早速ですが、皆さんは今のロサンゼルス・レイカーズが危機的状況に陥っているのをご存知でしょうか?
今夏に3人目のスター選手は必要無いと言うのであれば気にしなくてもいいことですが、もし大物フリーエージェントの獲得を期待しているのであれば、現状を知っておく必要があります。
ただし状況は非常に複雑で、理解し難い内容であるため、ここでは出来る限り簡単に説明することにしましょう。
結論から言えば、アンソニー・デイビスのトレードが正式に完了する日によって、レイカーズのキャップスペースに大きな影響が生まれるということです。
トレードを正式に行う日は2つ――選手との契約が解禁される7月6日か、あるいは7月30日のどちらかになります。
7月6日にトレードする場合、デイビスが約400万ドルのトレードボーナスを受け取るかどうかによって、レイカーズのキャップスペースは2,370万ドルか2,780万ドルとなります。
一方で7月30日にトレードする場合、レイカーズのキャップスペースは約3,250万ドルの状態でフリーエージェントと交渉が可能になるのです。
もう少し詳しく見ていきましょう。(面倒な方は飛ばしても大丈夫です)
7月6日にトレードする場合のレイカーズのキャップスペース
- デイビスが(現在の噂通り)400万ドルのトレードボーナスを受け取った場合、レイカーズのキャップスペースは2,370万ドルとなる。何らかの理由でボーナスを破棄すればレイカーズのキャップスペースは2,780万ドルとなる。
- レイカーズはデイビスのサラリーを払えるだけのキャップスペースを既に確保しているため、ペリカンズとのトレードでサラリーをマッチさせる必要はない。ロンゾ・ボール、ブランドン・イングラム、ジョシュ・ハートの合計サラリーは1,790万ドルで、デイビスのサラリーは2,710万ドルだが、レイカーズが払えるため問題無いということ。
- レイカーズが今年のドラフトで全体4位指名した選手は、レイカーズとサインすることなくペリカンズへトレードされる。
- なぜ7月6日なのか?フリーエージェントとの交渉は6月30日午後6時から開始するものの、7月6日までは正式に契約が出来ない(モラトリアム期間)。同様に、合意されたトレードも7月6日までは成立しない。
重要なのは、7月6日にトレードした場合のキャップスペースが最大でも2,780万ドル――すなわち大物フリーエージェントとマックス契約が出来ないということです。
ケンバ・ウォーカーやカイリー・アービング、ジミー・バトラー、あるいはカワイ・レナード…
彼らと契約したければ、マックス契約を諦めてもらわなければいけません。
7月30日にトレードした場合のレイカーズのキャップスペース
- レイカーズは3,250万ドルのキャップスペースを維持したまま、フリーエージェントとの契約に臨むことができる。
- もしレイカーズが3,000万ドル以上でフリーエージェントと契約した場合、デイビスをトレードするとレイカーズはサラリーキャップを超過してしまう。つまり、トレードでのサラリーをマッチさせる必要がある。
- レイカーズはデイビスのトレードのサラリーをマッチさせるため、今年のドラフトで全体4位指名した選手と約500万ドルで契約することになる。
- なぜ7月30日なのか?NBAの規定では、1巡目指名選手と契約を結んだ後、30日間はトレード出来ないからである。(ルーキースケール契約は6月30日午後6時から可能)
先にあるだけのキャップスペースを大物フリーエージェントの獲得に使い、デイビスのトレードでのサラリーのマッチに全体4位指名のルーキー契約を活用する、というのがレイカーズにとって最善のシナリオなのです。
さて、冒頭ではレイカーズが危機的状況に陥っていると述べました。
その現状の内容を理解できたかどうかは別としても、少なからず分かるのは7月6日のトレードで話が進んでいるということでしょう。
実はこの話、レイカーズが完全にやらかしてしまっているのです。
『ESPN』のラモーナ・シェルバーン氏は先日、デイビスのトレードが行われる日にちが、レイカーズとペリカンズの両チームにとって重要なことではなかったと伝えました。
「トレードの日にちは、ペリカンズとの話し合いの主要な部分であるべきだった。もし重要なことだったならば、トレードを構築する際に主張していたはずだ」
なぜ、このようなことが起きてしまったのでしょうか?
おそらく、レイカーズはデイビスを獲得することに必死であり、日にちまで気にかける余裕が無かったのでしょう。
このようなルールは誰もが理解を持っているわけではありませんが、それでもトレードが決まった後、日にちについての疑問は即座に投げかけられました。
レイカーズが本気で大物フリーエージェントを狙っているならば、打開策は3つあります。
モラトリアム期間が明けた直後にマックス契約を結ぶように説得するか、マックス契約を諦めるように説得するか、あるいはペリカンズにトレードを7月30日まで延ばしてもらうように頼むか…
ただ明らかなのは、いずれも上手くいく保証が無いということです。