考察

ナゲッツが優勝のためオフシーズンに捨てなければならないもの

昨シーズンにウェスタン・カンファレンス2位と大きな飛躍を遂げて以降、デンバー・ナゲッツは素晴らしいチームであり続けています。

しかし、おそらく彼らをウェストのトップと考える人々は少ないでしょう。



今シーズンもナゲッツはウェスト3位という好成績を残していますが、彼らより上に位置するロサンゼルス・レイカーズ、ロサンゼルス・クリッパーズとの対戦では満足のいく結果を残せていません。

実際には計5試合のうち2試合で勝利していますが、その試合でもレイカーズはレブロン・ジェームズが、クリッパーズはポール・ジョージが不在の状況下での勝利でした。

昨シーズンも同様に、ナゲッツはゴールデンステイト・ウォリアーズ、ヒューストン・ロケッツとの対戦で計8試合のうち6試合に敗れています。

とはいえ、リーグトップクラスのチームを打ち倒せないことは問題ではなく、むしろシーズン50~60勝のペースを続けているだけでも称賛されるべきでしょう。

プレイオフにもなれば7試合制のシリーズを4回連続で勝ち越さなければならず、言うまでもなく、それが可能なのは30チームのうち1チームのみです。

ただ、この優勝争いを偶然で制すことは滅多にありません。

優勝したチームの多くに共通していることは、不屈の精神と投資を怠らないことです。

過去10年間で6チームが優勝しましたが、このうち5チームはタックスラインを超え、贅沢税を支払ってきました。

サンアントニオ・スパーズだけが唯一の例外ですが、彼らの場合は金銭以上に大きな関係を築いており、それを他のチームが真似するのは極めて難しいことです。

もしニコラ・ヨキッチがサラリーに一切の関心を示さないのであれば話は別ですが、彼は既に2023年まで続く大型契約を結んでいるため、時すでに遅しだと言えるでしょう。

であれば、ナゲッツに必要と思われる決断の一つは、贅沢税を支払うほどの投資を行うということです。



ナゲッツはこのオフシーズンに、ポール・ミルサップ、メイソン・プラムリー、ジェレミ・グラント(プレイヤーオプション)、トーリー・クレッグのフリーエージェントに対処しなければなりません。

しかし、ナゲッツは既にヨキッチ、ギャリー・ハリス、ジャマール・マレーの3人だけで、来シーズンのキャップのうち約7,700万ドルを占めています。

フリーエージェントになる選手たちをロスターに残そうと再契約しても、昨シーズンと今シーズンの功績を考えれば、その契約は今よりも高くつくことになるでしょう。

それは贅沢税を支払うことを意味するようなものです。

しかし厄介なことに、首脳陣が贅沢税を払うことに消極的であるのは以前から明らかなようです。

2018年夏、ナゲッツはウィルソン・チャンドラー、ケネス・ファリード、ダレル・アーサーの契約を破棄するため、複数のドラフト指名権も含めてトレードを行いました。

最近では、今シーズンで契約が切れるマリク・ビーズリー、ファンチョ・エルナンゴメスのどちらか一方と契約延長を結ぶことなく、両者をトレードしてドラフト指名権を得ることにしました。

今のナゲッツのような優れたチームが、この時点でサラリーキャップの削減やドラフト指名権の確保に努めるのは、あまり理にかなった行動とは言えないでしょう。

ルーキー契約を結んでいるマイケル・ポーターJr.が成長すれば、ナゲッツは外部に助けを求めることも、お金を使うこともなく優勝候補になれるかもしれませんが、それに賭けるのが最善の策とは言えません。

過去10年間のファイナルMVPのうち自チームで成長した選手は、2016年のレブロン・ジェームズを除けばわずか2人しか居ないことからも分かるように、現代のNBAはフリーエージェントやトレードによる大型補強に依存しています。

今シーズンが終わってもヨキッチは残り3年間ナゲッツに居続けますが、悠長にしている時間はそれほどありません。

若い中核を揃えて成功したというナゲッツの肩書きは色あせてきており、彼らに代わってニューオーリンズ・ペリカンズが若い中核で成功を収めようとしています。

近い将来、ナゲッツはどのような道を進みたいのか決めなければならないでしょう。

お金を使わなかったからといって失敗するとは限りませんが、成功を収めたチームの多くは選手への投資を怠りませんでした。

選手よりも贅沢税を支払うことへの”ためらい”を捨てなければ、ナゲッツは素晴らしいチームのままであり続けるだけになります。

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