考察

ロケッツ対サンダーの第7戦から見えた3つのポイント

ヒューストン・ロケッツは9月2日(日本時間3日)に行われたオクラホマシティ・サンダーとのプレイオフ1回戦第7戦に104-102で勝利し、第1シードのロサンゼルス・レイカーズが待ち受けるカンファレンス準決勝への進出を決めました。

ロケッツのジェームズ・ハーデンはフィールドゴール15本中4本成功の17得点とオフェンス面で精彩を欠いたものの、ディフェンス面では試合終了間際にサンダーのルーゲンツ・ドートの3ポイントシュートをブロックし、逆転のピンチを救いました。

代わりにオフェンスで特にステップアップを見せたのは、ロバート・コビントンでした。

コビントンは第6戦まで平均12.0得点にとどまっていましたが、第7戦ではチーム最多タイとなる22得点(もう一人はエリック・ゴードン)を記録し、チームの勝利に大きく貢献しました。

一方で、サンダーはドートが定評のあるディフェンスでハーデンを抑え込みながら、オフェンスでもキャリア最多となる30得点を記録しました。

また、クリス・ポールも19得点、11リバウンド、12アシストを記録しており、第7戦でのトリプルダブルとしては史上最年長での達成となっています。

しかし、今季は接戦にめっぽう強かったサンダーも第7戦ではショットを決めきれず、彼らのサプライズイヤーはこの時点で終了することになりました。

ここでは、そんな第7戦から見えた3つのポイントをさらに掘り下げていくことにしましょう。



自分自身も救ったジェームズ・ハーデン

ハーデンは確かに脅威的な選手ですが、プレイオフの実績に関してはそれほど目立ったものがありません。

彼は2013年にロケッツに移籍して以降、チームは毎年プレイオフに進出していたものの、最高成績はカンファレンス決勝進出止まりであったためです。

今年のプレイオフは、過去数年間に渡ってプレイオフで敗北を喫してきたゴールデンステイト・ウォリアーズが不在のため、ロケッツやハーデンにとってはNBAファイナル進出が今まで以上に見込める大きなチャンスのはずでした。

しかし、彼らは1回戦から、当初はプレイオフ進出さえ期待されていなかったサンダーに苦しめられることになりました。

最初の2戦を制しながらも最終的に第7戦まで持ち込まれてしまったこと、そんな第7戦でもフィールドゴール15本中4本成功の17得点であったことは、ハーデンのプレイオフにおける経歴にさらなる打撃を与えかねないものでした。

そのため、ロケッツが1点リードで迎えた最後の局面でハーデンがドートの3ポイントシュートをブロックしたのは、単にチームを救っただけではなかったと言えるでしょう。

ハーデンは自分自身も救ったのです。

偉業を達成したルーゲンツ・ドート

今季の一部をGリーグチームのオクラホマシティ・ブルーで過ごしたルーキーのドートは、サンダーでの36試合ではわずか平均4.6得点であったため、今シリーズが開始されるまで彼の名前を知らなかった人々は少なくないはずです。

しかし、7試合のシリーズを終えた今、誰もがドートの名前を知っています。

サンダーのビリー・ドノバンHC(ヘッドコーチ)は、今シリーズで主にドートのディフェンス力に多大な信頼を寄せ、ドートはその期待に応えるように元MVPのジェームズ・ハーデンをことごとく抑えました。

そして第7戦では、課題とされていたオフェンス面でも大きなステップアップを見せ、6本の3ポイントシュート成功を含むキャリア最多の30得点を記録しました。

最後のショットこそハーデンに阻まれ、サンダーはプレイオフ進出を逃してしまいましたが、第7戦のドートが攻守でスター選手のように貢献していたのは明らかでしょう。

驚くべきことに、プレイオフの第7戦で25得点以上を記録した21歳以下の選手は、NBAの歴史を見てもコービー・ブライアントとレブロン・ジェームズの2人しかいません。



滅多に見られない最終盤の攻防

今シリーズの第7戦ほど混沌とした最終盤の攻防は、滅多に見られるものでもないでしょう。

第4クォーター残り1分1秒にサンダーのデニス・シュルーダーがショットを外した後、両チームの選手たちはルーズボール争いやフロッピングによってフロアに倒れ込み、クリス・ポールは逆転の決定機を逃してしまいました。

https://twitter.com/i/status/1301385504533798912

さらに試合終了間際には、ハーデンが逆転を狙ったドートの3ポイントシュートをブロックし、その直後にドートはボールをハーデンに当てることでアウトオブバウンズを狙いましたが、投げたボールはハーデンの両足の間を通り抜けていきました。

しかし、これで終わりではありません。

ロケッツが1点リードの残り1.4秒で、ロケッツのロバート・コビントンはフリースローを2本中1本しか決められませんでした。

この時点で2点ビハインドのサンダーはタイムアウトを要求し、その後にインバウンドで試合を再開させようとしましたが、パスの出しどころが見つからず、5秒バイオレーションを避けるためにサンダーは再びタイムアウトを要求しました。

しかし、このタイムアウトが成立する直前に、ハーデンのファウルによってサンダーに1本のフリースローが与えられたのです。

ただ残念なことに、サンダーのダニーロ・ガリナリはこのフリースローを失敗し、点差は縮まりませんでした。

そして最後はサンダーのインバウンドパスがターンオーバーとなり、試合終了となりました。



最後の1分間がとてつもなく長く感じたとしても、あなたの感覚は間違っていません。

ファウルやレビュー、タイムアウトを含めれば、最後の1分間は実際の時間で16分間もかかっていたためです。

両チームの命運が左右され、公平なジャッジが求められる場面であっただけに、それは仕方のないことでもあるでしょう。

その中身は決して美しいものとは言い難いですが、両チームが勝利のためにできる限りのことを尽くすという意味では、非常に印象深く記憶に残る攻防でした。

『ステフィン・カリー 努力、努力、努力 自分を証明できるのは、自分だけ』

  • 原著:Marcus Thompson,2
  • 著:マーカス トンプソン,2
  • 翻訳:東山 真

歴代最高のシューターとして謳われる、ステフィン・カリーの人生にフォーカスした待望の評伝の日本語版!

ウォリアーズファンはもちろん、全てのNBAファンにオススメの一冊です!

Amazon

楽天ブックス

Yahoo!ショッピング

-考察
-, ,

© 2024 NBA TOPICS