考察

トレード期限までに動く可能性のある”買い手”と”売り手”

2月6日のトレード期限が迫るにつれて、NBAではトレードの匂いがどんどん漂ってきます。

一部のチームにとっては、彼らをトップに押し上げることができるかもしれませんし、あるいは多額のサラリーを削ってキャップスペースを生み出したり、将来的な資産を獲得して再建の手助けにすることもできるでしょう。

2019年のオフシーズンで様々なスター選手が新たな契約を手にしたこと、2020年のフリーエージェントが従来より見劣りすることを考えると、2019-20シーズンのトレード期限前というのは非常に興味深いものです。

一部のチームは、トレードがスター選手を獲得するための最も早い手段だと考えることもできますが、一方で、2021年のよりエキサイティングなフリーエージェントのために待つチームもあるかもしれません。

今シーズンのカンファレンスは、プレイオフを競うことのできるチームと、競うことのできないチームの間に大きな隔たりがあるため、どのチームが選手を獲得し、どのチームが選手を放出しても構わないと考えているか、かなり良いアイデアが得られます。

ローテーションを強化するための小さなトレードはあちこちで行われるかもしれませんが、ここでは大きなトレードに絡む可能性がある”買い手”と”売り手”のチームの確認してみましょう。

買い手

ロサンゼルス・レイカーズ

必要とする役割:スコアラー、プレイメイカー

レイカーズは既に素晴らしいため、トレード期限までに動きを見せずとも、少なからずウェスタン・カンファレンス優勝候補であり続けることはできるでしょう。

しかし、今のロスターで最も注目すべき問題は、最近負傷したレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビス以外に、スコアラーやプレイメイカーが居ないことです。

特にジェームズがコートに出ている時、レイカーズのオフェンシブ・レーティングは114.0ポイントと高い数字を記録していますが、彼がベンチへ下がると103.5ポイントまで急落します。

これは、ジェームズがベンチに座っている間に、ペリメーターでのプレイメイキングが不十分なためだと言えるでしょう。

本来、その役割を担うのがカイル・クーズマとなるはずでしたが、今のところ満足のいく働きは得られていないようです。

『NBA.com』によれば、ジェームズがベンチに下がっている間、クーズマとデイビスは180分間コートを共にしていますが、その間のオフェンシブ・レーティングは97.3ポイント、ネット・レーティングは驚異の-14.6ポイントを記録しました。

ドラフト指名権の不足(デイビスのトレードによる影響)と、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープのノートレード条項により、レイカーズはかなり深刻な資産不足を抱えているため、クーズマは何よりも魅力的なトレードのチップとなっています。

フィットする主な選手:ボグダン・ボグダノビッチ(サクラメント・キングス)、デリック・ローズ(デトロイト・ピストンズ)、マーカス・モリス(ニューヨーク・ニックス)

フィラデルフィア・76ers

必要とする役割:シューター

ユニークなロスターの変更に伴い、リーグで最も平均身長の高い先発を揃えた76ersは、正当な優勝候補の一角として評価されています。

ただ、強力なディフェンスはあるものの、全体的に何かがうまくいっていません。

その一つは3ポイントシューターの欠如で、彼らは3ポイントシュート成功率こそリーグ12位であるものの、3ポイントシュート試投数はリーグ25位と消極的です。

相手にとって脅威となるベン・シモンズや、ジョエル・エンビードは、ペイントやペリメーターを主戦場としているため、3ポイントシュートをどんどん放つシューターを獲得すれば、76ersのオフェンスはより対処不可能なものとなるでしょう。

トバイアス・ハリス、ジョシュ・リチャードソン、アル・ホーフォードも優れた選手ではありますが、求められるほど3ポイントシュートでスポットライトを浴びることができないとなれば、やはりトレードでの補強が最も合理的な手段となるはずです。

フィットする主な選手:JJ・レディック(ニューオーリンズ・ペリカンズ)、マーカス・モリス、ロバート・コビントン(ミネソタ・ティンバーウルブズ)、ダービス・ベルターンス(ワシントン・ウィザーズ)



マイアミ・ヒート

必要とする役割:プレイメイキングのできるガード、ウィング

これはジャスティス・ウィンズロウが健康であれば解決できる問題ですが、彼が元に戻るまではもうしばらく時間がかかりそうです。

ヒートは夏にジミー・バトラーを獲得したことでNBAのエリートチームの仲間入りを果たしましたが、ケンドリック・ナン、ダンカン・ロビンソン、タイラー・ヒーローといった若い選手に依存していることから、プレイオフの限界にはいささか疑問が残ります。

ここにベテランのプレイメイカーが加わることになれば、ヒートはプレイオフでより手強いチームとなることができるでしょう。

ヒートはウィンズロウ、ゴラン・ドラギッチ、ディオン・ウェイターズ、ケリー・オリニク、ジェームス・ジョンソンといった選手の契約が今シーズンで切れるため、彼らのうち誰が他球団にとって魅力的であるかを今後見極めていく必要があります。

ヒートが行動を起こすのであれば、プレイメイカーの獲得は最優先事項となり、そうでなければ、彼らが既に築いてきたケミストリーを信じて先へ進むこととなります。

フィットする主な選手:クリス・ポール(オクラホマシティ・サンダー)、カイル・ラウリー(トロント・ラプターズ)、ボグダン・ボグダノビッチ

ポートランド・トレイルブレイザーズ

必要とする役割:ウィング

想定よりも悪い結果を残しているとはいえ、デイミアン・リラードとCJ・マッカラムの契約が2023年まで保証されていることを考えると、ブレイザーズが再建へシフトチェンジすることは考えられないでしょう。

