現地の日付が7月6日になって間もない頃、NBAの勢力図は恐ろしいほど一変しました。
ロサンゼルス・クリッパーズが、フリーエージェントのカワイ・レナードと4年1億4,200万ドルの契約合意に至り、さらにはオクラホマシティ・サンダーからポール・ジョージを獲得したのです。(クリッパーズは将来の1巡目指名権4つと、シャイ・ギルシャス・アレキサンダー、ダニーロ・ガリナリを譲渡)
さて、2人のスーパースターを一夜にして獲得したクリッパーズは、今のNBAで一体どこに立っているのでしょうか?
それがトップだと主張されても、おそらく私たちは否定できません。
レナードとジョージのデュオは、間違いなく素晴らしいデュオになるでしょう。
ペリメーターで彼らのようなデュオをスローダウンさせられるチームは、今のところ思い浮かびません。
いえ、もっと恐ろしいのはディフェンスです。
レナード、ジョージ、それからパトリック・ベバリーのディフェンスは、文字通り”鉄壁”と呼ぶに相応しく、ガードやフォワードの選手の得点が多い現代NBAにおいて、これは明らかに機能するメンバーでしょう。
クリッパーズが成し遂げた最大の功績は、現状のロスターをほぼ維持したということです。
ジョージをトレードで獲得したにも関わらず、クリッパーズにはベバリー、モントレズ・ハレル、ルー・ウィリアムズ、ランドリー・シャメットといった、昨季の中核が揃って残っています。
これが、クリッパーズとロサンゼルス・レイカーズの明暗を分けるものです。
確かにレナードにとって、レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスを持つレイカーズは魅力的だったかもしれませんが、優勝に必要なのはスターの数よりも優れたロールプレイヤーの数でした。
そして、クリッパーズがどのチームよりも優れたロールプレイヤーを保持しているのは明白です。
ロールプレイヤーの数を減らすことなく、ジョージもクリッパーズにやって来て負担を軽減できるとなれば、レナードにとってこれほど美味しいシナリオも無いでしょう。
今のクリッパーズに対抗できるであろうチームはどこでしょうか?
ブルックリン・ネッツはケビン・デュラントのアキレス腱、ゴールデンステイト・ウォリアーズはクレイ・トンプソンの左膝前十字靭帯の回復を待つ必要があります。
レイカーズは未知ではありますが、層の薄さから確実性に欠け、ヒューストン・ロケッツやデンバー・ナゲッツはほとんど動きを見せていません。
フィラデルフィア・76ersやミルウォーキー・バックスはどうでしょうか?
彼らも強力なロスターは備えていますが、昨季と比較すればオフに戦力を低下させています。
クリッパーズは、ほぼ確実にNBA最高のチームへとのし上がりました。
スーパースター、優れたロールプレイヤー、フィット感、コーチング…彼らに匹敵するチームは無いでしょう。
そして同時に、クリッパーズは今夏の最大の”勝者”となりました。
これからのNBAは、さらに面白くなるでしょう。
ウォリアーズの一強時代は終焉を迎え、今ではリーグのあらゆるチームが才能のある選手を持っています。
先述したようにクリッパーズが頭一つ抜けているかのようにも見えますが、それでもまだ証明はされていません。
2019-20シーズンに起きることは、未知なことで溢れています。
NBAの新時代が幕を開けることになりそうです。