新型コロナウイルスの影響によりシーズンが中断されたのは前代未聞のことですが、今シーズンの各選手のスタッツを落ち着いて振り返ってみるには良い機会となるでしょう。
普段通りのレギュラーシーズンでは成績が目まぐるしく変わるため、各選手がどれだけ偉大なシーズンを過ごしているのか、実際に私たちは気付けないものです。
ということで、ここでは今シーズンの現時点で、歴史的なスタッツを残している10人の選手をご紹介しましょう。
目次
ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)
今シーズンのスタッツ
平均29.6得点、13.7リバウンド、5.8アシスト
歴史的なスタッツ
平均29得点、13リバウンド、5アシスト以上
過去に達成した選手
ウィルト・チェンバレン(2回)、エルジン・ベイラー
MVPを受賞した選手が次のシーズンでさらに成長することは稀ですが、確かにアデトクンボは得点、リバウンドの面で昨シーズンを上回り、チェンバレンやベイラーに並ぶ記録を残しています。
しかし、本当に驚くべき事実は、アデトクンボが1試合あたり31分弱の出場でこれらの数字を記録しているということでしょう。
チェンバレンでさえ、これらの数字を記録したシーズン(1963-64シーズンと1965-66シーズン)は1試合あたり47分と46分に出場しており、ベイラーも記録を達成した1960-61シーズンは42.9分に出場しています。
もし、アデトクンボが1試合あたり47分間に出場したとしたら――彼は平均45.1得点、20.9リバウンド、8.8アシストを記録することになります。
レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)
今シーズンのスタッツ
平均25.7得点、10.6アシスト、7.9リバウンド、FG成功率49.8%
歴史的なスタッツ
平均25得点、10アシスト、7リバウンド、FG成功率49%以上
過去に達成した選手
無し
得点、リバウンド、アシストに限れば、ラッセル・ウェストブルックやジェームズ・ハーデン、オスカー・ロバートソンもそれに匹敵するスタッツを残してきました。
しかし、誰もジェームズほど効率的ではありません。
今シーズンのジェームズのeFG%(3ポイントシュートの価値を1.5倍にしたFG成功率)は55.5%で、これに最も近かったのは2016-17シーズンにハーデンが記録した52.5%でしたが、ジェームズが35歳という年齢でこれを成し遂げていることも忘れてはならないでしょう。
ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)
今シーズンのスタッツ
平均28.7得点、9.3リバウンド、8.7アシスト
歴史的なスタッツ
平均28得点、9リバウンド、8アシスト以上
過去に達成した選手
オスカー・ロバートソン(4回)、ラッセル・ウェストブルック
昨シーズンに新人王を受賞した時点で、ドンチッチがいずれはリーグで特別な存在になるだろうとは分かっていたものの、これほど早い段階でスーパースターになるとは予想できませんでした。
ドンチッチがこれほど素晴らしいスタッツを残しているにも関わらず、彼がMVPの最有力候補として挙げられないのは、アデトクンボやジェームズの偉大さを物語っているとも言えるでしょう。
ちなみにドンチッチのスタッツは、過去にロバートソンが4回、ウェストブルックが1回成し遂げていますが、21歳の若さでそれを達成したのは当然ながら誰もいません。
ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)
今シーズンのスタッツ
平均34.4得点、7.4アシスト、6.4リバウンド
歴史的なスタッツ
平均34得点、7アシスト、6リバウンド以上
過去に達成した選手
ジェームズ・ハーデン
今シーズンの最初の数ヶ月では、ハーデンが平均40得点を記録するのではないかという話題も取り上げられました。
ラッセル・ウェストブルックの影響もあり、ハーデンの得点は徐々に落ちてきていますが、それでも依然として、彼は彼しか達成したことのない記録を再び成し遂げようとしています。
昨シーズンの平均36.1得点、7.5アシスト、6.6リバウンドよりは下回っているものの、ハーデンらしい生産性は今シーズンも健在だと言えるでしょう。
ラッセル・ウェストブルック(ヒューストン・ロケッツ)
今シーズンのスタッツ
平均27.5得点、8.0リバウンド、7.0アシスト、1.7スティール
歴史的なスタッツ
平均27得点、8リバウンド、7アシスト、1.5スティール以上
過去に達成した選手
マイケル・ジョーダン、ラリー・バード、ラッセル・ウェストブルック
個人的なスタッツの観点ではキャリア最悪のシーズンとなりつつあったウェストブルックでしたが、シーズンが進むにつれて、歴史的なスタッツを残す彼らしさは戻ってきました。
もしシーズンが再開し、ウェストブルックが今のスタッツを維持することができれば、彼はジョーダン、バードでも達成できなかった2回目の記録を成し遂げることができます。
デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)
今シーズンのスタッツ
平均28.9得点、7.8アシスト、3P成功数3.8本
歴史的なスタッツ
平均28得点、7アシスト、3P成功数3.5本以上
過去に達成した選手
ジェームズ・ハーデン(2回)
リラードは1月末に魅せた驚異的なパフォーマンス(6試合で平均48.8得点、10.2アシスト、3P成功数8.2本)によって、今ではハーデンしか達成したことのない領域に足を踏み入れています。
さらにハーデンよりも高い効率――3P成功率39.4%という点も、偉大なスタッツの一つとして考慮すべきかもしれません。
昨シーズンまでに1試合あたりの平均3P成功数で3.5本以上を記録した選手は、わずか3人(ステフィン・カリーが5回、ジェームズ・ハーデンが2回、ポール・ジョージが1回)しか居ませんでした。
驚くことに、今シーズンは7選手(ハーデン、リラード、ディアンジェロ・ラッセル、バディ・ヒールド、ダービス・ベルターンス、デボンテ・グラハム、ダンカン・ロビンソン)が平均3P成功数3.5本以上を記録しており、アトランタ・ホークスのトレイ・ヤングも3.4本と迫っています。
ハッサン・ホワイトサイド(ポートランド・トレイルブレイザーズ)
今シーズンのスタッツ
平均16.3得点、14.2リバウンド、3.1ブロック
歴史的なスタッツ
平均16得点、14リバウンド、3ブロック以上
過去に達成した選手
カリーム・アブドゥル・ジャバー(3回)、ボブ・マカドゥー、アキーム・オラジュワン、ビル・ウォルトン
ホワイトサイドが勝利に与えた影響については議論の必要があるかもしれませんが、個人的なスタッツという点では歴史的であることに疑いの余地はありません。
NBAがブロックを公式のスタッツとして認めたのは1973-84シーズン以降であるため、おそらく入っていたであろうウィルト・チェンバレンや、ビル・ラッセルの名前はここにありませんが、それでも簡単に達成できるスタッツではないことは明らかです。
そして今シーズン、ホワイトサイドの次に最も平均ブロック数が多い選手は、ミルウォーキー・バックスのブルック・ロペスと、オーランド・マジックのジョナサン・アイザックで、平均2.4本と大きな差が開いています。
アンドレ・ドラモンド(クリーブランド・キャバリアーズ)
今シーズンのスタッツ
平均17.7得点、15.2リバウンド、1.9スティール
歴史的なスタッツ
平均17得点、15リバウンド、1.6スティール以上
過去に達成した選手
アンドレ・ドラモンド
今シーズンもドラモンドがリーグのトップリバウンダーであることは知られていたかもしれませんが、平均スティール数でもリーグ3位であることを知っていたでしょうか?
ちなみに、これらの得点、リバウンドに加え、平均1.6スティール以上を記録したのは過去にもドラモンドしか居ませんが、カリーム・アブドゥル・ジャバーは1975-76シーズンに平均1.5スティールを記録しています。
ベン・シモンズ(フィラデルフィア・76ers)
今シーズンのスタッツ
平均16.7得点、8.2リバウンド、7.8アシスト、2.1スティール
歴史的なスタッツ
平均16得点、8リバウンド、7アシスト、2スティール以上
過去に達成した選手
マジック・ジョンソン(4回)、ラッセル・ウェストブルック(2回)、マイケル・ジョーダン
シモンズは今シーズン、キャリア初のオールスターで攻守において活躍できることを証明し、スタッツはそれを裏付けていると言えるでしょう。
彼はトリプルダブルのカテゴリーでも大きなインパクトを与えていますが、さらにスティールを付け加えることによって、偉大なガードの選手たちと肩を並べることもできるようになります。
ミッチェル・ロビンソン(ニューヨーク・ニックス)
今シーズンのスタッツ
平均9.7得点、7.0リバウンド、1.9ブロック、FG成功率74.2%
歴史的なスタッツ
平均FG成功率74%以上
過去に達成した選手
無し
長年に渡って、リム周辺ではセンターの選手が存在感を発揮してきましたが、ロビンソンほど効率的なセンターはどこにも居ませんでした。
彼は今シーズン平均FG成功率74.2%を記録しており、これはウィルト・チェンバレンが保持する歴代最高FG成功率の72.7%を破ることになります。
ただし『Basketball Reference』によれば、リーグが今シーズンを82試合全て行うと決めた場合、選手は最低300本のフィールドゴールを決めなければ成功率の記録が認められません。
ロビンソンの現在のFG成功数は253本であるため、この場合、ロビンソンは残り16試合を平均FG成功数3本以上のペースで続けていく必要があります。
念のために言っておくと、ロビンソンの今シーズンの1試合あたりの平均FG成功数は4.1本で、これを維持できれば心配には及ばないでしょう(シーズンが無事に再開されることが前提ですが)。
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