ロドニー・フッドや、ザックコリンズの負傷に対処し、競争力を維持するためには、リラードやマッカラムの周囲にウィングの選手を確保することが重要となりそうです。

また、ハッサン・ホワイトサイドはチームにとってプラスの影響を与えているものの、契約が今シーズンで切れることから、ユスフ・ヌルキッチの復帰に伴って再契約しない可能性があります。

そのためホワイトサイドや、同じく今シーズンで契約の切れるケント・ベイズモアを上手くトレードして資産を得ることができれば、2020-21シーズン以降もブレイザーズは競争力を保てるかもしれません。

クリーブランド・キャバリアーズのケビン・ラブは、獲得が噂されている選手の一人ですが、カーメロ・アンソニーの加入によってオフェンスは改善されたため、どちらかといえばディフェンス面で影響を与えられるウィングの選手を獲得することが望ましいでしょう。

フィットする主な選手:ロバート・コビントン、アーロン・ゴードン(オーランド・マジック)、ジョー・クラウダー(メンフィス・グリズリーズ)



売り手

出典:blocktoro.com

サクラメント・キングス

トレード可能な選手:ボグダン・ボグダノビッチ、ドウェイン・デッドモン、トレバー・アリーザ

今のところ、バディ・ヒールドは再びキングスに満足しているようですが、今後も彼を見ておくのは悪くないでしょう。

一方で、ヒールドやディアロン・フォックスとの契約を重視したことによって、キングスとボグダン・ボグダノビッチの関係は不安定になっています。

サイズ、シューティング、ボールハンドリングを兼ね備えたボグダノビッチは、間違いなく他のチームにとって大きな戦力となるはずです。

また、ドウェイン・デッドモンは2019年の夏にキングスと契約したばかりですが、ローテーションから外された不満によって公の場でトレードを要求したことにより、罰金処分を科されました。

3ポイントシュートが打てて、リムプロテクトの能力もあるデッドモンは、層を厚くしたいと考えるチームにとって魅力的な選手となるでしょう。

ニューヨーク・ニックス

トレード可能な選手:マーカス・モリス、エルフリッド・ペイトン、ウェイン・エリントン、デニス・スミスJr.

ニックスがRJ・バレットや、ミッチェル・ロビンソン以外の選手を手放すのは驚くことではありませんが、首脳陣がどの選手をトレードしないと決めているのかは分かりません。

マーカス・モリスは他チームにとって最も魅力的な選手の一人ですが、彼はニックスに居たいと言っています。

もしそうであれば、モリスは今シーズンを終えた後にフリーエージェントになることができるため、トレードでニックスが資産を手に入れた後に、モリスが再びニックスと契約するということもできるでしょう。

クリーブランド・キャバリアーズ

トレード可能な選手:ケビン・ラブ、トリスタン・トンプソン

ケビン・ラブのキャバリアーズに対する不満も高まったことによって、彼のトレード先を探すことは優先事項となっています。

しかし、今シーズンを除いても3年9,000万ドル以上の契約が保証され、負傷歴のあるラブのトレード先を探すのは困難なことであるため、結局はラブを移籍させるために別の資産も手放す必要があるかもしれません。

ただ、彼の不満を解消し、チームとしても前進するという意味では、資産を手放す価値があるようにも思えます。



デトロイト・ピストンズ

トレード可能な選手:アンドレ・ドラモンド、レジー・ジャクソン、デリック・ローズ、マーキーフ・モリス

ピストンズは、ブレイク・グリフィンの契約を最も手放したいと考えているかもしれませんが、おそらく彼の買い手を見つけるのは困難でしょう。

一方、アンドレ・ドラモンドのトレードの噂は熱くなっており、ピストンズが何を求め、資産のために悪い契約も獲得することができるかどうかによって、トレードの成否がかかってきます。

昨シーズンのプレイオフ出場から一転し、ピストンズは再建の危機に瀕しているため、トレード期限の前に何が得られるのか見極める必要があります。

シカゴ・ブルズ

トレード可能な選手:ザック・ラビーン、ラウリ・マルッカネン、サディアス・ヤング、トーマス・サトランスキー、クリス・ダン

まだブルズのプレイオフ出場の可能性が非現実的となったわけではありませんが、どちらかといえば将来を見据えた方が良いような状況になりつつあります。

特に、ブルズがザック・ラビーンや、ラウリ・マルッカネンと将来を共にすることを約束していないのであれば、多くの魅力的な資産があると言えるでしょう。

サディアス・ヤングも、他チームが関心を抱いていれば明白なトレード候補となります。

ブルズはバックコートに若干の行き詰まりを感じているため、負け越しているシーズンに資産を得ておくのは、最悪の選択肢ではないように思えます。

【投票】

2月6日までにトレードされそうな選手は?(複数選択可)
  • アンドレ・ドラモンド(ピストンズ) 27%, 232
    232 27%
    232 票 - 27%
  • ケビン・ラブ(キャバリアーズ) 25%, 220
    220 25%
    220 票 - 25%
  • ボグダン・ボグダノビッチ(キングス) 14%, 126
    126 14%
    126 票 - 14%
  • マーカス・モリス(ニックス) 10%, 89
    89 10%
    89 票 - 10%
  • カイル・クーズマ(レイカーズ) 9%, 79
    79 9%
    79 票 - 9%
  • サディアス・ヤング(ブルズ) 9%, 79
    79 9%
    79 票 - 9%
  • デリック・ローズ(ピストンズ) 5%, 46
    46 5%
    46 票 - 5%
全体の票数: 871票
投票者数:382人
2020-01-13 17:56 - 2020-01-20 0:00
この投票は終了しました

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