるとすれば――現状に満足しているということでしょうか?

一緒にプレイする仲の良い選手が居ないから?オフシーズンの終盤にワールドカップを戦う必要があるから?「USA」を胸に付けることを魅力と感じないから?

おそらく、こうした様々な理由により、スター選手はワールドカップ出場を辞退するのでしょう。

これは決して出場しない選手を批判しているわけではありませんし、自分を自分で管理することは現代のNBAにおいて最も重要なことの一つとも言えます。

しかしいずれにせよ、今年のワールドカップにおけるチームUSAのロスターは、2002年のワールドカップ以来最も味気のないロスターになるかもしれません。

リラードやウォーカー、ポポビッチ氏は、優れた才能を駆使して優勝を目指すでしょうが、スター選手が代表チームに加わろうとしなくなった現状にも目を向けるべきでしょう。

『ステフィン・カリー 努力、努力、努力 自分を証明できるのは、自分だけ』

  • 原著:Marcus Thompson,2
  • 著:マーカス トンプソン,2
  • 翻訳:東山 真

歴代最高のシューターとして謳われる、ステフィン・カリーの人生にフォーカスした待望の評伝の日本語版!

ウォリアーズファンはもちろん、全てのNBAファンにオススメの一冊です!

Amazon

楽天ブックス

Yahoo!ショッピング

-考察
-,

© 2022 NBA TOPICS