2019-20シーズンが新型コロナウイルスの影響で中断される前、プレイオフを競うイースタン・カンファレンスのチームの中でも、インディアナ・ペイサーズの話題性は非常に低いものでした。
その理由としては、今年のオフシーズンにフリーエージェントとなる選手がほとんど居ないことや、正真正銘のスーパースターがロスターに居ないことが挙げられるでしょう。
しかし、ペイサーズは水面下でチャンスを伺っているはずです。
そして来シーズン以降、さらに大きく飛躍した彼らを見ることができるかもしれません。
今の段階でも、ペイサーズが正しい方向に進んでいることは分かります。
ビクター・オラディポが右膝の四頭筋腱断裂から復帰し、ローテーションに馴染み始めたことによって、ペイサーズは最後の10試合で7勝3敗を記録しました。
ベテランの指揮官――ネイト・マクミラン・ヘッドコーチが率いるペイサーズには、たとえ今年のプレイオフであっても、容易に彼らを乗り越えていくチームはどこにもいないでしょう。
リーグで7番目に優れたディフェンシブ・レーティング(100ポゼッションあたりの失点)を誇るペイサーズは、マクミランHCの指揮下でアイデンティティを確立しています。
そして何よりも大きいのは、このアイデンティティを今後数年間も維持しやすいということです。
ペイサーズの5人の先発のうち、TJ・ウォーレンは2022年まで契約が保証されており、マルコム・ブログドン、マイルズ・ターナー、ドマンタス・サボニスに関しては、20203年まで契約が保証されています。
オラディポは来シーズンが終わった後にフリーエージェントとなりますが、キャリア3つ目のチーム――ペイサーズで才能を開花させたことを考えると、彼が残留することは大いに期待できるでしょう。
また、ペイサーズもオラディポに、他チームより多くの金額を提示することができます。
もしオラディポが他チームでプレイすることを望んだとしても、その代わりに十分なキャップスペースを得られるため、ペイサーズが失うものはそれほど大きくありません。
そして十分な出場時間を貰っている選手の中で、今シーズンが終わった後にフリーエージェントとなる選手は、ジャスティン・ホリデーしか居ないのです。
他チームの多くはフリーエージェントに対処し、ケミストリーも再構築させなければならない可能性がある中、ペイサーズは今のロスターのに力を注ぎ続けられるのは、大きな利点だと言えるでしょう。
飛躍するには、それなりのポテンシャルが必要ですが、それは既に証明されています。
特に、自分や他者のためにプレイメイキングができるオラディポと、フロアスペーサーにもなれるサボニスは、チームの中でも最も大きな役割を担っている2人です。
彼らはまだ若い(オラディポが27歳、サボニスが23歳)ため、個人としても、デュオとしても、将来的によりダイナミックな存在になれる可能性を秘めていると言えるでしょう。
サボニスは今シーズンに先発起用されるようになった結果、キャリア初のオールスターに選出されました。
オラディポは怪我によってオールスター出場ができませんでしたが、理想としては、ペイサーズは両者が同じ年にオールスター出場することを望んでいるはずです。
それが叶えば、チームの大きな飛躍の一部となるでしょう。
オラディポのサボニスの周囲も、堅実なサポーティングキャストで構築されています。
ウォーレンはペリメーターやリム周辺から相手に痛手を追わせる万能型スコアラーで、今シーズンのチームのトップスコアラーでもあります。
ブログドンは信頼できる司令塔であり、今シーズンはこれまでのキャリアハイを大きく更新する平均7.1アシストを記録しました。
ターナーはオールスター級の才能を持った選手の一人で、サボニスと同様にインサイド、アウトサイドを問わず得点ができるほか、昨シーズンはリーグトップの平均2.7ブロックを記録するなど、運動能力の高いビッグマンでもあります。
リザーブの選手たちも、侮ることはできません。
ジェレミー・ラムは前十字靭帯断裂により無期限離脱となっていますが、コートに立てば攻守で活躍できる選手です。
TJ・マッコネルはベンチから活力を与え、手本となる”接着剤”のような役割を果たし、ダグ・マクダーモットはキャリア平均41.3%の3ポイントシュート成功率を誇る選手です。
ペイサーズがどこまで飛躍できるのかは不透明ですが、それでも楽観視できる理由は多くあるでしょう。
成長の余地があるオラディポとサボニスのスターに、経験豊富なヘッドコーチ、今後も契約が保証されている多くのタレントは、非常に贅沢なものです。
2015-16シーズン以降、ペイサーズはプレイオフで4年連続ファーストラウンド敗退を喫しています。
しかし、彼らが階段を上っていくのは時間の問題かもしれません。
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