アトランタ・ホークスの開幕戦であるデトロイト・ピストンズ戦――トレイ・ヤングは右へ左へディフェンダー翻弄し、スクリーナーからほぼハンドオフの状態でボールを受け取ると、背後に振り切ったディフェンダーに接触を受けながら3ポイントシュートを放ち、4点プレイを成立させました。
倒された直後、ヤングは数回の腕立て伏せを行います。
『NBC Sports』のダン・フェルドマン氏によれば、試合後にヤングはそのプレイのついて振り返りました。
「酷い転び方だった。立ち上がって強くならないとね」
終わってみれば、ヤングは38得点、7リバウンド、9アシストの大活躍で、ホークスを117-110の開幕戦勝利に導きました。
今から1年前のヤングとは、比べ物にならないほどの成長です。
昨シーズンのヤングはルーキーだったこともありますが、12月中旬までフィールドゴール成功率38%、3ポイントシュート成功率24%、平均ターンオーバー4本と、まるで火の中に投げ込まれたかのような苦しみを味わっていました。
ディフェンスに関しては、オフェンスよりも酷かったと言えるでしょう。
しかしシーズンが終わる頃には、ダラス・マーベリックスのルカ・ドンチッチと新人王を争うまで成長していました。
そしてたった1試合と言えど、2年目の開幕戦で魅せたパフォーマンスにより、今のヤングには次世代のスーパースターとして輝く片鱗さえ伺えます。
これはホークスにとって非常に大きなことです。
勝てるチームを築き上げるには様々な方法がありますが、現代のNBAがポイントガードの全盛期のと言えるような環境であることを考えると、チームに優れたポイントガードを加えるのは素晴らしい出発点の一つとなるでしょう。
ポイントガードにスポットライトが当てられる時代を維持したいのであれば、ヤング、ベン・シモンズ、ディアロン・フォックス、ジャマール・マレー、ジャ・モラントといった若い選手たちは、地位を確立していかなければなりません。
実際、2012年以降にドラフトされたポイントガードの選手は、これまで一度もオールNBAに選出されていないのです。
ステフィン・カリー、デイミアン・リラード、カイリー・アービング、ラッセル・ウェストブルックといった選手らが、長きに渡って最高のポイントガードとしてリーグを引っ張ってきました。
そんな彼らに世代交代を宣告することがどれだけ難しいかは、ヤング自身も理解しています。
「彼らが居なくなるまでは(スーパースターになるのは)大変だろうね。彼らは偉大な選手だからさ」
たった1試合のパフォーマンスで大騒ぎするのは、馬鹿げているかもしれません。
確かにピストンズはブレイク・グリフィンが欠場し、ヤングは6本ものターンオーバーを記録しました。
しかし、彼の38得点を特別なことの前兆と捉えても、悪いことではないでしょう。
開幕戦でヤングよりも多くの得点を挙げた若手選手は、誰一人としていません。
次にヤングがすべきことは、彼に懐疑的な人々を少しでも納得させるため、プレイオフに進出する可能性があるチームと対戦する次の4試合(オーランド・マジック戦、フィラデルフィア・76ers、2度のマイアミ・ヒート戦)で、成功を維持することです。
それでもヤングはまだ21歳であり、自身を磨くには十分な時間があるため、決して焦る必要はありません。
ただ少なくとも言えるのは、ヤングが次世代のスーパースターになる物語が始まっている可能性があるということです。
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