身体的な意味では、身長が6フィート(約182cm)のトレイ・バークは、フィラデルフィア・76ersの選手の中でも際立っていると言えるでしょう。
しかし同時に、バークが76ersへ与える影響力も、明確なものがあります。
『NBC Sports Philadelphia』のノア・レビック氏によれば、1月6日(日本時間7日)のオクラホマシティ・サンダー戦に120-113で勝利した後、76ersのブレット・ブラウン・ヘッドコーチはバークの存在について次のように語りました。
「彼はチームで少し違う存在になった。そして、オフェンス面でかなりのインパクトを与えている」
サンダー戦で16分間に出場したバークは、フィールドゴール7本中5本成功の13得点を記録し、チームの勝利に貢献しました。
しかし数字以上に興味深かったのは、76ersのベン・シモンズがファウルトラブルに陥った時に、バークとジョシュ・リチャードソンがどのようにしてオフェンスを作り上げたかということです。
彼らはピック&ロールからオフェンスを組み立て、相手のディフェンスを突破していきました。
リチャードソンは3日(同4日)のヒューストン・ロケッツ戦で7得点に終わりましたが、今回のサンダー戦ではチーム最多の23得点を記録しています。
リチャードソンは試合後にこう語りました。
「毎日のように、もっと頻繁にやれるようにしないといけない。僕はかなり利他的だから、たまに自分のオフェンスではなく、みんなをプレイに参加させようとしてしまうんだ」
試合前も後も、ブラウンHCはリチャードソンやアル・ホーフォード、トバイアス・ハリスらに、もっと積極的に3ポイントシュートを放ってほしいと言いました。
サンダー戦で、リチャードソンは自身のシーズン平均を下回る3ポイントシュート試投数(4本)ではあったものの、それでもチーム全体としては26本中13本の3ポイントシュートを成功させました。
ホーフォードは試合後に、「みんなが準備して、チャンスが来たら打つんだ」と語ります。
「今日は良いペースでプレイできたと思うし、シュートを打たなければすぐにボールを動かしていた。こうやってプレイできると、とても助かるよ」
今シーズンの76ersのオフェンスは、これまでのように選手やボールの動きを前提としたものではありません。
JJ・レディックや、マルコ・ベリネリがスクリーンの周囲を回ることを中心としていたオフェンスは、ポストアップに取って代わられました。
そして過去数試合のように、リチャードソンとバークはより多くのピック&ロールを活用しています。
特にリチャードソンとシモンズを活用したピック&ロールは興味深く、これはロケッツ戦やサンダー戦でも有効な戦術でした。
ブラウンHCはリチャードソンのボールハンドリングを、シモンズのオフェンス面での役割を軽減してくれる「必要なもの」だと称賛しています。
バークもまた、オフェンス面ではシモンズと相性が良いかもしれません。
まだ確証が得られるだけのサンプルはありませんが、現時点でバークとシモンズが一緒に出場している際のオフェンシブ・レーティングは119.3ポイントを記録しており、これはリチャードソンとシモンズの117.4ポイントも上回るものです。
バークやリチャードソンの影響力が、今後も持続可能なものであるかどうかは分かりませんが、少なくともサンダー戦ではダイナミックなオフェンスを見せつけ、76ersを”少し違う”ものに変えてくれたと言えるでしょう。
バークは、リチャードソンと一緒にプレイすることの好きな点について語りました。
「彼は攻守でアグレッシブな選手だ。そういった点では、僕たちは似ていると思う。彼は自分のサイズを活かして、ペイントに侵入する。リスクを冒すという意味では、僕もやっていることだと思う。あまり保守的にならないように、完璧なプレイなど無いことを理解して、ある程度のリスクを冒すんだ。一緒に出場すれば、互いを補い合うと思うよ」