NBAファイナル第4戦は、トロント・ラプターズにとって非常に大きな勝利だったのではないでしょうか。
カワイ・レナードは36得点、12リバウンドとチームを牽引し、タフな試合になると思われていた敵地で2連勝を飾ったことで、ラプターズは球団史上初のNBAチャンピオンに目前まで迫っています。
しかし、ラプターズはまだ祝う準備が出来ているわけではなく、カイル・ラウリーは試合後にこうコメントしました。
「彼ら(ウォリアーズ)がディフェンディング・チャンピオンであり、簡単に負けるつもりはないことを理解している。彼らは次の試合の準備をするだろうね。俺たちも、次の試合に備えなければいけない。まだ、何も成し遂げてはいないよ」
前半の時点で、両チームともオフェンスが上手く行かず、攻めあぐねていました。
特にスリーポイントシュートに関しては、前半終了時点でラプターズが11.8%(2-17)、ウォリアーズが15.4%(2-13)の成功率であったため、勢いが付けられなかったのは明らかでしょう。
だからこそ、第3クォーター開始早々にレナードが決めた2本のスリーポイントシュートは、その後の流れをラプターズに傾ける大きなものとなったはずです。
その後、ウォリアーズはラプターズと数分間に渡って一進一退の攻防を繰り広げたようにも思えますが、シュートタッチに自信を見出していたのはラプターズでした。
結果的に第3クォーターはラプターズが37-21と圧倒し、レナードはこのクォーターだけで17得点を記録しています。
ウォリアーズのスティーブ・カーHCは、第3クォーターに流れを持っていかれたことを認めました。
「彼らが(第3)クォーターの序盤から、我々の流れを持っていったと思ったよ。カワイがすぐに2本のスリーポイントシュートを決め、ディフェンスを見出し、ただ得点していた。そして我々は、前半にやれていた粘り強いディフェンスを失ったんだ」
ショット以外にも、ラプターズは前半で6本のスリーポイントシュートを外していたダニー・グリーンをベンチに下げ、フレッド・ヴァンブリートを第3クォーターのスターターに起用しました。
それはラプターズがシーズン中に成功を収めた調整でもあり、オフェンスに勢いを付けるプレイメイカーを投入することで、テンポを早めることができます。
ラプターズのニック・ナースHCは、この起用法について次のように語りました。
「我々は、カイルとフレッドでたくさんプレイしてきた。ダブルプッシュのようなもので、2人はフロアを押し上げることができ、チームを機能させることができるんだ」
後半、ラプターズのスリーポイントシュート成功率は53.3%(8-15)まで跳ね上がったことで、ウォリアーズを引き離すには十分なものとなりました。
そして時に、良いオフェンスは良いディフェンスに繋がるでしょう。
ウォリアーズのドレイモンド・グリーンは、次のように語っています
「ああ、これは酷い。本当に酷いよ。(状況を)変えるために、出来ることは何でもやるんだ。相手を止めて、バスケットへ攻め、勢いを付ける。俺たちがそれをする度に、彼ら(ラプターズ)は返してきた。だから酷くなったね。でも、今さらそれを覆すことはできない」
今や戦前の下馬評を覆し、ラプターズの初優勝はすぐそこにあります。
しかし、ディフェンディング・チャンピオンのウォリアーズもまた、勝利の希望は捨てていません。
2016年のNBAファイナルでは、3勝1敗からクリーブランド・キャバリアーズに3連敗を喫した記憶があり、それは史上初の出来事で、屈辱的な敗戦でもありました。
グリーンは、次のように語ります。
「俺たちは以前、3勝1敗からやられたことがあった。俺たち自身が歴史を作ったっていいだろ?」
まだ終わっていない――ラプターズは冷静にそれを理解しており、ウォリアーズは身をもって経験しています。