ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボは、脅威的なレギュラーシーズンを過ごしたため、シーズンMVPのファイナリストに選出されています。
一方でトロント・ラプターズのカワイ・レナードは、”負荷管理”のプログラムで22試合に欠場し、もちろんMVPに選出されることはありません。
しかし、少なくとも両者が対決するイースタン・カンファレンス決勝では、アデトクンボよりもレナードの方が勝っているように見えます。
そしてシリーズタイで迎えた第5戦では、トロント・ラプターズが105-99でバックスを下し、球団史上初となるNBAファイナル進出に王手をかけました。
1点ビハインド(79-80)で迎えた第4クォーター残り8分30秒から、ラプターズが10-0のランを決めた時、その勢いを最初にもたらしたのはレナードでした。
レナードの2本連続スリーポイントシュートが決まった後、ラプターズは同点にこそされる場面はあったものの、リードを許すことはありませんでした。
レナードは、こう語ります。
「僕はそういった瞬間を恐れていないよ。楽しんでいるんだ。」
レナードのピークはレギュラーシーズンではなく、カンファレンス決勝の舞台にあったのです。
彼はこのシリーズで、平均30.4得点、8.0リバウンド、3.8アシスト、2.2スティールを記録しています。
そして何より重要なことは、アデトクンボを抑え込んでいるということでしょう。
ラプターズが最初に2連敗を喫した後、ニック・ナースHCはアデトクンボのマッチアップにレナードを当てましたが、これが予想以上に上手くいくことになりました。
『NBA.com』によれば、第3戦と第4戦でレナードはアデトクンボを75回のポゼッションで守ったことで、アデトクンボのフィールドゴールは19本中5本の成功に終わっているだけでなく、その間にバックスは66得点しか挙げられていないのです。
また、『ESPN』のカーク・ゴールズベリー氏は、さらに興味深いスタッツを指摘しています。
ディフェンダー別、ヤニス・アデトクンボの100ポゼッションあたりの平均得点(最低100回のマッチアップが条件)
1位 カワイ・レナード(15.9得点)
2位 ブレイク・グリフィン(31.2)
3位 マービン・ウィリアムズ(31.7)
4位 パスカル・シアカム(33.2)
5位 ノア・ボンレイ(36.3)
6位 サディアス・ヤング(37.1)
7位 アル・ホーフォード(40.6)
8位 ジョエル・エンビード(51.0)
Giannis Points Per 100 by Defender (min. 100 matchups):
1. Kawhi Leonard ... 15.9
2. Blake Griffin ........ 31.2
3. Marvin Williams .. 31.7
4. Pascal Siakam ... 33.2
5. Noah Vonleh ...... 36.3
6. Thad Young ....... 37.1
7. Al Horford .......... 40.6
8. Joel Embiid ....... 51.0— Kirk Goldsberry (@kirkgoldsberry) May 24, 2019
レナードは昨季の大半と、今季の22試合に欠場したことで、彼がいかに強力なペリメーターディフェンダーであるかという認識が薄れていましたが、特にこのシリーズではそれを思い出させてくれたことでしょう。
そして今、アデトクンボとレナードに限らず、チーム全体としても変化が表れています。
主に注目したいのは、ベンチからの得点です。
チーム | バックス | ラプターズ |
第1戦 | 22 | 12 |
第2戦 | 54 | 39 |
第3戦 | 54 | 24 |
第4戦 | 23 | 48 |
第5戦 | 15 | 35 |
第5戦では、ラプターズのフレッド・ヴァンブリートが、キャリア最多となる7本のスリーポイントシュート成功の21得点を記録し、チームの勝利に欠かせない存在となりました。
ラプターズは勢いに乗っている反面、バックスは3連敗を喫し、特にアデトクンボがレナードに抑えられているという課題を克服する必要があります。
アデトクンボは、こう語りました。
「僕たちはリーグで最高のチームだ。次に負けたら敗退だけど、負けるつもりはないよ」
第6戦は2日後の5月25日(日本時間26日)、ラプターズのホームであるスコシアバンク・アリーナで行われます。
バックスが第1シードの意地を見せてホームに戻るか、ラプターズがファンの前で球団史上初のNBAファイナル進出を果たすか…
より白熱した試合となることでしょう。