マイアミ・ヒートは、昨季にキャリア初のオールスター出場を果たしたセンターのバム・アデバヨと5年1億6,300万ドルの契約延長を結びました。『Miami Herald』のバリー・ジャクソン記者によれば、もしアデバヨが2020‐21シーズンにシーズンMVPかオールNBAチーム、最優秀守備選手賞のいずれかを受賞した場合は、2021‐22シーズンから開始される新たな契約が5年1億9,500万ドルに昇給されるようです。
気になることがあるとすれば、なぜヒートはアデバヨと契約延長を結ぶ決断を下したのかということです。ヒートは2021年のオフシーズンにフリーエージェントを迎える可能性があるミルウォーキー・バックスのスーパースター、ヤニス・アデトクンボとの契約を狙っていることが以前から報じられていました。既にジミー・バトラーとも大型契約を結んでいるヒートがアデバヨとも大型契約を結ぶということは、2021年のオフシーズンに利用できるサラリーの柔軟性を大きく失うことを意味します。
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ヒートの来季の標的はヤニス・アデトクンボとビクター・オラディポ?
もしアデバヨとの契約延長を見送っていれば、彼は2021年のオフシーズンにフリーエージェントを迎えていました。その場合、ヒートは他のチームにも劣らない額のマックス契約をアデトクンボに提示することができたはずです(スーパーマックス契約を提示できるバックスは例外)。アデトクンボとの契約が成立したと仮定して、その後にバード権を行使してアデバヨと今回のようなマックス契約を結べば、ヒートはサラリーキャップを超過しながらもアデトクンボとアデバヨをロスターに置くことが期待できました。
他のチームの選手と契約を結ぶ場合はバード権が存在しないため、通常の契約ではサラリーキャップを超過して選手を獲得することができません。つまり、ヒートはアデバヨと契約延長を結んだことによって、2021年のオフシーズンにアデトクンボに提示できる金額は、他のチームよりも劣ったものとなる可能性が高いでしょう。
では、ヒートはアデトクンボの獲得を諦めるということでしょうか?
当然、その可能性はあります。そもそも、アデトクンボはこのオフシーズンからバックスとスーパーマックス契約で契約延長を結ぶ資格を保持しています。もしそうなれば、アデトクンボは2021年のオフシーズンのフリーエージェントではなくなります。もしもその情報をヒートの首脳陣が知ったのであれば、アデバヨと契約延長を結んだことにも納得できるでしょう。
その情報を知るための繋がりもあります。アデトクンボとアデバヨの代理人は、どちらも『Octagon』のアレックス・サラチスが務めています。そのため、アデバヨはアデトクンボの契約状況を知ることができる可能性もあるのです。『HoopsHype』のヨッシ・ゴズラン記者によれば、ある代理人の一人は、間違いなくアデトクンボが自身の意図をアデバヨに伝えたことを推測しています。
しかし、一方で『South Florida Sun Sentinel』のアイラ・ウィンダーマン記者によれば、アデバヨはアデトクンボの契約延長について「彼の意図は分からない」とコメントしているようです。
Bam says he has not spoken with Giannis. “I don’t know his intentions.”
— Ira Winderman (@IraHeatBeat) November 24, 2020
また、ヒートがアデバヨと契約延長を結んだからといって、決してアデトクンボと契約を結ぶ希望が途絶えたわけではありません。むしろアデバヨとの契約延長は、アデトクンボと契約を結ぶための布石になる可能性があると、ジャクソン記者は報じています。
ヒートがアデトクンボを獲得しやすくするためにアデバヨに1年待つように求めるよりも、この時点でアデバヨと契約延長を結んだ方が、彼はヒートに感銘を受けるだろうと、アデトクンボに詳しい関係者は語っています。
Miami Herald
さらにゴズラン記者によれば、あるイースタン・カンファレンスのエグゼクティブは、アデトクンボがヒートへの移籍を望めば実現するだろうと語りました。
「もしヤニスがマイアミへの移籍を望めば、その方法を見つけ出すだろう。マイアミは常に創造的に物事を成し遂げる方法を見出してきた」
HoopsHype
昨年のオフシーズンに、ヒートは”サイン&トレード”という方法でジミー・バトラーを獲得しました。サイン&トレードは、サラリーキャップを超過しながらスター選手を獲得することができる有用な手段の一つです。代償として膨大な選手や資産を相手チームに送る必要があったり、補強が制限されるハードキャップの対象になるというデメリットもありますが、2年連続シーズンMVPのスーパースターを獲得する機会があるのならば、間違いなくヒートはサイン&トレードの可能性も視野に入れているでしょう。
この時点でのアデバヨとの契約延長が、アデトクンボを獲得するための布石であるのか、それとも諦めであるかのは、どちらとも受け取れることから判断はできません。ただ、もしアデトクンボが2021年にフリーエージェントになることを計画しているのであれば、アデバヨが既に長期契約を結んでいるという事実は少なからず魅力になるはずです。そして、遅かれ早かれアデバヨとの長期的なコミットメントもヒートにとって必要なことでした。であるならば、アデトクンボの獲得へ少しでも近づくという期待も込めてアデバヨと契約延長を結んだのは、正しい判断だったのかもしれません。
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バックスとの将来について語ったヤニス・アデトクンボ「チームの決定次第」